研究課題/領域番号 |
23K24512
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補助金の研究課題番号 |
22H03253 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分56070:形成外科学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
副島 一孝 日本大学, 医学部, 教授 (00246589)
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研究分担者 |
菅原 隆 日本大学, 医学部, 助手 (10895262)
樫村 勉 日本大学, 医学部, 准教授 (20570740)
松本 太郎 日本大学, 医学部, 教授 (50366580)
長崎 敬仁 日本大学, 医学部, 助手 (60935807)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2026年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 脱分化脂肪細胞 / 人工真皮 / 真空凍結乾燥 |
研究開始時の研究の概要 |
DFAT細胞は日本大学発の間葉系幹細胞であり、少量の脂肪から短期間に大量に作製が可能である。また、高齢者や基礎疾患を有する患者からも調整が可能である。そのDFAT細部を内包する再生医療導入創傷治療材を開発し、従来の創傷治療材では治癒しない難治性創傷治療法とし、さらに真空凍結乾燥することで運搬・保存・供給の障壁を撤廃しいつでもどこでも使用可能な創傷治療材を国民に提供することを目指す研究である。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、脱分化脂肪細胞(Dedifferentiated Fat Cells、以下DFAT)を減圧環境下でコラーゲンスポンジの空隙内に浸透させた人工真皮を作製し、それを真空凍結乾燥処理を施すことで常温で保存可能な再生医療技術導入創傷治療材 (DFAT含浸 真空凍結乾 燥人工真皮)の開発し、その創傷治癒促進効果を検証することである。2022,2023年度に行った研究実績として、①DFATの調整:SD系ラットの成熟脂肪細胞を天井培養し凍結保存した。②自作簡易減圧浸透装置内で人工真皮(Pelnac、コラーゲンスポンジ単層タイプ、GUNZE)上にDFAT懸濁液を散布して減圧してコラーゲンスポンジ内に細胞浸透を試みたところ-70cmHgで全層に浸透させることができた。③-70cmHgの減圧下でDFATを含浸させた人工真皮を作製して、真空凍結乾燥機CHList(ALPHA1-4/2-4LSCplus, KUBOTA社製)を用いて真空凍結乾燥処理を施した。真空凍結乾燥前後で人工真皮内のDFATを走査電子顕微鏡で確認したところ、真空凍結乾燥前にDFAT細胞はコラーゲンスポンジの間隙内に確認され、真空凍結乾燥後でもDFAT細胞は凝集していたが細胞形態は維持されていることが確認された。④DFAT含浸人工真皮の新鮮状態、凍結保存後、真空凍結管相互の3群について、再度DMEM培地に浸漬して攪拌後にその上精中に含まれるサイトカイン(VEGF、bFGF)を定量解析した。その結果、新鮮群、凍結保存群、真空凍結乾燥群でそれぞれ、VEGF: 2.2±1.0,4.1±2.2, 8.4±5.0pg/mL, bFGF: 2.0±1.2, 1.1±0.4, 6.6±1.4pg/mLであった。VEGF, bFGFいずれも真空凍結乾燥群で放出量が最も多く、bFGFでは他の2群と比較して有意に多かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、実験を進行している。今回の検討で、人工真皮上に細胞懸濁液を散布したのみではコラーゲンスポンジ空隙内に細胞を含有させることはできないが、減圧処理を施すことでコラーゲンスポンジ内に含有させることが可能であることが明らかとなった。減圧処理、または加圧処理により液体や懸濁液を多孔質の物質の内部に浸透させる「含浸」という技術は工業製品や食品の加工技術として確立しており、本法は細胞の含浸技術であるといえる。その至適圧については、-10cmHgと-70cmHgを比較すると-70cmHgの方が人工真皮全層に均一に含浸させることができたので、高圧力の方が有効であることが示された。また、含浸後の走査電子顕微鏡像でDFAT細胞はその形態は維持されていたが、あまり高圧では細胞が破壊する可能性も否定できない。今回使用した自作の減圧装置では-70cmHgが最大であったが、細胞の形態を維持したまま含浸させるための最大圧力については今後の検討課題である。また、真空凍結乾燥処理を施してもDFAT細胞はその細胞形態を維持していることも確認された。 細胞から放出される生理活性物質を定量したところ、真空凍結乾燥を施してもVEGF、bFGFが放出されることが示された。様々な細胞が生理活性物質を放出して創傷環境など生体のホメオスターシス維持に寄与していることは多くの報告があり、それぞれの環境に応じて必要かつ十分な量を調整放出していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、DFAT含浸真空凍結乾燥人工真皮の創傷治癒促進作用について動物実験によるin vivo評価を行う。2024年度はラットを用いた人工真皮移植モデルで真皮様組織構築促進効果、血管申請促進効果を評価する。ラット背部に 1X1cm大の全層皮欠損創を作成し、人工真皮(Pelnac、コラーゲンスポンに単層タイプ、GUNZE社製)を移植する対照群とDFAT含浸真空凍結乾燥人工真皮を移植する治療群を作成する。両群ともコラーゲンスポンジ単層対応なので、その上にシリコーンで被覆されている通常タイプの2層性人工真皮(Pelnac、通常タイプ、GUNZE社製) を移植する。移植後2、7日目に組織採取して、真皮様組織構築の程度および人工真皮内への血管侵入について組織学的に評価する。動物実験はSD系ラットを用いた実験を自家DFAT群、 Wistar系ラットを用いた実験を同種DFAT群として、それぞれについて行いその効果を検証する。 DFAT含有真空凍結乾燥人真皮は2023年度と同様に作製する。
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