研究課題/領域番号 |
23K24682
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補助金の研究課題番号 |
22H03424 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分58080:高齢者看護学および地域看護学関連
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
山田 律子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (70285542)
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研究分担者 |
池田 学 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (60284395)
会田 薫子 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 特任教授 (40507810)
平野 浩彦 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (10271561)
千葉 由美 横浜市立大学, 医学部, 教授 (10313256)
松本 望 日本女子大学, 人間社会学部, 講師 (10758668)
會田 英紀 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (10301011)
枝広 あや子 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 専門副部長 (90433945)
飯田 貴俊 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 教授 (20747787)
飯泉 智子 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 講師 (10445942)
内ヶ島 伸也 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (80364264)
若濱 奈々子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (20822761)
舩橋 久美子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (70866061)
武部 久美子 つくば国際大学, 医療保健学部, 教授(移行) (60439495)
辻 幸美 北海道文教大学, 人間科学部, 講師 (90756644)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 認知症高齢者 / エンドオブライフ / 食支援 / 多職種 / EOLケアガイド / エンドオブライフ・ケア / 食べる喜び / comfort feeding / ケアガイド / 介護保険施設 / 認知症 / 高齢者 / 看取り |
研究開始時の研究の概要 |
エンドオブライフ(EOL)期にある認知症高齢者の「食べる喜び」を支えるケアを試行錯誤しながら提供している現状がある。 そこで、本研究の目的は、介護保険施設等における多職種チームによる認知症高齢者の「食べる喜び」を重視したEOLケアガイドを開発することとした。 方法は、2022年度に文献レビュー、実践知の集積、有識者会議を経て「食べる喜び」を重視したEOLケアガイドの内容を検討し、また全国調査で現状を把握した。2023年度はEOLケアガイド試案を作成した。2024年度はその信頼性・妥当性を検討し、2025年度はEOLケアガイドを用いたランダム化比較試験を実施し、その効果を検証する予定である。
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研究実績の概要 |
令和6年1月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行され、エンドオブライフ(EOL)まで本人の意向を尊重するために、本人・家族と医療・ケアチーム間の対話のプロセスを重視するACP(advance care planning)が推進されている。しかしながら、会田班の調査では、令和5年末から現場で使用されるようになった「認知症サポーター養成講座標準教材 改訂版」などの認知症の人の意思決定支援と称する複数のテキストでは、代理判断する人の指名と事前指示書の作成が推奨されるなどの課題が明らかにされた。このような背景のもと、本研究班が開発する「EOLケア・ガイド」では、本人の意向を尊重するための具体的な対応方法を明示していくことの必要性が示された。 今年度はPretest-Posttest Designによる研究を計画していたが、介護保険施設では2023年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行後も感染予防対策を継続していたために実施が不可能であった。このため、今年度は専門家会議や研究会等を通して、「EOLケア・ガイド」の内容妥当性の向上に努めた。また研究会等を通して、障害者施設等一般病棟に入院する認知症高齢者の「EOLケア・ガイド」の必要性という新たな課題が見い出された。 さらに會田班は、要介護高齢者103名を対象に、低栄養を国際的な低栄養の診断基準であるGLIM criteriaで診断した上で,口腔機能との関連を検討した。その結果、低栄養群では,口腔の協調運動や食物の送り込み,嚥下機能の低下とともに,リンシングとの有意な関連が認められた。すなわち、EOL期にあってもリンシングが可能な者は咀嚼が可能で栄養状態が良好であることから,その初期では多職種でも評価可能なリンシングが口から食べる喜びを支えていく上での一つの指標になり得ることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたPretest-Posttest Designによる研究は、2023年5月の新型コロナウイルス感染症5類移行後も感染予防対策を継続していたために実施できなかった。しかし、専門家会議や研究会等を通して、「EOLケア・ガイド」の内容妥当性の向上を可能にした。さらに、そのプロセスを通して、新たな研究課題として、障害者施設等一般病棟における認知症高齢者の「EOLケア・ガイド」の必要性という新たな課題が見い出された。また、多職種で構成した研究班ゆえの強みでもあるが、今年度、会田班の調査により、改めて認知症基本法をふまえた「EOLケア・ガイド」の内容についての多面的な検討を加えることができた。加えて會田班による今年度の研究と、先に実施した認知症高齢者グループホームにおける研究によって、EOL期においても栄養状態が良好の認知症高齢者においては、リンシングと咀嚼機能が保持されていることが示された。 以上のことから、令和5年度の計画は研究施設のコロナ感染対策の継続により実施できなかったものの、別法により「EOLケア・ガイド」の内容妥当性を高めることが可能であったこと、加えて当初の計画以上に進展した研究が複数あったことから、本研究の総合評価として「おおむね順調に進展している」と判定した。
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今後の研究の推進方策 |
1. 障害者施設等一般病棟に入院する認知症高齢者の「食べる喜び」を重視した多職種連携によるEOLケアの現状と課題について 今年度の研究プロセスで新たに見出された障害者等一般病棟における認知症高齢者のEOLケアの現状と課題を明らかにするために、今後は、当該施設に勤務する多職種を対象者として、EOLケアを提供中の認知症高齢者の属性やcomfort feedingの量的・質的評価、ならびに「食べる喜び」を重視したEOLケアの自己評価と多職種連携による実施内容について調査を行う。これらの調査で得られた研究結果を、現在、作成中の「EOLケア・ガイド」に反映させて、汎用性が高いものとすることを目指す。
2. 認知症高齢者の「食べる喜び」を重視した「EOLケア・ガイド」の作成について 全国の介護保険施設・事業所・障害者等一般病棟に勤務する多職種2,000名程度を対象者として、無記名自記式によるWEB調査を行う。主な調査内容は、「EOLケア・ガイド」を構成する各項目の実施度と必要度をリッカート尺度で調査し、「EOLケア・ガイド」項目の妥当性および信頼性について検討する。
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