研究課題/領域番号 |
23K24559
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補助金の研究課題番号 |
22H03301 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分57080:社会系歯学関連
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
住友 倫子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (50423421)
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研究分担者 |
川口 敦史 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90532060)
片岡 宏介 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 教授 (50283792)
川端 重忠 大阪大学, 大学院歯学研究科, 教授 (50273694)
山口 雅也 大阪大学, 大学院歯学研究科, 准教授 (00714536)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2022年度: 8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
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キーワード | レンサ球菌 / 細菌性肺炎 / インフルエンザ / 肺炎 / 高齢者気道組織 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,高齢者の気道組織を再現する動物モデルとして,inflamm-agingの表現型を呈するマウス,ならびに,気道上皮におけるヒト病原体センサーが機能するトランスジェニックマウスを感染モデルに応用し,老化と炎症に基づく肺炎の病態形成機構を解明する.また,感染や炎症に伴い上気道組織から細胞外小胞として放出される GP96 の機能に着目し,重症化を予測するバイオマーカーとしての可能性を検証する.
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研究実績の概要 |
高齢者では,血中における炎症性サイトカインの増加や組織における炎症シグナルの活性化が認められ,加齢に伴う慢性的な炎症状態 (inflamm-aging) が誘導される.このことから,高齢者の気道組織では,肺炎の病態形成に適したニッチが形成されると推察される.これまでに,インフルエンザに続発する細菌性肺炎のマウスモデルを構築し,小胞体局在シャペロン GP96 が肺炎の発症と病態形成の増悪因子であることを証明した.当該年度は,感染や炎症に伴い上気道組織に表在化・放出される GP96 による肺炎の重症化分子機構を明らかにするため,気道組織特異的に GP96 を欠損したコンディショナルノックアウト(cKO) マウスを作製した.肺炎の増悪因子であるGP96 (HSP90B1)について、HSP90B1 floxマウスとSftpC-CreERT2マウスを交配しB6 HSP90B1 lox/lox: Sftpc-CreERT2マウスを作出した.このマウスの腹腔内に,タモキシフェンを5日間投与することにより、II型肺胞上皮細胞特異的にGP96を欠損するマウスを作製した.マウスにA型インフルエンザウイルス(IAV)を経鼻感染させた6日後に,肺炎球菌D39株(血清型2型)を経鼻感染させ,肺への細菌の定着と肺炎病態の形成を評価した.その結果,II型肺胞上皮細胞特異的にGP96を欠損するマウスでは,コントロールマウスと比較して,肺への細菌の定着と肺炎の病態形成は抑制された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
インフルエンザウイルスが感染した気道組織に表在化するGP96は二次的に感染する細菌に対する宿主レセプターとして機能するだけでなく、細胞外に遊離し,過剰な炎症応答を誘導するメディエーターとして機能することで肺炎の病態形成に寄与することを証明した.また,II型肺胞上皮細胞特異的にGP96を欠損するマウスの作出に成功し,肺炎の病態形成におけるGP96の機能を動物モデルで証明した.したがって,本研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
感染に伴い細胞外に遊離するGP96と肺炎の病態増悪との関連を検証するため,高齢者の唾液検体を用いて,検体に含まれるGP96と細菌叢の解析し,若齢群から得た結果と比較する.気道組織に発現するGP96と細胞外に遊離したGP96の機能,さらには口腔細菌叢との気道における炎症応答の関連を包括的に理解することで,細菌性肺炎の重症化分子機構の全容解明につながると考える.また,肺炎の増悪因子であるGP96を唾液から検出できれば,GP96を治療標的として感染制御法の確立に応用するだけでなく,重症化予測マーカーとして活用し,唾液を用いた検査・診断法の開発にも展開できると期待する.
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