研究課題/領域番号 |
23K24532
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補助金の研究課題番号 |
22H03274 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
松本 卓也 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (40324793)
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研究分担者 |
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
ハラ エミリオ・サトシ 岡山大学, 医歯薬学域, 研究准教授 (40779443)
岡田 正弘 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (70416220)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 10,010千円 (直接経費: 7,700千円、間接経費: 2,310千円)
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キーワード | 迅速組織再生 / 骨組織 / 人工細胞膜 / 超高速組織再生 |
研究開始時の研究の概要 |
早期の歯周組織健全化やデンタルインプラント治療期間における患者負担の軽減といった観点から、迅速な骨再生が求められている。本研究では実際の細胞膜断片を模倣した人工材料の合成および修飾により、迅速骨再生を実現する新規の材料開発を目指す。
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研究実績の概要 |
これまでに細胞を破砕して獲得した細胞膜断片を利用した48時間以内のin vitro三次元石灰化を達成している。これは骨化過程の中でも細胞分化や基質産生といった長時間を要する過程を省略した新しい迅速骨誘導アプローチであり、骨欠損部に添加するだけで急速な骨石灰化を誘導する画期的な材料となりうる。これまでの検討として、in vitroでの迅速石灰化における脂質成分の役割について検討を進め、リン脂質成分の末端における酸性官能基、および塩基性官能基がその物性発現ならびに石灰化誘導に大きく貢献している可能性が示唆されていた。そこでこれら官能基を有する脂質を模倣した両親媒性ポリマーを新規合成した。この物性を検討したところ、脂質成分を模倣した分子の割合を変えることで大きな貯蔵弾性率の変化が認められた。また、この合成ハイドロゲルを用いたin vitroでの石灰化を行い、これまでに石灰化の最適条件を見出している。現在、この新規合成ポリマーを用いた迅速石灰化を目指したin vivoでの骨誘導実験を進めており、論文執筆を始めている。 また、これまでに獲得したリン脂質を介した石灰化のメカニズムに関してをまとめる形で、総説を1報投稿し、受理された。さらに、早期骨再生による骨再生領域を確保するうえで、予め骨構造に類似した骨再生補助材料を使用することは有効であることから、しなやかな材料強度、ならびに配向した骨と類似の層状構造を有するGuided Tissue Regeneration用膜を、第二リン酸カルシウムならびにゼラチンをもとに創製した。この作製方法と物性制御方法、形態制御方法さらにはin vivoへの応用に関して論文としてまとめ、発表した。これら研究に関して、10回の国内外学会での発表を行い、うち、5回は招待講演を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
リン脂質が有する石灰化誘導機構を様々な観点から明確なものにしてきている。また、これら知見をもとに、すでに人工細胞膜様材料を作製し、in vitroでの迅速な石灰化誘導を確認できている。さらに、これら材料や実際の細胞膜断片を用いた石灰化誘導を始めており、概ね計画通りに研究は進行しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
リン酸基、カルボキシ基を有する脂質模倣、両親媒性ポリマーを新規合成し、この合成ハイドロゲルを用いたin vitroでの 石灰化を行うことで、これまでに石灰化の最適条件を見出している。そこで、今後はこの新規合成ポリマーを用いた迅速石灰化を目指したin vitro石灰化評価ならびにin vivoでの骨誘導実験を進める。 また、この石灰化物が骨としての適切な物性を示すためには細胞産生基質と石灰化物との適切な複合関係が重要である。そこで、今後は一般的なコラーゲンゲル実験系では使用しない、高濃度コラーゲンを基材としたゲル合成ならびにそのゲル内での石灰化制御を微小環境下にて進める。この際、ゲル構成コラーゲン線維の配向、架橋状態の定量評価ならびにこの値をもとに、有機、無機複合物の物性変化を進める。この検討を通し、より高機能な骨様組織、構造をin vitroにて早期に作製することも試みる。
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