研究課題/領域番号 |
23K24541
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補助金の研究課題番号 |
22H03283 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57050:補綴系歯学関連
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研究機関 | 北海道大学 (2024) 長崎大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
黒嶋 伸一郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (40443915)
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研究分担者 |
大庭 伸介 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (20466733)
井上 剛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (30821665)
住田 吉慶 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (50456654)
大塚 正人 東海大学, 医学部, 教授 (90372945)
松本 拡高 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (90782045)
佐々木 宗輝 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10706336)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 薬剤関連顎骨壊死 / MRONJ / マクロファージ / 階層構造 / 1細胞解析 / 極性変化 / BRONJ / DRONJ / 細胞療法 / 病態形成機構 / ビスホスホネート製剤 / デノスマブ |
研究開始時の研究の概要 |
薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は遺伝子に起因しない,希少性・難治性の硬軟組織疾患だが,実に様々な薬剤がMRONJを惹起することが報告され,臨床現場では以前にも増して混乱が生じている.本研究課題は,開発したモデルマウスに1細胞解析,ゲノム編集およびRNA干渉技術を応用してマクロファージの階層構造と分子・遺伝子機構探索からMRONJの病態形成機構解明と新規治療法開発の基盤データベース構築を目的とした.
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研究実績の概要 |
薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)は遺伝子に起因しない,希少性かつ難治性の硬軟組織疾患だが,実に様々な薬剤がMRONJを惹起することが報告されている.臨床現場では以前にも増して混乱が生じているが,確定的な治療法開発には,MRONJの起因薬剤に左右されない標的細胞の探索・同定と,MRONJに対する病態形成機構の解明が必要不可欠である.本研究は,開発したモデルマウスに1細胞解析,ゲノム編集およびRNA干渉技術を応用してマクロファージのヒエラルキー決定と分子・遺伝子機構探索からMRONJの病態形成機構を解明し,マウスとヒトMRONJの共通情報抽出から新規治療法開発の基盤となるデータベースの構築を目的とした.当該年度は,ビスホスホネート製剤関連顎骨壊死(BRONJ)様病変モデルマウス,クロドロン酸内包リポソーム投与によるBRONJ様病変悪化モデルを作製し,生理食塩水投与群(VC群:コントロール群),BRONJ群,ならびにBRONJ悪化群の創部から創部軟組織を採取して,免疫組織化学的解析と免疫病理学的解析を行うとともに,軟組織から細胞群を抽出して1細胞解析を試みた.その結果,一時的にほぼすべてのマクロファージサブタイプが除去されたBRONJでは,病変が著しく悪化したことから,創部治癒には必要不可欠な細胞群であることが明らかとなった.また,マクロファージに着目した解析では,1細胞解析にて大きく10のクラスターに分けられることができ,さらにそれらは5つに分類され,上皮系細胞群,間葉系細胞・結合組織の細胞,マクロファージを含む免疫細胞,内皮細胞,T細胞・B細胞などが含まれていた.免疫細胞群ではマクロファージ集団はその数を多く認め,X,Y,Zという遺伝子について,コントロール群とBRONJ群での大きな差異を確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は,2つのMRONJモデルマウスを作製でき,そこから1細胞解析を行うことができた.現在も詳細に解析を行っているが,仮説として正しい方向であったと考えられるデータが得られたことから,(2)おおむね順調に進展している,と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,レスキューモデルマウス,BRONJ悪化モデルマウス,デノスマブ関連顎骨壊死(DRONJ)モデルマウスからも,当該年度と同様に創部軟組織を採取し,1細胞解析を行うことを試みる.クラスタリング・アノテーション解析,発現変動解析と細胞存在数変動解析,トラジェクトリー(細胞系譜推定)解析,RNAベロシティ解析,リガンド・レセプター解析などのバイオインフォマティクス解析からデータを取得し,投与薬剤や治療法に左右されないマクロファージを候補として複数選択する.その後,開発済みモデルマウスにおける候補マクロファージの組織内分布解析と,培養樹立した候補マクロファージをBRONJモデルへ移植してその効果(悪化か治癒)を検討し,MRONJの病態形成と組織治癒に重要なマクロファージをそれぞれ決定する.そして最後に,LysM-DTR KI(理研より入手)マウスに対してゲノム編集でコンディショナル発現能を持たせた上で,標的マクロファージに特異的に発現する複数の遺伝子プロモーター制御下でhHB-EGF発現マウスを作製し,DT(=ジフテリアトキシン)投与を行うことで標的マクロファージを欠損させる.なお,マクロファージ遺伝子改変マウスについてはほぼ完成をしており,標的マクロファージが同定したら,更なる遺伝子改変マウスの作製を開始する.さらにヒト検体を用いた遺伝子・組織解析にも挑戦する.マウスとヒトのデータから得られた,共通して変動する細胞,分子,遺伝子のデータを全抽出し,標的マクロファージを基軸とした新規治療戦略開発の基盤となるデータベースを作成する.
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