研究課題
基盤研究(B)
骨の細胞と神経・血管系はお互いにネットワークを形成し、外界の環境の変化やストレスを感受していると考えられている。近年、研究代表者らは、骨組織・筋組織内の神経・血管の詳細な走行が観察可能な独自の筋骨格系透明化技術を開発し、筋骨格系組織の恒常性維持には神経・血管系が重要である可能性を見出している。そこで本研究は、筋骨格系透明化技術・三次元イメージング・宇宙実験といった最先端技術を駆使し、筋骨格系組織の恒常性維持における神経・血管系の生理的・病態生理的意義を明らかにする。また、透明化技術を様々な骨疾患の病態解析に応用し、新規治療法の開発にも繋げる。
1)神経・血管系に着目したメカニカルストレス・重力による筋骨格系恒常性維持機構の解明:a)メカニカルストレス減少モデルマウスの透明化三次元構造解析:宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で、宇宙微小重力環境で3週間飼育されたSox10-Venusマウスの骨・筋組織の透明化三次元構造解析、マイクロCTを用いた骨量解析、組織学的解析等を実施し、メカニカルストレスの減少が筋骨格系組織の神経・血管系に与える影響を明らかにした。 b)メカニカルストレス増加モデルマウスの透明化三次元構造解析:JAXAが所有する人工過重力環境飼育装置を利用し、2Gおよび3G環境で2~4週間飼育されたSox10-Venusマウスの骨組織の透明化三次元構造解析、マイクロCTを用いた骨量解析等を実施し、メカニカルストレスの増加が筋骨格系組織の神経・血管系に与える影響を明らかにした。2)筋骨格系透明化技術の骨代謝異常疾患の病態解析への応用:a)閉経後骨粗鬆症における神経・血管系ネットワークの三次元構造解析:卵巣摘出術を施行したSox10-Venusマウスの骨組織の透明化三次元構造解析を実施した。 b)骨折治癒における神経・血管系ネットワークの三次元構造解析:マウス脛骨骨幹部に閉鎖性に横骨折を作成する手法を確立し、骨折部の透明化三次元構造解析を実施した。 c)がんの骨転移における神経・血管系ネットワークの三次元構造解析:高転移能がん細胞株の尾動脈投与によりマウス大腿骨および脛骨に骨転移を誘導する手法を習得し、形成された骨転移病変の透明化三次元構造解析を実施した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通り概ね順調に研究は進行している。
1)神経・血管系に着目したメカニカルストレス・重力による筋骨格系恒常性維持機構の解明:a)メカニカルストレス減少モデルマウスの透明化三次元構造解析:2023年度に引き続き、2024年度も宇宙微小重力環境で飼育されたマウスの筋骨格系組織の透明化三次元構造解析等を進め、メカニカルストレスの減少が筋骨格系組織の神経・血管系に与える影響を明らかにする。 b)メカニカルストレス増加モデルマウスの透明化三次元構造解析:2023年度に引き続き、2024年度も人工過重力環境飼育装置で飼育されたマウスの筋骨格系組織の透明化三次元構造解析等を進め、メカニカルストレスの増加が筋骨格系組織の神経・血管系に与える影響を明らかにする。2)筋骨格系透明化技術の骨代謝異常疾患の病態解析への応用:a)閉経後骨粗鬆症:2023年度に引き続き、2024年度も卵巣摘出術を施行したマウスの筋骨格系組織の透明化三次元構造解析等を実施し、閉経後骨粗鬆症の進行が筋骨格系組織内の神経・血管系のネットワークに与える影響を明らかにする。 b)骨折治癒:2023年度に引き続き、2024年度も骨折部の透明化三次元構造解析等を実施し、骨折の治癒過程における神経・血管の伸長や分布の変化を明らかにする。 c)がんの骨転移:2023年度に引き続き、2024年度も骨転移病変の透明化三次元構造解析等を実施し、骨転移の形成過程における神経・血管の分布の変化やがん細胞との相互作用を明らかにする。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち国際共著 7件、 査読あり 15件、 オープンアクセス 14件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)
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