研究課題/領域番号 |
23K24536
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補助金の研究課題番号 |
22H03278 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57040:口腔再生医学および歯科医用工学関連
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
都留 寛治 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50314654)
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研究分担者 |
南澤 宏瑚 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (20897508)
梶本 昇 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (30824213)
丸田 道人 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (40507802)
佐藤 平 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 講師 (80866715)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
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キーワード | リン酸カルシウムセメント / 炭酸アパタイト / 生体吸収性 / 抗菌作用 |
研究開始時の研究の概要 |
骨欠損部に充填すると速やかに硬化し、抗菌作用を発揮しながら生体内で吸収・骨置換される炭酸アパタイトセメントの創製を本研究の目的とする。目的を達成するために、①骨吸収性を高める炭酸イオンの含有量制御;②抗菌性を発現する金属イオン等の徐放性制御;③臨床使用に耐えうる力学的特性の付与を試みる。In vitro評価で、破骨細胞性吸収作用、抗菌作用および力学的特性の最適化を図り、ラットの骨欠損モデルにより骨置換性を評価する。これら一連の研究を通じて、炭酸イオンが破骨細胞性吸収を高め、生体内吸収性および骨置換性を亢進すること、抗菌性金属イオンの徐放制御によって抗菌性が発現することを学術的に明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、骨欠損部に充填すると速やかに硬化し、抗菌作用を発揮しながら生体内で吸収・骨置換される炭酸アパタイトセメントの創製を目的としている。令和5年度は以下の研究実績が得られた。 ①炭酸イオン含有量制御およびin vitro生体吸収性評価:Ca/P比が一定の条件でアルカリ金属量を制御することによって、セメント硬化体に含まれる炭酸イオン含有量が制御できることを新たに見出した。本手法で炭酸含有量が制御された試料を用いて基礎的な細胞実験を実施し、吸収性評価が可能であることを確認した。 ②抗菌性金属イオンの導入と抗菌性評価: 銀を含むバテライトを原料粉末として用いることにより、銀が均一に分散し、且つ抗菌性を示す炭酸アパタイトセメントが作製可能であることを見出した。 ③力学的特性の改善:様々な条件を検討した結果、最も効果的であったのは粉液比制御により気孔率を低下させる手法であり、今後のin vitroおよびin vivo評価に使用する炭酸アパタイトセメントの粉液比の範囲を確定できた。 ④In vivo評価:背部皮下埋入については実験プロトコールの見直しを行った。ゲンタマイシンもしくは銀の添加により抗菌性を付与した炭酸アパタイトセメントの炎症性および新生骨形成を評価するためのプロトコールを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属イオンの導入による抗菌性付与についてはいくつかの金属イオンについて検討を行い、亜鉛等の二価の金属イオンはアパタイトへの相変換を妨げるため当該セメントへの導入には不向きであることから、一価の金属イオンである銀が最も効果的であるとの結論に至っている。従って、今後はゲンタマイシンもしくは銀を導入した炭酸アパタイトセメントについて評価を進める。これらのセメントの炎症性、新生骨形成を評価する為のin vivo実験のプロトコールは作成済である。 添加物による強度改善については現在までに期待した成果は得られていないが、新しい方向性が見いだせているので、引き続き検討を進める。作業可能な範囲で粉液比を大きくすることで強度は高くできるため、ハンドリングに不具合のない範囲で粉液比を大きくし、今後の評価を進めることとした。 体内環境における相変換の評価については実験手法や比較実験手法の見直しが必要となり、プロトコールの再検討を行った。動物実験許可が得られ次第、検討を進める。
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今後の研究の推進方策 |
①炭酸イオン含有量を制御した炭酸アパタイトセメントのin vitro生体吸収性評価(都留・佐藤):炭酸イオン含有量を制御した炭酸アパタイトセメントディスクの表面でラット骨髄由来の破骨細胞を培養する。ディスク表面における破骨細胞性吸収窩の形成を電子顕微鏡で観察するとともに、酒石酸耐性酸性フォスファターゼ染色により分化評価を行う。得られた結果より、炭酸アパタイトセメントに含まれる炭酸含有量が破骨細胞分化および破骨細胞吸収性に与える影響を調査する。 ②抗菌性を付与した炭酸アパタイトセメントのin vivo新生骨形成評価(都留・丸田・南澤・重松(大学院生)):ラット脛骨の骨欠損モデルを用いて、ゲンタマイシンもしくはAgの導入により抗菌性を付与した炭酸アパタイトセメントの初期炎症性と新生骨形成を評価する。これらの評価にはマイクロCTを用いた画像解析と病理組織学的手法を用いる。抗菌剤未添加の炭酸アパタイトセメントと対照比較することで、導入した抗菌剤が炭酸アパタイトセメントの初期炎症性や新生骨形成に及ぼす影響を明らかにする。 ③生体内および生体模倣環境における炭酸アパタイトセメントの相変換評価(都留・梶本):炭酸アパタイトセメントをラット背部皮下に埋入し、生体内環境における相変換の実情を調査する。粉末X線回折法により埋入前後のセメント試料の結晶相を同定し、生体内における相変換過程を追跡する。生体内で相変換させた結果をin vitro生体模倣環境(相対湿度100%, 36.5℃)で相変換させた結果と比較することで、我々が採用しているin vitro生体模倣環境の有効性について議論する。
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