研究課題/領域番号 |
23K24539
|
補助金の研究課題番号 |
22H03281 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
|
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松香 芳三 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (90243477)
|
研究分担者 |
大島 正充 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 准教授 (00548307)
生田目 大介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (10910218)
山本 由弥子 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20403496)
岩浅 匠真 徳島大学, 病院, 診療支援医師 (80761428)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
|
キーワード | BH4代謝経路 / 口腔顔面痛 / 痛み / 三叉神経節 / トラニラスト |
研究開始時の研究の概要 |
慢性口腔顔面痛患者に対してピンポイントで効果し、副作用の少ない治療法開発を最終目的として、本申請では慢性痛におけるテトラヒドロビオプテリン(BH4)代謝経路の活性化を解析する。BH4はセロトニンなどの神経伝達物質の合成などに関与しており、慢性痛との関連性が報告されているが、詳細は不明である。本研究では、①慢性口腔顔面痛モデルにおけるBH4代謝経路の活性部位、②慢性痛動物モデルに対するBH4代謝経路抑制薬剤の効果、③痛み行動の軽減とBH4代謝経路の変化部位などを計測する。
|
研究実績の概要 |
慢性口腔顔面痛患者に対してピンポイントで効果し、副作用の少ない治療法開発を最終目的として、慢性痛におけるテトラヒドロビオプテリン(BH4)代謝経路の活性化を解析している。BH4はセロトニンなどの神経伝達物質の合成などに関与しており、慢性痛との関連性が報告されているが、詳細は不明である。本研究の目的は、①慢性口腔顔面痛モデルにおけるBH4代謝経路の活性部位、②慢性痛動物モデルに対するBH4代謝経路抑制薬剤の効果、③痛み行動の軽減とBH4代謝経路の変化部位などを計測することである。 三叉神経障害性疼痛モデルは全身麻酔下でSprague Dawley系雄性ラットの口腔内からのアプローチにより、眼窩下神経を剖出し、絹糸(2糸)で緩く結紮することにより作成した。粘膜切開部は医療用接着剤で接着した。神経結紮1週間以降に行動実験により、痛みの評価を実施した。痛みの評価に関しては、顔面部に機械刺激と温熱刺激を加え、顔面逃避反射閾値を計測した。その後、慢性痛動物モデルに対して、トラニラストを投与した。トラニラストは抗アレルギー薬であり、痛み治療に応用した報告は子宮内膜症による骨盤痛の治療におけるものだけである。トラニラストは50、75、100、200㎎/体重㎏を腹腔内投与した。その結果、トラニラスト投与により、痛み行動は軽減した。ローターロッドを用いて運動機能の低下を観察したところ、運動機能の低下は観察されなかった。コントロールとして、神経痛薬のゴールドスタンダードであるカルバマゼピン(30、100㎎/体重㎏)を腹腔内投与し、トラニラストとの効果を比較した。その結果、トラニラストの痛み軽減効果はカルバマゼピンと同程度であり、運動機能の低下はカルバマゼピンの方が大きかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
慢性口腔顔面痛患者に対してピンポイントで効果し、副作用の少ない治療法開発を最終目的として、慢性痛におけるBH4代謝経路の活性化を解析している。本研究では以下の結果を得ることができた。三叉神経障害性疼痛モデルは全身麻酔下でSprague Dawley系雄性ラットの口腔内から眼窩下神経を剖出し、絹糸で緩く結紮することにより作成した。粘膜切開部は医療用接着剤で接着した。神経結紮1週間以降に行動実験により、痛みの評価を実施した。痛みの評価に関しては、顔面部に機械刺激と温熱刺激を加え、顔面逃避反射閾値を計測した。神経結紮1週間後と2週間後に逃避反射閾値が低下しており、ラットが痛みを感じていることが理解できた。 三叉神経障害性疼痛モデルにおいて、BH4代謝経路の活性部位を観察するため、三叉神経節を摘出し、Gch1、Pts、Spr、Akr、Cr、Dhfr、Qdprの各遺伝子発現をRT-PCRにより検討したところ、Spr、Akr、Qdprにおいて有意な上昇が観察された。また、慢性痛動物モデルに対して、抗アレルギー薬であるトラニラストを投与した。トラニラストは50、75、100、200㎎/体重㎏を腹腔内投与した。その結果、トラニラスト投与により、痛み行動は軽減した。ローターロッドを用いて運動機能の低下を観察したところ、運動機能の低下は観察されなかった。コントロールとして、神経痛薬のゴールドスタンダードであるカルバマゼピン(30、100㎎/体重㎏)を腹腔内投与し、トラニラストとの効果を比較した。その結果、トラニラストの痛み軽減効果はカルバマゼピンと同程度であり、運動機能の低下はカルバマゼピンの方が大きかった。 以上のことからおおむね順調に進展していると評価した。
|
今後の研究の推進方策 |
三叉神経障害性疼痛モデルに対し、トラニラスト(腹腔内)、カルバマゼピン(腹腔内)を投与し、三叉神経節の活性化を以下の方法で観察する。三叉神経節を摘出後、組織切片を作製し、グリア細胞におけるGlial fibrillary acidic protein(GFAP)発現を免疫染色により観察する。 その後、BH4代謝経路内における治療薬による遺伝子発現の変化を観察し、痛みモデルに対し、薬剤がどの部位で効果を示しているのかを観察する。 もし、BH4代謝経路に変化が観察されない場合はPCR arrayにより、NF-κBシグナル伝達関連のmRNA(Myd88など84遺伝子)の発現量の変化を観察する。
|