研究課題/領域番号 |
23K24695
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補助金の研究課題番号 |
22H03437 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 四條畷学園大学 (2024) 名古屋大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
木山 博資 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 教授 (00192021)
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研究分担者 |
桐生 寿美子 (瀬尾寿美子) 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (70311529)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 線維筋痛症 / 筋痛性脳脊髄炎 / 固有感覚 / 慢性疼痛 / グリア / 脳内炎症 / 慢性疲労症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
筋痛性脳脊髄炎や線維筋痛症などの機能性身体症候群における慢性疼痛の原因は脳内炎症による可能性が示唆されている。本研究は、筋痛性脳脊髄炎や線維筋痛症における脳内の責任炎症部位や関連回路を同定し、末梢からの入力を制御することにより、それら疾患の回復にリハビリ等の有効性を示す。すなわちリハビリによる脳内炎症緩和の可能性を検討する基礎研究を行う。
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研究実績の概要 |
筋痛性脳脊髄炎(ME)や線維筋痛症(FM)などの機能性身体症候群の原因は脳内炎症による可能性が示唆されている。本研究は、MEやFMにおける脳内の責任炎症部位や関連回路を同定し、末梢からの入力を制御することにより、それら疾患の回復にリハビリ等の有効性を示す、すなわちリハビリによる脳内炎症緩和の可能性を検討する基礎実験である。 令和4年度までの結果を受けて、本年度(2023年度)はマウスRCSモデルで固有感覚異常を惹起している筋の同定を行った。逆行性トレーサーのフルオロゴールドやコレラトキシンをatf3 TGマウスの下肢の各種筋に注入し、GFP標識との共存を確認することで標的の筋を同定した。その結果、下腿の筋ではなく、足内の筋にトレーサーを注入した時に二重標識が観察された。そこで、足内の筋の筋紡錘を観察したところ、GFP陽性の固有感覚一次ニューロンの末梢枝が存在した。以上より足内の筋の固有感覚異常を起点として脊髄内の反射弓の過活動を引き起こしていることが明らかになった。 また、本マウスモデル動物では反射弓に沿ってミクログリアの増殖活性化が観察されるため、このミクログリア活性化が疼痛に関係しているかどうかを検討した。RCS刺激と同時にミクログリアの除去を試み、疼痛行動の変化を観察した。これには経口投与により中枢のミクログリアを一時的に除去できることが既に示されているPLX5622/PLX3397という薬剤を一定間隔経口投与した。RCSモデルへのPLX3397経口投与により、ミクログリアの増殖が抑制され、反射弓に沿ったミクログリアの数は大幅に減少した。Von Freyテストによる足底刺激時の疼痛行動の観察では、疼痛行動は大きく抑制されていた。したがって、RCS刺激による疼痛にはミクログリアの増殖活性化が関与していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度は実験系の確立や過活動神経細胞をGFP標識するトランスジェニックマウスがRCSモデルでうまく作動することを明らかにし、研究の最初の段階が予定通り進んだ。2023年度は、疼痛発症原因が固有感覚の異常(過活動)であること。その原因は足内の筋の固有感覚の過活動であること。さらに反射弓に沿ったミクログリアの活性化を薬剤で抑制することにより、疼痛行動が見られなくなった。ここまでの2年間の成果により、本研究は当初の3年間の研究計画全体のうち約90%程度まで進捗していると考えている。したがって、「当初の計画以上に進展している」とした。2023年度までの研究成果の一部はインパクトの高い学術誌に2024年1月に発表した。また、2024年3月に沖縄で開催された日本解剖学会でもその成果を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究の主要部分は2023年度末までに達成された。さらに本研究を発展させるためのチャレンジングな研究を2024年度に行う。2024年度は足内筋の過活動の抑制による疼痛行動が抑制されるか、あるいは中枢内の炎症が抑制されるかなどを検討する。また、2024年度は最終年度にあたるため、得られた成果を、各種学会のシンポジウムや一般演題等で発表し、一連の研究の取りまとめを行いたい。
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