研究課題/領域番号 |
23K24658
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補助金の研究課題番号 |
22H03400 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58070:生涯発達看護学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
法橋 尚宏 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (60251229)
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研究分担者 |
深堀 浩樹 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (30381916)
小林 京子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (30437446)
西垣 佳織 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (90637852)
副島 尭史 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (00768989)
濱本 知寿香 大東文化大学, 経済学部, 教授 (00338609)
道上 咲季 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 政策医療企画研究部, 研究員 (40817813)
島田 なつき 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (10817183)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 家族同心球環境理論 / 家族支援ガイドライン / 家族アセスメント/支援モデル / 遠隔家族支援 / 普及プログラム |
研究開始時の研究の概要 |
法橋が提唱した家族同心球環境理論(CSFET)の実践体系などの実装研究、普及研究であり、具体的な家族支援技術を抽出し、国内外(日本、中国本土・香港、インドネシア、フィリピン、アメリカ)の家族に臨地応用し、多職種協働で広範囲な家族症候(家族の問題現象)にインターベンション(家族支援)研究を行う。ランダム化比較試験(RCT)、家族エスノグラフィックリサーチなどにより、家族支援ガイドラインを作成し、家族お悩み相談室(看護クリニック)などで検証を繰り返し、実践的な家族支援ガイドラインに改良する。各種ツールなどをデジタル化し、対面法と遠隔法の両方で活用できる普及プログラムを開発し、国内外で社会実装する。
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研究実績の概要 |
法橋が提唱した家族同心球環境理論(CSFET)にもとづき,家族・家族環境アセスメント/インターベンションモデル,家族ビリーフシステム理論,家族トランセンデンス理論,基礎家族看護学・家族機能学,理論家族看護学・実践家族看護学概論,仏教家族看護理論を改良し,CSFETを用いた家族アセスメント/支援モデルの普及プログラムを開発した. 具体的には,例えば,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に着目し,COVID-19パンデミックが島嶼部で暮らす高齢者がいる家族におよぼした影響,その経時的変化を感染拡大期間別に明らかにすることを目的とし,CSFETを理論的枠組みとして家族エスノグラフィックリサーチを実施した.230日におよぶフィールドワークを行い,参加観察,インフォーマルインタビュー,20家族へのフォーマルインタビューなどからのデータをフィールドノートにまとめた.第2波の家族内部環境における“家族員の感染予防を含む健康行為への意識向上”などのポジティブインパクト,第7波の家族時間環境における“感染者数が増加しているため,感染してしまうことへの諦め”などのネガティブインパクトがあり,このような影響の経時的変化も明らかにし,実践的な家族支援モデルを構築した. その他,家族プロット年表の開発,家族スピリチュアリティ支援としての家族ライフレビュー,治療的コミュニケーション,仏教家族看護のメソッド,生殖補助医療受療カップルへの支援,老老介護家族の家族症候とその影響因子などに関する研究を実施し,原著論文を公表した. また,家族同心球環境理論研究会の運営,家族お悩み相談室およびこころといのちの相談室での家族看護実践を継続している.2024年1月からは,能登半島地震の被災地に15日間滞在し,主に孤立集落となった被災家族への支援を行い,CSFETを用いた家族アセスメント/支援モデルを実装した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究課題の4つの目的に分けて進捗状況を整理する.4年間という研究期間の2年目としては,当初の計画以上に研究が進展し,その成果は多数の論文,書籍,学術集会などで公表している. 1)新しく家族・家族環境アセスメントモデル[FFEAM]と家族・家族環境インターベンションモデル[FFEIM]として構築し直した.そして,問いかけ話法の三次元構造,ファミリーライフレビュー,家族看護学への段階,家族トリアージのピラミッドモデル,家族ケアリングの構成的理念,3者関係に埋め込まれた家族システムユニット,仏教家族看護モデル,直接家族スピリチュアリティ支援などを新規に開発した. 2)遠隔家族支援のために,遠隔地からヴァーチャルエスノグラフィックリサーチを実践している.また,家族アセスメントツールの新規開発,改良,整備(英語版,中文版(簡体字,繁体字),日本語版,インドネシア語版,フィリピン語版の作成)を行っており,家族アセスメントツールやプログラムをウェブサイトで順次公開している.インターベンション研究のためにウェブサイトを構築しており,ホリスティック看護学,仏教家族看護学などの内容を新規に作成,ウェブサイトで公開した. 3)CSFETとその特殊理論は,家族エスノグラフィックリサーチ,面接調査,文献検討などを実施し,CSFET式ナースの家族お悩み相談室などにおける家族インターベンションをとおして検証と改良を繰り返している.また,能登半島地震の発生にともない,奥能登において主に孤立集落となった被災家族への支援を行い,家族アセスメント/支援モデルの実装を強化した.家族ケア/ケアリング理論,家族症候学,家族・家族環境アセスメント/インターベンションモデルなどについては,解説書を執筆した. 4)対面法と遠隔法の両方で実装研究を行っている.研究成果は,社会実装に向けて市民交流会(地域住民交流会)を7回開催した.
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今後の研究の推進方策 |
感染症危険情報を考慮しながら,研究可能なフィールド(兵庫県,長崎県(島嶼部),熊本県(山間部),中国本土・香港,インドネシア,フィリピン,アメリカなど)において,家族症候を呈している家族を対象としてインターベンション研究を計画,実施する.CSFETとその特殊理論は,日本の幅広い地域で生活する家族,さまざまな国・地域で生活する家族を対象として開発しており,今後も同様にFFEAMとFFEIMがグローバルに活用できるように開発していく方針とする. 各家族症候の影響因子,家族支援メソッドを抽出する作業を継続し,各種家族アセスメントツールの改良,FFEAMとFFEIMの改良,家族支援ガイドラインの開発を行う.家族アセスメントツールなどをデジタル化し,ウェブサイトで公開する.デジタル化したツールを導入することで,遠隔家族支援の効率化,円滑化,情報共有の活性化を可能にする.さらに,実装研究,普及研究を成功させるために,市町村のステークホルダーに働きかける. 倫理審査委員会の承認後,協力施設,法橋が運営している家族お悩み相談室,こころといのちの相談室などにおいて,家族症候の影響因子スキーマと家族仮説演繹的臨地推論などを適用する.家族症候の影響因子,家族支援メソッド(エビデンス,実践知)は,CSFETにもとづいたダイレクトコンテントアナリシスやハイブリッドモデルにより分析し,家族アセスメントツールの改良,家族支援メソッドの標準体系を構築する.遠隔家族支援のために,これらのウェブ版,タブレット型コンピュータ版などを考案,公開する.ツールなどの完成版は,ウェブサイトで随時公開し,各国・地域の理論家,研究者,実践者に提供する.さまざまな場所で地域住民交流会などを開催することで当事者家族と交流し,社会実装の方策を検討する.また,能登半島地震の発生にともない,被災家族への支援も新しく追加して計画する.
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