研究課題/領域番号 |
23K24485
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補助金の研究課題番号 |
22H03226 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 正 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (90240845)
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研究分担者 |
澤田 健二郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00452392)
中村 幸司 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (00900151)
小玉 美智子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70791391)
木瀬 康人 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (90778531)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 希少癌 / 婦人科癌 / PDXモデルマウス / オミックス解析 / 化合物ライブラリー / 希少がん / 婦人科希少がん保存バンク |
研究開始時の研究の概要 |
標準治療が奏功しない希少がんの治療のためには、希少癌のIn vitro およびIn vivo での 再現モデルとそれを用いた薬効試験が必要であり、そのプラットフォームを作成する。具体的には、希少がん症例より組織を採取し免疫不全マウスに移植するPDX モデルマウスを作成し、継代し、マウスより腫瘍を採取し3次元オルガノイド培養を行う。その3次元オルガノイド培養を用いて、約1100個からなるFDA 承認済の化合物ライブラリーを用いたドラッグスクリーニングを行う。併せて腫瘍のオミックス解析を行い、希少がん特異的なドライバー遺伝子変異を同定し、解析に基づく分子標的治療薬を選定する。
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研究実績の概要 |
令和4年度は希少癌のみならず、さまざまな婦人科腫瘍のPDXモデルを作成した。文書による同意が得られた症例の腫瘍を手術・生検時に採取し、清潔操作下にてその腫瘍を細切し、腫瘍の一部を凍結保存あるいはホルマリン固定保存(組織学的評価用)する。次に、1-2立方ミリメートル大に細切されたヒト腫瘍を、全身麻酔下で開腹されたヌードマウスの卵巣に同所移植した。移植後約3-6か月かけて増大していくPDX腫瘍を触診または経腹超音波にて経時的に観察し、マウス卵巣に移植したPDX腫瘍が超音波による計測で1500立方ミリメートルに達した際、もしくは腹膜播種進展・大量腹水産生などでマウスの全身状態が不良となった際には、マウスを安楽死させたのちに、開腹し腹膜播種進展を確認した。さらにそのときに採取した腫瘍を更に同様に細切し、次のヌードマウスに移植し、PDXマウスの継代を行った。 現在までPDXは計24モデル作成(卵巣癌20例、子宮体癌3例、子宮筋腫1例)を試み、腫瘍生着・形成の有無を評価する時期に達した20症例のうち少なくとも1匹以上でPDX腫瘍の回収に到った。すなわち、PDXモデルは15例/20例(75%)と高確率でのPDX樹立が可能であった。 卵巣癌モデルには、高異型度漿液性癌(HRP、HRD/ BRCAwt、gBRCA1、gBRCA2)、低異型度漿液性癌、癌肉腫、明細胞癌、中腎様癌、粘液性癌、類内膜癌G1、類内膜癌G3があり、子宮体癌モデルには、希少癌である中腎様癌、類内膜癌G3、類内膜癌G2のPDXモデルマウスを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で述べたように、令和4年度は積極的にPDXモデルマウスの作成を行い、一年間で20例作成することができた。さらに75%の15例でPDXマウスの継体を行うことができ、研究を重ねることで実験系を確立することができた。従って、一定の研究の進捗はあったものと考える。ただし、どうしても希少癌の発症頻度は少なく、希少癌のPDXモデルの作成は数例にとどまってしまったため、“(3)やや遅れている”と判断した。従って、令和5年度以降はさらに人員を確保し、さらなる症例の集積に努める予定にしている。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度はさらなる希少癌の収集、PDXモデルマウスの作成に加えて、PDX腫瘍より作成した 3次元オルガノイド培養系によるin vitroドラッグスクリーニングを行う。我々はヒト腫瘍検体を用いた3次元オルガノイド培養系を確立しており、培養液や継代方法に習熟している。ドラッグスクリーニングは大阪大学薬学研究科創薬サイエンス研究支援拠点との共同研究で、約1100個からなるFDA承認済の化合物ライブラリーを用いて Cell viability assay (CellTiter-Glo 2.0 Cell Viability Assay, Promega) にて候補薬を探索する。 さらに希少癌PDXマウスモデルにおいてIn vivoで新規治療薬の薬効試験を行う。In vitroドラックスクリーニング試験で効果が確認された新規候補薬をPDXマウスモデルに投与し、コントロール群や既存標準化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)群と抗腫瘍効果を比較する。具体的には、全身麻酔下に免疫不全マウスを開腹し、1-2立方ミリメートル大のPDX腫瘍3個をマウス卵巣に移植する。数週間後に増大してくるPDX腫瘍を触診と経腹超音波にて経時的に観察し、腫瘍が60-100立方ミリメートルに達した時点で各群にランダム化する。腫瘍サイズは毎週経腹超音波にて経時的に計測し、各群の抗腫瘍効果を検討する。薬の副作用に関しては毎週マウス体重とコンディションスコアにてモニタリングする。腫瘍が1200立方ミリメートルに達した時点でマウスを安楽死させ腫瘍組織を採取し、免疫組織化学染色で薬効を確認する。以上のpreclinical studyにより抗腫瘍効果、全生存率、副作用の評価を行い、「希少癌」に真に有効である新規分子標的薬を同定する。
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