研究課題/領域番号 |
23K24518
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補助金の研究課題番号 |
22H03260 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57020:病態系口腔科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
齋藤 正夫 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (90345041)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 癌細胞分化 / EMT / 上皮間葉転換 / がん細胞分化 / 細胞分化 / がん細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
C57B6系マウス由来口腔がん細胞にZEB1,ZEB2,Snai,Ets1,EHFを過剰発現させた細胞を既に作成済みであり、in vitroでの細胞運動性などを評価する。次に、マウス皮下に移植もしくは、尾静注し、原発巣や肺への生着を観察する。必要に応じて病理標本を作製し、免疫染色などを行う。皮下移植で転移が認められた場合、癌免疫を評価できるような系を検討する。
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研究実績の概要 |
がん細胞が転移する上で、脈管系浸潤と脈管系内での生存は必須のプロセスである。すでに循環内腫瘍細胞(CTC: circulating tumor cell)の解析が一部行われ、上皮系形質と間葉系形質の双方を発現している独特な腫瘍細胞が循環内で生存しやすいことが明らかとなっている。一方、この独特な形質は、一般的な浸潤細胞の形質とは異なっている。したがって、何らかの付加的な分化メカニズム、もしくは特異な浸潤様式の理解が必要である。 現在、EMTに伴う癌細胞の悪性分化は、上皮系形質から間葉系形質まで複数の段階が報告されている。浸潤能の高いがん細胞はM-phenotype(高い間葉系形質)であることは知られている。一方、“生存している循環内腫瘍細胞(CTC)” の形質は、中間体のハイブリット形質(E/M-phenotype)とされ、浸潤している癌細胞の形質と一致していない。そこで、これまでの研究成果を利用し、ハイブリット形質とCTCの関連性を明らかにし、分子マーカーの探索などをもとに、新たな診断法や制御法を開発することを目的とする。さらに、ヘテロながん細胞集団である原発巣の病理診断に用い、“将来的にCTCとして生存し得る原発巣がん細胞”を予測できる新たな悪性度評価法を確立する。また、脈管という独特な閉鎖空間に存在するCTCのみを根絶できるような創薬開発に発展させることを長期的な目的とする。 そこで、本研究では、EMTを強力に誘導するZEB1,SIP1,Snailの過剰発現細胞を作製し、in vitroでの細胞機能評価を行い、次いで発現解析やin vivoでの検討をおこない、CSCや高浸潤細胞をEMTの観点から明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度はin vitroでの評価を行うため、細胞の樹立を目的とした。当初、ZEBやSnailのノックイン細胞の樹立を試みたが、複数回実験を試みるも樹立することができず、中断した。一方、同時並行させていた過剰発現細胞は、薬剤耐性株が得られ、また十分に発現している細胞株を、それぞれ複数クローン樹立することができ、現在、in vitroでのマーカー分子の発現やハイブリッドEMTの観点から解析を進めている。また、in vitroでの細胞機能評価も順調に進んでおり、細胞機能評価と発現プロファイルを比較するため、RNAシークエンスを行う準備を進めている。今後、M-phenotype細胞はGFPで、ハイブリッド形質細胞はYFPでマーキングし、集団細胞浸潤の機序を明らかにするための、細胞株の作成も行っている。これらの点から概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ZEB1とSnailさらにZEB2を過剰発現させた細胞株の作成はほぼ終了した、今後、これらの細胞株の発現解析を行うため、RNAシークエンスを予定し、ハイブリッドEMTで報告のあるマーカー分子などを中心に発現を確認する。また昨年度に引き続き、細胞運動や抗癌剤耐性など、がんの悪性形質を評価し、基礎的なデータを蓄積させる。次年度はマウスを使ったin vivoの評価を行うため、GFPやYFPなど細胞を識別できるマーカー分子の導入や、マウス生体での評価を良し行いやすくするため、luciferase遺伝子に導入することを予定している。このような遺伝子導入はすでに、当研究室で使用の経験があるため順調に進むと考えている。一方、マウスのがん細胞移植もこれまでの系を応用し、実験を進める予定である。
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