研究課題/領域番号 |
23K24550
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補助金の研究課題番号 |
22H03292 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57060:外科系歯学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
柳本 惣市 広島大学, 医系科学研究科(歯), 教授 (10315260)
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研究分担者 |
山川 延宏 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (00526709)
本田 一文 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (10260936)
栗田 浩 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (10273103)
大倉 正也 大阪大学, 大学院歯学研究科, 招へい教員 (10281130)
山田 慎一 富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (50380853)
長谷川 巧実 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (50546497)
太田 嘉英 東海大学, 医学部, 教授 (60233152)
上田 倫弘 独立行政法人国立病院機構北海道がんセンター(臨床研究部), 臨床研究部, 口腔腫瘍外科医長 (80839910)
梅田 正博 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (60301280)
桐田 忠昭 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70201465)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 循環腫瘍細胞 / 循環腫瘍DNA / 口腔癌 / 遠隔転移 / リキッドバイオプシー |
研究開始時の研究の概要 |
口腔癌の術後再発高リスク例の生存率向上のためには遠隔転移の制御が必須で,遠隔転移には循環腫瘍細胞(CTC)や循環腫瘍DNA(ctDNA)の関与が示唆されている。本研究では,再発高リスク口腔癌症例を収集し,治療経過中にリキッドバイオプシーで末梢血から得られたCTCおよびctDNAの変異を含むゲノムプロファイルの変化を全ゲノム次世代シーケンスで解析し,網羅的に遠隔転移に関与する新規遺伝子異常の解明を試みる。さらに明らかとなった遠隔転移に関与する新規遺伝子異常に影響を受ける分子の経時的変化をデジタルPCRで解析し,臨床的意義を検討する。
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研究実績の概要 |
切除可能StageⅢ/Ⅳ口腔癌に対する治療の主軸は外科的切除であり、術後病理で再発高リスク因子(切除断端陽性あるいは転移リンパ節の節外浸潤) が認められた場合に術後化学放射線療法を行い、中等度リスク因子(下頸部レベルへのリンパ節転移、神経周囲浸潤、静脈侵襲、リンパ管侵襲など) が認められた場合は術後放射線療法を行うことが国際的な標準治療とされている。しかし、術後補助化学放射線療法の導入により、局所頸部制御率の向上は得られたものの遠隔転移を制御するには至ってない。今後の口腔癌制御率向上のためには遠隔転移の制御が必須である。本研究は、前向き研究として、再発高リスク口腔癌症例を収集し、治療経過中にリキッドバイオプシーで末梢血から得られた循環腫瘍細胞(circulating tumor cell: CTC)抽出及び循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA: ctDNA) のゲノムプロファイルの変化を次世代シーケンスで解析し、網羅的に遠隔転移に関与する新規遺伝子異常の解明を行った。 対象としたすべての切除可能StageⅢ/Ⅳ口腔癌患者において、術前あるいは術後の末梢血からCTCの分離を行うことに成功し、また、cfDNAが術前よりも術後に有意に上昇していることが明らかとした。また、CTC数と予後の相関は未だ見出すことが出来なかった一方で、予後不良症例ではcfDNAのフラグメントサイズが短縮されていることを明らかにした。さらにcfDNA量と Inflamation based prognostic scoreに負の相関があることも示した。また、 cfDNAに対して次世代シーケンスを施行し、15遺伝子中に27の遺伝子変異を検出することに成功しており、検出した遺伝子変異と遠隔転移の関連を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
対象としたすべての切除可能StageⅢ/Ⅳ口腔癌患者において、術前あるいは術後の末梢血からCTCの分離を行うことに成功し、予後不良症例ではcfDNAのフラグメントサイズが短縮されていることを明らかにした。さらにcfDNAに対して次世代シーケンスを施行し、遺伝子変異を検出することに成功した。 切除可能StageⅢ/Ⅳ口腔癌の目標登録患者数の8割に達する対象患者登録が完了しており、いずれのサンプルも臨床病態と照合しつつ解析が進められており、概ね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、目標登録患者数まで残り2割の患者登録を進めつつ、術後1~2年の経過観察中での再発・転移に注目してサンプル回収を行い、引き続きCTC分離、cfDNA抽出・解析、次世代シーケンス解析を進める予定である。また、cfDNAの次世代シーケンスより得られた結果に基づき、バイオマーカーとなりうる遺伝子変異や分子の絞り込みを図り、CTC・cfDNAと口腔癌遠隔転移や予後との関連を検討する。絞り込んだ分子に関して予後との関連を統計解析する目的で、過去10年間に当科で加療歴のある癌患者生検時のパラフィン切片を用いて免疫染色を中心とした病理組織学的検討(後ろ向き)を行うことを計画している。さらには、他の臨床データ(基礎疾患、内服薬、生活習慣、家族歴等)との関連についても検討する予定である。将来的にはこれらの結果が予後予測のバイオマーカーとなるのみならず、現時点では術後治療の適応が定まっていない口腔扁平上皮癌術後再発中リスク群の治療方針決定の一助となることを期待している。
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