研究課題/領域番号 |
23K24699
|
補助金の研究課題番号 |
22H03441 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
瀬原 吉英 自治医科大学, 医学部, 講師 (50721156)
|
研究分担者 |
橋本谷 祐輝 同志社大学, 研究開発推進機構, 准教授 (50401906)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
|
キーワード | ニューロン新生 / 海馬 / てんかん / 脳虚血 / 心肺蘇生後 / スナネズミ / 前脳虚血 / ポリコーム群タンパク質 |
研究開始時の研究の概要 |
市中における心肺停止後の社会復帰率は依然として低く、by-standerによる心肺蘇生の重要性を啓蒙することがまず重要である。さらには、後遺症に対する治療法開発が必要であるが、脳はダメージに弱く新しい治療法の開発は困難な状況が続いている。本研究は、心肺停止後の後遺症としてのてんかんについて、その病態の解明と新しい治療標的の同定を目指すものである。
|
研究実績の概要 |
ヒトにおける心肺蘇生後の病態を再現したスナネズミ前脳虚血モデルを用いて虚血後のニューロン新生の検討を行っている。これまでの予備検討で、急性期にはポリコーム群タンパク質の中でもEzh2が増加することが明らかになった。そこで、本年度はEzh2のshRNAをアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに搭載し、海馬歯状回でノックダウンした。 具体的には、4週齢のスナネズミ(オス)に右海馬歯状回へAAVベクター投与し、6週齢で5分間の両側総頚動脈閉塞を行って前脳虚血を負荷し(5分間)、7週齢でチミジンアナログである5-ethynyl-2-deoxyuridine(EdU)を腹腔内投与し、9週齢で評価のための断頭を行った。申請者の予備検討や他グループからの報告で虚血7日後にニューロン新生が増加することが明らかになっているため、本研究におけるEdU投与も虚血1週後に行うことによりその時点での新生ニューロンを標識した。 脳の冠状断切片を作製し、AAVベクターが海馬歯状回全体に発現したことを確認した。海馬歯状回でのEdU陽性細胞を定量したところ、negative shRNA投与(既知配列に非相補的なshRNA)+虚血手術群では対照群に比して有意な増加を認めた。一方、Ezh2 shRNA投与+虚血手術群ではEdU増加が抑制され、対照群とEdU陽性細胞数の差を認めなかった。非虚血手術群(sham手術)では、negative shRNA投与もしくはEzh2 shRNA投与ともに対照群とEdU陽性細胞数の差を認めなかった。 この結果から、Ezh2は虚血後におけるニューロン新生増加を特異的に抑制する可能性があると考えた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ポリコーム群タンパク質のEzh2が虚血後のニューロン新生増加を抑制しており、非虚血群のニューロン新生は減少させていないことから、特異的な因子である可能性を見出すことが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究デザインのような虚血後亜急性期におけるEzh2の増減は明らかでないので、定量を行う。Ezh2はヒストンメチル化を行うタンパク質であるので、海馬歯状回の遺伝子発現変化をトランスクリプトーム解析で明らかにする。免疫染色を追加し、Ezh2を発現する細胞を明らかにする。このような研究を通じて、虚血後ニューロン新生の調節機構を解明する。
|