研究課題/領域番号 |
23K24630
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補助金の研究課題番号 |
22H03372 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58050:基礎看護学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
三浦 由佳 藤田医科大学, 社会実装看護創成研究センター, 講師 (30791587)
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研究分担者 |
真田 弘美 石川県立看護大学, 看護学部, 教授 (50143920)
河本 敦夫 東京医科大学, 医学部, 診療放射線技師 (10622764)
松本 勝 石川県立看護大学, 看護学部, 准教授 (40751904)
玉井 奈緒 横浜市立大学, 医学部, 教授 (80636788)
長谷 剛志 金沢大学, 医学系, 協力研究員 (60770609)
小路 和幸 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 客員研究員 (60897726)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 超音波検査法 / 誤嚥性肺炎 / 咽頭残留 / 画像処理 / 人工知能 / 超音波 / 訪問看護 / 在宅医療 / 看護理工学 / 遠隔教育 / 摂食嚥下 / ビッグデータ |
研究開始時の研究の概要 |
エコーを用いた嚥下観察は非侵襲で在宅でも訪問看護師が活用可能であるが、まだ十分に普及していない。要因として、複雑な咽頭・喉頭の解剖を理解して撮影を行うことの難しさと、エコー画像から誤嚥や咽頭残留を評価し、どのような摂食嚥下ケアを行うべきか判断することの難しさが挙げられる。本研究では撮影のスキルを立体画像によって支援する新たな教材の作成とともに、臨床の現場での看護師によって取得されたエコー画像と摂食嚥下ケアのデータ集積を行い、最適な摂食嚥下ケアを提供するケアアルゴリズムを作成する。これによりエコーを用いた嚥下の観察方法が普及し、将来的には誤嚥性肺炎予防に貢献すると考える。
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研究実績の概要 |
【目的】1)画像処理を利用したエコーによる誤嚥物・咽頭残留物を着色した画像と実施した肺炎予防のための介入内容を結合したデータベースを作成すること。2)データベースから深層学習を用いて誤嚥性肺炎の予防のためのケア介入アルゴリズムを提案し、その有効性検証と介入の実装評価を行うこと。 【方法】2023年度は目的1)の達成のため①訪問看護師などへのエコーを用いた嚥下観察の技術教育の実施、② オンラインサーバーを用いた訪問看護の現場でのエコー画像収集を行った。また、2)の介入アルゴリズム作成のために③現場でエコーを活用したことにより生じた変化についてインタビューを行った。 【結果】①については看護師33名に加え、協働する理学療法士3名、作業療法士3名、言語聴覚士6名、介護福祉士7名がエコーを用いた嚥下観察の技術教育プログラムを受講し、全体の80%以上が喉頭蓋谷、梨状窩のエコーを用いた観察について理解できたことを確認した。②については計163枚の喉頭蓋谷および梨状窩のエコー画像を集積した。③については【利用者への影響】として、<経口摂取を可能とする選択肢の増加><ケアに対する納得><吸引の必要性の担保>が抽出された。【スタッフへの影響】として、<評価に対する納得><共有する情報の増加><振り返りの機会の増加>が抽出された。 【研究の意義と重要性】エコーを用いた嚥下観察は非侵襲で在宅でも訪問看護師が活用できる可能性があるにも関わらず、十分に普及していない。要因として、複雑な咽頭・喉頭の解剖を理解して撮影を行うことの難しさと、エコー画像からどのような嚥下ケアを行うべきか判断することの難しさが挙げられる。撮影のスキルを支援する新たな教材とともに、臨床の現場での看護師によって取得されたエコー画像と嚥下ケアのデータ集積により、観察方法が普及し、将来的には誤嚥性肺炎予防に貢献すると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は看護師に加え、摂食嚥下リハビリテーションにおいて協働するリハビリ職、介護職らにもエコーを用いた嚥下観察の技術教育プログラムを提供し、受講者の多くが観察技術について理解したことを確認できた。また、教育プログラム受講者にエコー機器の貸し出しとオンラインサーバーを用いた取得画像へのフィードバックシステムの提供を行い、データベース作成のための喉頭蓋谷および梨状窩のエコー画像を集積することができた。そして、教育プログラム受講者へのインタビューより、エコーでの嚥下観察が経口摂取の選択肢増加や吸引といったケアに関与し、自身で納得しながら介入を実践できていることが確認された。これらの結果より、当初目的としていた、画像処理を利用したエコーによる誤嚥物・咽頭残留物を着色した画像と実施した肺炎予防のための介入内容を結合したデータベースの作成につながる基礎データの取得はできていると言える。しかし、画像処理を用いたエコー画像と頸部3D画像の同時提示システムはまだ完成しておらず、エコー画像を取り入れた嚥下視える化データベースの有効性の検証にはまだ至っていないため、「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度以降の研究はそれぞれ、以下の計画で進める。 1.画像処理を用いたエコー画像と頸部3D画像の同時提示システムの確立 目的は、画像処理を用いて誤嚥・咽頭残留を着色したエコー画像とエコープローブの走査部位を示す頭頚部の3D画像を同時に提示する方法を作成することである。研究デザインは横断観察研究で、摂食嚥下障害が疑われ3DCTの受診予定の入った患者を対象とする。エコー画像へは申請者がこれまで作成した誤嚥・残留検出のための画像処理方法を適用し、誤嚥物・残留物を着色する。3DCT画像とエコー画像と同期させ、1つのモニター画面上に提示するシステムを作成する。残留物についてはCT画像から体積の計算を行い、残留量についてエコー画像から推定し提示できるようにする。 2.エコー画像を取り入れた嚥下視える化データベースの作成と有効性の検証 目的は、1.のシステムを用いてエコーでの嚥下観察方法を学んだ訪問看護師がエコーデータを収集し、ケア介入の内容と結合してデータベース化し、その有効性を検証することである。研究デザインは前向きコホート研究で、画像処理を用いたエコー画像と頸部3DCT画像の同時提示システムを用いてエコーでの嚥下観察方法を学んだ訪問看護師10名がデータ収集を行う予定である。摂食嚥下障害が疑われる在宅療養者を対象とし、フォローアップ期間は12カ月間とする。誤嚥の有無と咽頭残留の有無を観察するためのエコー画像、訪問看護師によるエコーを用いた誤嚥・咽頭残留のアセスメントの内容、食事形態の調整や吸引の実施など提供された摂食嚥下ケアの内容、誤嚥性肺炎の発生の有無を結合したデータベースを構築する。有効性のメインアウトカムは誤嚥性肺炎の発生率、サブアウトカムは食事形態の調整、吸引、交互嚥下の実施割合とする。
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