研究課題/領域番号 |
23K24582
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補助金の研究課題番号 |
22H03324 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58010:医療管理学および医療系社会学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
茅野 功 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (70390242)
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研究分担者 |
田中 直子 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (40435350)
望月 精一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (60259596)
高山 綾 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (60413514)
井上 貴博 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (70388940)
宮崎 仁 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (20550396)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | 医療用テレメータ / 医用テレメータ / マルチホップ / マルチホップ通信 / 病院内電磁環境 / EMC |
研究開始時の研究の概要 |
複数の患者の生体情報を離れた場所から観測できる無線型医用テレメータは,その利便性から導入する病院が急増している.しかし,実際には受信不良のトラブルが多く通信の信頼性の確保は極めて重要な課題である. 本研究は,マルチホップ通信技術を応用し,現在のテレメータで使用される周波数帯域の変更や送信電力を増大することなく,かつ,病院の設備変更や増改築時にも受信用漏洩同軸ケーブルの再敷設を必要としない,信頼性を向上させる通信システムを提案する.また,FDTD法による電磁界シミュレーションと併せ,情報漏洩を軽減する手法の提案を行い,無線型医用テレメータの信頼性と有用性を飛躍的に向上させる通信手法を確立する.
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研究実績の概要 |
2023年度では研究実施計画に基づき,まず,昨年度までに試作した本研究の主幹となる「マルチホップ通信を用いた新しい通信方式による医療用テレメータシステム」のリピータ化と位置判別システムの追加による改良を実施した.具体的には,それぞれの子機が親機までの通信のために必要なホップ数を表示できる機構を追加し,子機上での弱電界エリアがリアルタイムで可視化できるようになった.また,子機同士の通信電界強度から現在位置を把握するアルゴリズムを検討し,これに基づくハードウェア設計および親機によるソフトウェア制御を組み入れることによって,子機の現在位置をリアルタイムで推定できるようになった.これらの改良した試作システムを用いて通信実験を実施し,8台の子機端末を半径150mの範囲内で3秒以内の遅延を確保しながら心電図の送信と位置情報の表示が可能になった.本システムについて特許出願を行った. さらに,現在の医療用テレメータにおける通信方式との互換性を持たせる機構について検討し,通信方式のスイッチ化アルゴリズムを検討し試作に取り入れた.ただし,このスイッチ化の有効性の検討については十分なされておらず,次年度に実施する予定である. 次に,昨年度までに構築したFDTD(Finite-Difference Time-Domain Method)法に基づく電磁界シミュレーションモデルを用いて大学構内での本システムを用いた場合の電磁界環境シミュレーションを実施した.その結果,従来法の通信方式である420MHz帯域と提案方式である2.4GHz帯域での電波遮蔽物による弱電界エリアの領域はほぼ同等であり,また通信実験においてもこれが裏付けられ,医療用テレメータとして2.4GHz帯域の電磁界を用いることの有効性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2023年度では,昨年度までに試作した新しい通信方式を採用した医療用テレメータシステムの試作について,マルチホップ数の可視化と位置判別システムの追加について検討することとしていたが,それに加えて従来法である通信方式とのハイブリッドシステムについて検討し,これを改良品に組み入れ検討することができ,当初の計画以上に進展している. また,電磁界環境シミュレーションおよび電磁界環境測定については,当初大学構内および病院内双方のシミュレーションと実験を実施する予定であったが,通信方式に2.4GHz帯を採用しており,病院内の他の医療システムおよび通信機器との障害を避けるため,大学構内を病棟に見立てた模擬病棟を構築しこれに代行させた.その結果,シミュレーションは実際の電磁界測定とよく一致しており,シミュレーションの有用性と本システムの有効性を確認できている.この結果を基に病院内のモデル構築およびシミュレーションを実施することで,病院内での本システムの有用性を確認することが可能となり,来年度実施予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度では,2023年度に作成した「現在の医療用テレメータにおける通信方式との互換性を持たせるハイブリッド機構アルゴリズム」について,そのスイッチ機構を改良すると共に子機の位置判別手法の改良に取り組む.本提案通信手法が病院に普及された場合,現在病院内で配備された現在の通信システム用のアンテナ(漏洩同軸ケーブル等)がすべて利用できなくなる.本研究での提案手法と現在の通信方式を通信状態に応じて切り替えるアルゴリズムが効率化すれば,これまでの設備を活かしつつ通信安定性を確保することができ,かつ現在では把握することができない患者の位置情報をも取得できるようになり,本システムの有用性をさらに高めることができる. また,本システムは病院内に限らずドクターヘリやドクターカーなどの移動物体中においても有用なシステムとして利用可能となる.このため,これらの移動物体中の電磁環境の把握は,医療設備の安全性確保のために必須であり,これまでと同様にFDTD法を用いた電磁界シミュレーションと実測を実施予定である. さらに,子機を患者ではなく建物内に固定しリピータとして使用した場合の患者位置判別手法について検討し,より患者位置の精度を高めるアルゴリズムの検討を行う.上記FDTD法に基づく電磁界シミュレーションを複数の放射源による演算に切り替え,これにより最適なリピータの配置方法について検討し,本提案システムの高性能化を図る.
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