研究課題/領域番号 |
23K24698
|
補助金の研究課題番号 |
22H03440 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
河上 敬介 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (60195047)
|
研究分担者 |
縣 信秀 常葉大学, 保健医療学部, 准教授 (00549313)
紀 瑞成 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (60305034)
竹野 ゆかり 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 講師 (20509088)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
|
キーワード | 筋損傷 / 筋再生 / リンパ管 / 毛細血管 / 伸長刺激 / 理学療法 |
研究開始時の研究の概要 |
力学刺激が筋損傷からの回復を促進させることが分かっている。一方、筋損傷からの回復におけるリンパ管の役割は不明であり、その分布すら分かっていない。我々は、筋内のリンパ管が他の組織と異なる大きさや分布を呈すること、そのリンパ管の数や大きさが筋損傷後の回復早期に通常の約2倍に増加することを明らかにした。リンパ管は筋損傷時の毛細血管新生のトリガーとして機能し、筋損傷からの回復に不可欠な存在の可能性がある。そこで本研究は、力学刺激⇒リンパ管新生⇒筋損傷回復という、これまでにない新たな切り口から有効な理学療法を探る。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的は,筋損傷からの回復における筋内リンパ管の形態応答のメカニズムを組織学的、免疫組織学的そして生化学的に明らかにし,筋損傷におけるリンパ管の役割を解明することである.さらに,このリンパ管の役割に着目して,効果的な理学療法を探ることである.具体的には,まず筋損傷時のリンパ管形態応答とその分子機構の解明を行う.次に筋損傷からの回復におけるリンパ管の役割の解明を行う.そして,リンパ管の役割に着目して,主に力学刺激を用いた効果的な理学療法の解明を行う. そこで令和4年度は、主に筋損傷からの回復過程に伴うリンパ管や毛細血管の形態応答を組織学的に解明した。我々の開発した、可動範囲や運動速度を自由に制御できる装置を改良し、マウス前脛骨筋に対して±5%の精度で筋損傷を作製できることを確認した。損傷2日後、4日後、7日後に前脛骨筋を採取し、筋損傷からの回復過程、およびリンパ管や毛細血管数の変化を検証した。その結果、損傷筋線維や炎症系細胞の浸潤が多くみられる損傷4日後にリンパ管数の急激な増加、および7日後の減少が観察された。一方、毛細血管数はそれより遅れて増加することも判明した。また、リンパ管新生に関わるシグナル分子の同定を開始した。まずは、リンパ管新生の指標として内皮細胞増殖因子であるVEGF-C/-Dとそれらの受容体であるVEGFR-3をReal-Time PCR法により解析した。その結果、VEGF-C/-D、VEGFR-3のmRNA発現量は、リンパ管数の増加とほぼ同じ時期に高いことが判明した。今後は、これらのmRNA発現量のより詳細な変化の時期を検証していくとともに、毛細血管新生の指標となるVEGF-C等の発現の詳細な時期を検証する予定である。また、炎症系細胞に関わるサイトカインの発現についても検証を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的を達成するためには,まず筋損傷時のリンパ管形態応答を明らかにする必要がある。その上で、これらの形態応答に関わる分子機構を解明する必要がある.次に筋損傷からの回復におけるリンパ管の役割を明らかにする必要がある.そして,リンパ管の役割に着目して,主に力学刺激を用いた効果的な理学療法を明らかにする必要がある. 本年度は、申請時に計画していた通り、筋損傷からの組織学的、生理学的回復に伴うリンパ管や毛細血管の形態応答を経時的に解明することができた。また当初の予定通り、Real-Time PCR法によるリンパ管新生に関わるシグナル分子の同定を開始することができ、いくつかの分子とリンパ管の新生との因果関係を明らかにすることができた。 以上の事より、当初の計画通りの成果が認められため、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り本年度まで,主に『筋損傷時のリンパ管形態応答の分子機構の解明』を行う.筋損傷初期から各期の回復過程における,筋損傷時のリンパ管の形態応答と,その応答のターゲットシグナル分子候補の変化を,以下の方法で検証する。リンパ管と毛細血管の大きさや密度の変化は,昨年度と同様にリンパ管の特異的マーカーLYVE-1と毛細血管の特異的マーカーCD31を用いて免疫組織学的に検証する.これに加え,必要であればリンパ管新生状況をProx-1,VEGF-C,Podoplanin,抗増殖細胞核抗原(PCNA),Ki-67モノクローナル抗体で免疫組織学的に検証する.筋損傷からの回復過程については,一般的な組織学的観察に加え,必要であればDystrophin,M-cadherin,MyoD,Myogeninなどのモノクローナル抗体を用いて,免疫組織学的に検証する.リンパ管の密度や大きさの変化を誘導するターゲットシグナル分子については、VEGF-C/-D,Prox-1およびPodoplanin,Tumor necrosis factor-α (TNF-α),Interleukin (IL)-1およびIL-6のmRNAの発現量の変化を検証する.昨年度ターゲットとなるシグナル分子の候補が判明してきたため,ターゲットを絞って検証する予定である.これまでの予備的な実験結果より,筋損傷モデルは,損傷から1週間までの急性期をより詳細に検証するとともに、4週後の回復状態を検証する.
|