研究課題/領域番号 |
23K24656
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補助金の研究課題番号 |
22H03398 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58060:臨床看護学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
中山 優季 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, ユニットリーダー (00455396)
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研究分担者 |
清水 俊夫 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, 研究員 (50466207)
木田 耕太 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立神経病院(臨床研究室), 脳神経内科, 医師 (30626601)
森島 亮 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立神経病院(臨床研究室), 脳神経内科, 医師 (10897135)
林 健太郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, 研究員 (80650390)
石澤 圭介 公益財団法人東京都医学総合研究所, 社会健康医学研究センター, 研究員 (10327025)
小森 隆司 公益財団法人東京都医学総合研究所, 病院等連携支援センター, 研究員 (90205526)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,560千円 (直接経費: 11,200千円、間接経費: 3,360千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 非運動症状 / 追跡コホート / 自律神経評価 / 慢性期人工呼吸ケア / 心拍変動解析 / 慢性期人工呼吸療法 / 栄養代謝 / 病変の拡がり / 自律神経障害 / データベース |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、筋萎縮性側索硬化症における非運動症状に対する看護ケアの確立を目的に、診断時点からの前向き経過観察を主軸に、非運動症状の出現がいつから、どのようにはじまるのかを探ること、および神経生理や病理学的所見を基盤とした機序解明により、どのように対処すればよいか(ケアの指針)を明らかにすることを目指した研究である。
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研究実績の概要 |
本研究の2年目では、以下の成果を得た。 1栄養・代謝:気管切開下人工呼吸療法(TIV) 実施者5例に対する持続血糖モニタリングを行い、既測定計12例について解析した結果、高血糖・低血糖をきたしやすく、特に夜間の低血糖を生じやすいことを示した。 2自律神経機能:MemCalcによる心拍変動測定(HRV)について、外来通院時期の対象、計34例について安静2分間・課題1分間・後安静2分間計測し、3時点比較を継続した。また、意思伝達困難期にある対象について生体信号を用いた意思伝達装置の試行時にHRVを測定し、リラックス時と集中時では指標に違いがあることを示した。 3慢性期人工呼吸器ケア:2010年以降のALS診断889例の呼吸療法の選択とオピオイドの利用について調査し、呼吸療法選択せず187例、マスク式(NIV)293例、TIV124例、初期・不明285例であった。オピオイドはNIVにおいて投与者が多かった。 4認知・精神機能:患者・介護者関係に最も影響を及ぼす情動制止困難について、5例の面接調査を実施し、思いが伝わらないことや痛みなどきっかけと対処について収集した。 5神経生理・神経病理:(1)神経生理では、TIV後長期療養でのcompletely locked-in state(StageV)にあるALSでは中枢感覚反応が高率に消失することを論文化し、意思伝達への感覚機能の利用は困難であることを示した。(2)神経病理では、既存の病理例から、急速と緩徐進行での病変の拡がりを比較し、病変拡大は病態の本質にかかわり、臨床経過にも影響を及ぼす可能性があることを示した。また10年以上の長期TIV実施14例における剖検肺の検索により、間質の病的変化、肺胞壁の破壊はみられず保たれる一方で、肺気腫様の過膨張がみられ、末梢血管床の内圧が上昇することで、肺高血圧症に類似した病態となりうることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非運動症状のうち、栄養・代謝、自律神経、慢性期人工呼吸、認知・精神機能に焦点を当て、これまでの蓄積データからの後ろ向き分析を進めるとともに、診断時時点を起点とする前向きな追跡体制を構築した。倫理承認までに、時間を要したが、実施許可以降は、コンスタントに登録者を得られている状況にある。 各非運動症状の収集と検討については、それぞれの症状について、進捗に差がある。全体として、各症状におけるケアの課題が焦点化しつつあり、2年目時点としては、概ね順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
診断時時点での登録を起点とするコホート追跡体制を用いて、更なる症状の蓄積を図り、各症状の機序解明につなげる。具体的には、1)栄養・代謝:人工呼吸療養期における血糖値の日差・日内変動データ収集継続に加え、蓄積データの分析を行い、長期経過での栄養・代謝変化を明らかにする。そのうえで、長期TIV期における至適栄養投与量について検討する。 2)自律神経:HRV測定の縦断調査を継続し、自律神経障害の生じうる時期について探索を進める。加えて、HRV指標について、StageVにおける随意、不随意状態の識別やケアの効果判定等、ケアの場面での活用方策について検討する。 3)慢性期人工呼吸:人工呼吸実施者における肺合併症や死因についての検討をさらに深める。加えて、蓄積データの分析から、人工呼吸器設定と非運動症状、合併症の出現や予後との関連を検討する。 4)認知・精神:当事者へのインタビュー調査を継続し、感情が抑えきれないこと(情動制止困難)が生じる増悪および改善因子の探索を進める。 5) 神経生理・神経病理:神経生理では、神経伝導検査や感覚系誘発電位の所見が,意思伝達障害や生命予後の予測因子となりうるかを探索する。神経病理では、病変の拡がり検索として、連続剖検例の蓄積を継続し、運動ニューロン系を超えた広がりに付いて、TDP-43の蓄積分布の検討や非運動症状と非運動神経病変との関連を検索する。
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