研究課題/領域番号 |
23K24578
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補助金の研究課題番号 |
22H03320 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
春田 淳志 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (70758911)
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研究分担者 |
照山 絢子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (10745590)
後藤 亮平 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (20780092)
津川 翔 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40632732)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 多職種連携 / リアリスト分析 / 地域診断 / 多職種連携コンピテンシー / 多職種連携教育 / 関係構築 / ネットワーク分析 / マインドライン研究 / アブダクション / 認知的柔軟性 / 視点教育 / Patient journey |
研究開始時の研究の概要 |
この研究は、地域包括ケアシステムの要である病院、診療所、介護施設などで直面する課題に対応するため、医療専門職(医療系学生を含む)、組織、患者、地域がどのように協力し合い、最適な協働(Good collaboration)の形を見出せるかを探求する。専門職や組織間の実態調査、教育介入、地域診断を踏まえ、医療系学生や地域住民が一緒になって領域横断的に協働し、新たな知見を生み出すプロセスを明らかにすることを目指している。このアプローチは、地域医療の質の向上と、地域社会の課題解決に貢献することを目標としている。
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研究実績の概要 |
1.コロナ後に実施している対面の地域診断のプログラムについて2年間の知見が蓄積したため、プログラム評価の論文を執筆している。 2.学生を対象にした多職種連携コンピテンシーの自己評価票の妥当性・信頼性を検証の知見を医学教育学会大会で発表した。3.VR(Virtural Reality)を活用した医学教育の知見をAPMECで発表した。4.コロナ禍でのリスクが個人化する社会において、プライマリ・ケア医は様々なレイヤーの共同体・つながり・紐帯をつくり、不可知で不確実な知識を学習・探求しながら、変わりゆく人や社会を識別した対応をしていることを明らかにし、日本プライマリ・ケア連合学会で発表した。5.医薬看の学部学生を対象に行った北海道稚内市の地域住民参加型の地域診断は、地域の学びだけでなく、学部を超えた個人の背景の理解を基盤に関係が作られることが抽出され、これを日本保健医療福祉連携教育学会で発表した。 6.長崎離島のフィールドワークを実施し、離島の高齢者が抱える複雑な課題への対応について調査した。高齢者の多くは自立への切迫感を抱き、目前となった要介護での自立困難性から「島内日常からの離脱」という先駆的覚悟を持つ一方で、老年的超越としての「土地や人への身体性」を維持することで、豊かな日常を形成していた。 7.全国のプライマリ・ケアに従事している医療専門職を対象に、複雑な問題に対する満足度・自信度・負担度との自己評価と多職種連携コンピテンシーの関連について明らかにした論文が出版された。多職種連携コンピテンシーの自己評価は、医療専門家間の複雑な問題の満足度や自信度に影響を与え、特に満足度が現実の多職種協働を反映している可能性が考えられた。 8.「多職種連携教育・協働をどのように研究として実装するのか」と題して、これまでの代表者と共同研究者らの研究の知見を、保健医療福祉連携16巻2号で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複雑な課題に対する満足度・自信度・負担度と多職種連携コンピテンシーとの関連を調査した論文が出版され、VRを用いた教育、コロナ禍でのプライマリ・ケア医の多職種連携の現状、学生の多職種連携コンピテンシーの自己評価尺度の開発、北海道稚内での医薬看護学部の学生が行った地域診断についての知見を学術大会で発表してきた。また、これまで行ってきた代表者と共同研究者と行ってきた多職種連携に関する研究について、学術雑誌での報告を行い、コロナ禍で止まっていた長崎離島のフィールドワークが2023年は実施できたため、おおむね順調に進展していると考える。ネットワーク分析の研究は次年度以降に持ち越しとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのプロジェクトを継続し、多職種連携と複雑な課題についての現状を明らかにする。具体的には、以下の5つを検討している。 1.大学の臨床実習で実施している、複雑な課題を有する東京近郊の地域診断のプログラムについて、リアリストアプローチを用いたプログラム評価研究の論文を進める。 2.学生の多職種連携コンピテンシーを評価する評価票の妥当性を検証した論文を進める。 3.医薬看護学部の学生を対象に行っている、北海道稚内市における地域住民参加型の地域診断のプログラムにおいて、学生や地域住民が何を経験したのかについて、明らかにしていく。また、北海道稚内市のフィールドワークやアンケート調査で、地域住民はどのような複雑な問題に対して、どのようにアプローチしているのかを明らかにする。 4.長崎県離島のフィールドワークで明らかになった、高齢者が直面する複雑な課題への対応についての知見をさらに深めるべく、再度フィールドワークを行い、知見をまとめていく。 5.目的的サンプリングをもとに協力が得られた全国の病院や診療所に対して、コロナ禍での多職種連携の実態を明らかにする。現在10名の総合診療医・家庭医に対してオンラインでのインタビューを行っているため、コロナ禍での対応で顕れてきた多職種連携の現状について引き続き、まとめる。
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