研究課題/領域番号 |
23K24488
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補助金の研究課題番号 |
22H03229 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56040:産婦人科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
早川 智 日本大学, 医学部, 教授 (30238084)
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研究分担者 |
相澤 志保子 日本大学, 医学部, 准教授 (30513858)
山田 秀人 神戸大学, 医学研究科, 非常勤講師 (40220397)
川名 敬 日本大学, 医学部, 教授 (60311627)
高田 和秀 日本大学, 医学部, 助教 (60848711)
木村 正 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90240845)
TRINH DUYQUANG 日本大学, 医学部, 専修研究員 (90647190)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | COVID-19 / 妊婦 / 母子感染 / 胎盤関門 / ワクチン / 新型コロナウイルス感染症 / 副反応 |
研究開始時の研究の概要 |
COVID-19は催奇性の報告は無いが一定の頻度で妊婦も罹患し,妊娠後半期の感染では重症化し,稀ながら母子感染が発生する.垂直感染の機序や重症化因子,リスク因子,ウイルス株の違いによる妊婦の予後,ワクチンによる予防効果については未だ不明な点が多い. 本研究では我が国におけるCOVID-19感染妊婦の疫学調査と胎盤の病理学的検討から,予後因子と適切な産科的管理方針を明らかにすることを目的とし,さらに胎盤関門の本態とワクチン以外の母子感染予防法の開発をおこなうことで,完全に流行が終息せず,小規模な感染が持続した場合も安心安全な周産期医療を提供できる体制を構築する.
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研究実績の概要 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は21世紀になって,人類が最初に経験したパンデミックである.あらゆる年齢層に感染するが,妊婦における感受性と予後,子宮内感染の有無,最適な分娩方法と授乳の可否,妊婦に対するワクチンや抗ウイルス剤投与の可否など,流行が始まった2020 -2021年には不明な点が多かった.我々は日本産科婦人科学会, 日本産婦人科医会, 日本産婦人科感染症学会の協力を得て全国から多数のCOVID-19感染妊婦の臨床情報並びに血液と胎盤検体を収集できた.内外の研究者の協力を得て妊婦におけるCOVID-19感染の頻度と重症度,母子感染の有無と頻度,胎盤における感染の有無,さらに培養絨毛細胞における感受性を検討した.その結果,1)妊婦においても一定頻度でCOVID-19 感染はみられるが感染頻度や重症者の頻度は同年齢層の非妊娠女性と変わらない.2)検索した範囲では,母体死亡はみられず,中等症Ⅱ以上の患者は,未接種者に多い.3)肥満や喘息など慢性呼吸器疾患の合併,肥満が重症化リスク因子である,4)予防接種によって妊娠予後に影響を与えるような副反応は見られない.5)胎盤にはCOVID-19関連タンパクが染色されるがウイルスに複製は認められず,培養細胞でも同様の結果であったため,胎盤関門の存在が示唆された.わが国ではECMOや人工呼吸器の管理が必要な重症者も少ないという結果は, 諸外国に比べわが国では妊婦の接種率が高く,また母児の周産期管理が手厚いことから妊産婦死亡の報告はないためと推定できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本産婦人科感染症学会の協力を得て全国から多数のCOVID-19感染妊婦の臨床情報並びに血液と胎盤検体を収集できた.現在解析中であるが,諸外国に比べわが国では妊婦の接種率が高く,また母児の周産期管理が手厚いことから妊産婦死亡の報告はなく,ECMOや人工呼吸器の管理が必要な重症者も少ない.ただ,一定の頻度で流産や死産がみられ,ウイルス自体の影響か母体の感染による重篤な炎症によるものかを現在解析中である.
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今後の研究の推進方策 |
胎盤関門の分子的背景を明らかにするため,妊娠中にCOVID-19に感染した妊婦の胎盤を採集し,子宮内感染と感染非成立例で発現タンパクやリン酸化などepigeneticな差異を検討する.差がみられたタンパクをsiRNAや抗体でノックダウンし,何が責任タンパクなのかを同定し,我々が先の明らかにしたHIVや風疹,ジカ熱における胎盤関門と比較する.臨床的には重傷者と軽症者の臨床的背景の比較を継続し,特にワクチン接種の有無とワクチンによって誘導される抗体産生細胞並びに細胞傷害性T細胞の解析を行う.ワクチンによって誘導されるウイルス中和抗体については,経胎盤的な胎児への移行,並びに母乳中への移行を解析し,母体に対するワクチンの胎児・新生児保護効果を検証する.
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