研究課題/領域番号 |
23K24475
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補助金の研究課題番号 |
22H03216 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56030:泌尿器科学関連
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
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研究分担者 |
佐藤 雄一 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00706848)
秦 淳也 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00769606)
錫谷 達夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40196895)
関根 英治 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40363759)
胡口 智之 福島県立医科大学, 医学部, 病院助手 (40791950)
赤井畑 秀則 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70644178)
星 誠二 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70813137)
松岡 香菜子 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (70838193)
滝浪 瑠璃子 (本田 瑠璃子) 福島県立医科大学, 医学部, 病院助手 (80813138)
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
片岡 政雄 福島県立医科大学, 医学部, 病院助手 (90554204)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 前立腺肥大症 / 過活動膀胱 / 低活動膀胱 / 自己免疫疾患 / 中枢神経 / 補体 / 利尿適応 / 微生物 / 排尿反射 / 自己免疫応答 / 神経ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では前立腺肥大症における自己免疫応答性インフラマソーム制御機構と、膀胱における中枢性高次脳機能・末梢性神経ネットワーク調節機構研究を行う。特に本研究では対症瘤法ではなく、病態に即した薬物治療の開発に繋がり、新たな治療アルゴリズムの構築への足掛かりとなりうる。
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研究実績の概要 |
前立腺肥大症(BPH)や過活動膀胱(OAB)および低活動膀胱(UAB)などの下部尿路機能障害に対する治療は、そのほとんどが症状に対する対症療法であり、難治性症例に対する治療も十分確立されていない。その主たる要因は、疾患の本質的な病態が十分解明されていないことである。男性下部尿路機能障害の病態把握には、前立腺肥大という形態学的・組織学的異常と、膀胱の機能的障害を同時に考慮する必要がある。したがって、それぞれの疾患特異的な多角的・多面的病態把握が必要であり、それが革新的治療の開発につながる。そこで私たちはこれまでの研究成果を基盤として、前立腺における自己免疫応答性インフラマソーム制御機構と、膀胱における中枢性高次脳機能・末梢性神経ネットワーク調節機構に着目して、包括的な男性下部尿路機能障害の病態把握と新規治療法の開発に向けた基礎的研究を計画した。本研究は対症療法ではなく、病態に即した薬物治療の開発につながり新たな治療アルゴリズムの構築への足掛かりになりうる。 <研究I-1>BPHモデルラットにおける補体活性化自己抗原の同定と補体関連薬剤およびCRIPR/Casシステムを用いたFactor Bノックアウトマウスにおける増殖抑制効果 <研究I-2>BPHにおける微生物の探索とインフラマソーム制御機構の解明 <研究II-1>蓄尿速度の変化に対応する排尿反射制御機構と利尿適応性の大脳責任領域における神経伝達機構の解明および遺伝子治療の可能性 <研究II-2>非ホルモン性動脈硬化症に伴う慢性膀胱虚血が引き起こすOAB/UAB発症メカニズムの解明と新規治療薬・診断マーカーの探索
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
<研究I>CRISPR/Casシステムを用いてB因子単独欠損ラットを作成した。ノックアウトラットは、同一週齢の野生型ラットに比較して、有意ではないが体重の減少が認められた。続いて、野生型ラット(対照群)、B因子ノックアウトラット(KO群)にそれぞれ、野生型胎仔ラット尿生殖洞組織を移植することで、前立腺肥大症モデルラットを作成した。その結果、KO群のBPH組織は、対照群に比して有意に前立腺重量の低下が認められた(p<0.05)。組織学的には、KO群のBPH組織で、上皮細胞に対する間質細胞の割合が有意に低下していた(p<0.05)。 <研究II>14週齢SDラットに膀胱瘻を作成し、注入速度(蓄尿速度)の上昇により活性化する脳領域を神経活動マーカーであるc-Fosを用いて評価した。(研究2)特定したラットの脳領域を神経毒であるイボテン酸を用いて破壊し、24時間排尿記録および尿流動体検査にて利尿適応性を評価した。(研究1)注入速度の上昇に伴い、蓄尿機能に関連する背外側中脳水道周囲灰白質(DLPAG)、前頭前皮質(PFC)にてc-Fos陽性細胞数が有意に増加していた。研究2)PAGが破壊されたラットは1回排尿量低下(対照群1.8±0.2ml/回vs破壊群1.1±0.1ml/回,p=0.04)、排尿回数増加(対照群5.8±1.8回/日vs破壊群12.6±2.6回/日,p=0.03)とともに利尿適応性が障害されていた(γ=0.29)。一方、PFCが破壊されたラットでは1回排尿量低下(対照群1.5±0.2mlvs破壊群0.8±0.2ml,p<0.05)と排尿回数増加(対照群6.3±2.1回/日vs破壊群11.1±2.8回/日,p<0.05)を認めたものの、利尿適応性は保たれていた(γ=0.63)。
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今後の研究の推進方策 |
<研究I-1>BPHモデルラットにおける補体活性化自己抗原の同定と補体関連薬剤およびCRIPR/Casシステムを用いたFactor Bノックアウトマウスにおける増殖抑制効果:BPH組織を用いて、補体経路各成分(C1q, C3, MBL, B因子, C5b-9)の発現機能解析を、RT-PCR、Western blotting、免疫組織化学染色により行う。PCNA染色、TUNEL法により細胞増殖能、細胞死の評価を行う。 <研究I-2>BPHにおける微生物の探索とインフラマソーム制御機構の解明:コントロール群および細菌感染したラットの前立腺組織をRNA-seqを用いた遺伝子発現解析、Gene Ontology (GO)解析を行なった結果を、詳細に検討する。 <研究II-1>蓄尿速度の変化に対応する排尿反射制御機構と利尿適応性の大脳責任領域における神経伝達機構の解明および遺伝子治療の可能性 高頻度逆行性遺伝子導入ベクターを応用した特定神経回路の機能操作によるOAN/UABの中枢性制御機構の解明と遺伝子治療の可能性について検討する。 <研究II-2>非ホルモン性動脈硬化症に伴う慢性膀胱虚血が引き起こすOAB/UAB発症メカニズムの解明と新規治療薬・診断マーカーの探索:ラットモデルを用いた虚血膀胱における特異的発現遺伝子の発現機能解析と慢性虚血によるOAB/UABを鑑別する新規診断マーカーの探索
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