研究課題/領域番号 |
23K24580
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補助金の研究課題番号 |
22H03322 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
武田 裕子 順天堂大学, 医学部, 教授 (70302411)
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研究分担者 |
大野 直子 順天堂大学, 国際教養学部, 准教授 (90730367)
濱井 妙子 静岡県立大学, 看護学部, 講師 (50295565)
石川 ひろの 帝京大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40384846)
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70195444)
岩田 一成 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (70509067)
柳田 直美 早稲田大学, 国際学術院(日本語教育研究科), 教授 (60635291)
森 篤嗣 武庫川女子大学, 教育学部, 教授 (30407209)
大杉 豊 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 教授 (60451704)
小林 洋子 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 講師 (20736657)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
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キーワード | 「やさしい日本語」 / 医療コミュニケーション / 医療通訳 / 手話通訳 / 健康の社会的決定要因 / 手話言語 / 外国語医療通訳者 / 健康格差 / 正確度分析 / ろう文化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、「やさしい日本語」が日本語を母語としない外国人に理解しやすく、医療通訳者にとっても通訳しやすいという仮説を検証するものです。医師の病状説明を通常の日本語と「やさしい日本語」で行ったものを、外国人や医療通訳者に聴いてもらい、違いが生じるかを分析します。さらに、外国語通訳者や手話通訳者と医療者がいるときに、医療者ができること、すべきことのポイントをまとめた手引書を作成して広めます。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、「やさしい日本語」による医療的な情報を、音声や書き言葉で表し、その内容が(1)非日本語話者・ろう者にどれくらい伝わりやすいか、(2)外国語医療通訳者・手話通訳者による通訳の正確性を増すかを量的に評価しようというものである。 1.非日本語話者(外国人)への伝わりやすさに関する量的測定:本年度は、①音声を聴いてそれが意味するイラストを選択するプログラムの開発、②参加者が聴く音源(文章)の設定を行った。文章は、単語のレベル(basic,日本語検定3級・4級)・構文・文章の長さ・分量等の難易度を基に、コロナワクチン接種会場での言葉かけにすることとした。 2.外国語医療通訳者(日本語母語話者)の通訳の正確度分析と手話通訳者(日本語母語話者)の通訳のしやすさ・正確さ評価:測定に用いる医療的な情報の分量や難易度について検討した。その結果、国立国際医療研究センターが公開している外国語医療通訳者のためのテキストを用いることとなった。5つのシナリオを選び、研究メンバーで合議して「乳がんの検査結果の説明」と「腎盂腎炎の診断と治療法」についてのシナリオを用いることにした。それぞれのシナリオの「やさしい日本語」版を作成した。同程度の分量となるように調節し、録画した。それらの動画を用いて、パイロット調査を実施した。外国語通訳者には、終了後にアンケート用紙に記入してもらい、振り返りのインタビューを行った。手話通訳者群は、直後に各自でアンケート用紙に記入したのち、グループディスカッションを行った。外国語医療通訳者の通訳内容については、正確度分析を実施した。シナリオの難度が高く、「やさしい日本語」以前に、専門用語の通訳に手間取ってしまったこと、また、手話言語にとっての「やさしい」表現は、日本語とは異なる可能性が示唆された。 3.医学生が「ことばの壁」を体験する「手話の病院」を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外国人と外国語医療通訳者、手話通訳者を対象にした説明文の伝わりやすさについては音声で伝達するもので、測定系をある程度組み立てることができた。ろう者への伝わりやすさは、文章で表現することになり、日本語を母語としない在住外国人への音声テストとは、異なる文章が必要であることが判明した。測定に適した文章については、今回、シナリオを選んだように構文・文章の長さ・分量等を考慮して、別途検討する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
1.非日本語話者(外国人)への伝わりやすさに関する量的測定:コロナワクチン接種会場での言葉かけの文章を、「やさしい日本語」と一般的な日本語で用意する。それを聴いた外国人が選択する行動を表すイラストを正しい行動・誤った行動を含めて用意する。前年度に開発したソフトに音源とイラストを組み込んで、パイロット調査を行う。その結果を見て、文章表現やイラストの再検討を行う。大きな修正がなければ、同じPCソフトを用いて本調査を実施する。 2.外国語医療通訳者・手話通訳者への伝わりやすさの検討:①パイロット調査で用いたシナリオの改訂版を作成する、②①を録画する、③②を用いて再度、少人数で実施調査を実施する。本年度は対面で調査する。 3.ロチェスター大学他米国の大学視察:医療通訳者との協働が進んでいる米国の病院ならびに、ろう者の高等教育機関・研究所として有名なロチェスター大学を視察する。どのように卒前・卒後教育のなかで、英語を母語としない患者とのコミュニケーションについて教育しているか、ろう者のコミュニケーション・バリアを乗り越える教育をどのように行っているか、さらには学生の多様性にどのように対応しているか、聴き取り調査を実施する。
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