研究課題/領域番号 |
23K24611
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補助金の研究課題番号 |
22H03353 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58030:衛生学および公衆衛生学分野関連:実験系を含まない
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
川崎 良 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (70301067)
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研究分担者 |
布施 昇男 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 教授 (10302134)
原田 成 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10738090)
佐々木 真理子 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (60276342)
大久保 孝義 帝京大学, 医学部, 教授 (60344652)
平良 摩紀子 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (60792140)
中島 悠太 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 准教授 (70633551)
李 良知 大阪大学, データビリティフロンティア機構, 特任助教(常勤) (10875545)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 高血圧 / 眼底写真 / 網膜血管 / スクリーニング / 人工知能 / 循環器検診 / 健康診断 / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
1970年代から眼底検査は「高血圧の臓器障害としての血管形態変化を検出する」という目的で用いられてきた。本研究では逆転の発想で眼底写真を入力とし、循環器疾患危険因子を出力に据え、血液検査でしか得られない循環器疾患危険因子の保有状況(リスクプロファイル)を眼底画像から推定し、国内外の複数の大規模疫学研究で検証する。その成果は、通常の健康診断を受ける以前により簡便に、非侵襲で、繰り返し測定できる個別化された新しい予防医療アプローチ(「新・眼底健診」)の可能性を切り拓くものとなる。
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研究実績の概要 |
1970年代から続く循環器疾患の検診において、眼底検査は「高血圧の臓器障害としての血管形態変化を検出する」という目的で用いられてきた。一方で、医師の眼には微細すぎて判別できないような形態変化であっても医用画像解析に大きな成果を上げつつある深層学習を用いて、眼底画像から「血圧値、ヘモグロビンA1C値、HDLコレステロール値、LDLコレステロール値、中性脂肪値、body mass index、推定糸球体濾過量喫煙習慣(現在喫煙・過去喫煙・喫煙歴なし)、運動習慣、食事習慣」の状態を推定する深層学習モデル群の試みが報告されている。そこで本研究では、眼底写真を入力に、循環器疾患危険因子を出力に据えて、「血液検査でしか得られない循環器疾患危険因子の保有状況(リスクプロファイル)を眼底画像から得ることができる。」という新たな仮説を検証すべく、深層学習モデル群の開発を進めてきた。今回、国内外の複数の大規模疫学研究のデータを用いてその精度を検証するとともに、社会実装に向けた技術的なロードブロックを乗り越えるべく実証研究を行う。 具体的には国内外の大規模疫学コホート研究で既に取得されている情報を用いて、(1)眼底画像から高精度で循環器疾患リスク因子を推定する深層学習モデル作成と検証、(2)眼底カメラ機種、画像仕様に対応した一般化可能性の高い深層学習モデル作成、(3)眼底画像から循環器疾患リスク因子の経時的変化を推定する深層学習モデルの作成、を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、国内外の疫学研究の協力のもと、畳み込みニューラルネットワークによる深層学習モデルを用いて研究を進めるている。今年度は大規模データセットの確保と画像やデータの評価、AIモデル作成に重点を置いて研究した。 (1) 眼底画像から高精度で循環器疾患リスク因子を推定する深層学習モデル作成と検証:古典的循環器リスク因子(年齢、性別、喫煙歴、糖尿病既往、高血圧既往、収縮期血圧及び拡張期血圧、ヘモグロビンA1c、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、body mass index及び肥満)を推定する。UKバイオバンク研究の公開データセットで深層学習モデルを作成し、報告した。並行して、国内のコホート研究の眼底画像蓄積状況を確認し、必要に応じてフィールド調査を支援し、データセットとしての蓄積を行った。 (2)眼底カメラ機種、画像仕様に対応した一般化可能性の高い深層学習モデル作成:眼底画像はカメラ機種、画像仕様により異なる。今年度はまず機種ごとの前処理なしでのモデル作成を進めた。また、手持ち型のカメラなど病院外での画像取得について検討した。 (3)10万人規模の眼底画像を有する疫学コホートデータセット構築:眼底写真を有する国内研究として、大迫研究(約1,000名:取得済み)、東北メディカルメガバンク(約23,000名:取得済み)、鶴岡メタボロームコホート研究(約2,000名:取得済み)、国外の研究としてUK Biobank(約50000名)、Asian Eye Epidemiological Consortium(約20,000名)で画像の確認を行った。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続き国内外の疫学研究の協力のもと、畳み込みニューラルネットワークによる深層学習モデルを用いて研究を進める。 (1) 眼底画像から高精度で循環器疾患リスク因子を推定する深層学習モデル作成と検証:単一研究により作成した深層学習モデルでの解析を精緻化し、現在の古典的循環器リスク因子(年齢、性別、喫煙歴、糖尿病既往、高血圧既往、収縮期血圧及び拡張期血圧、ヘモグロビンA1c、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪、body mass indexの推定精度を向上させ、平均平方二乗誤差率root mean absolute percentage errorでMAPE±5%以下の達成を目指す。並行して、国内のコホート研究の眼底画像蓄積状況を確認し、必要に応じてフィールド調査を支援し、データセットとしての蓄積を行う。 (2)眼底カメラ機種、画像仕様に対応した一般化可能性の高い深層学習モデル作成:眼底画像はカメラ機種、画像仕様により異なるため、前処理なしでモデルを作成したが、新年度、機種、解像度、解析対象領域の制限、パッチ画像化などの前処理の段階での比較研究を行う。 (3)10万人規模の眼底画像を有する疫学コホートデータセット構築を目指して:眼底写真を有する国内研究として、大迫研究、東北メディカルメガバンク、鶴岡メタボロームコホート研究の解析に着手する。加えてさらなる国内コホート研究(約10,000名交渉中))、フランス・デンマーク他4研究(約10,000名交渉中)についても同様の共同研究体制の構築を図る。
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