研究課題/領域番号 |
23K24703
|
補助金の研究課題番号 |
22H03445 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
兒玉 隆之 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (80708371)
|
研究分担者 |
片山 脩 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 外来研究員 (60845999)
森田 喜一郎 久留米大学, 付置研究所, 客員教授 (20140642)
井上 真理 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (20294184)
永野 光 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70758127)
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
中野 英樹 京都橘大学, 健康科学部, 准教授 (60605559)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
|
キーワード | 神経リハビリテーション / 脳卒中 / 脳波BCI / iNems / 脳波 / BCI / 身体認知 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、本機能障害患者を対象に、多施設共同・領域横断介入研究を通じて、感覚運動機能再編成のための個別最適化リハビリテーションを創成することを目指す。具体的には、①身体認知形成度(身体認知評価ツール開発)と障害度との関連性を検証し、②多感覚刺激BCIフィードバック装置の開発によりフィードバック感覚モダリティと身体認知形成度の適合性検証を行う。これらを発展的に展開し、これまでにない③障害度に応じた身体認知再形成のための評価・装置融合システムによる介入実験により効果検証を行い、個別最適化リハビリテーションを確立する。
|
研究実績の概要 |
本年度は、これまで取り組んできた視覚フィードバック型の神経リハビリテーションデバイスシステムの効果検証に加え、EMS(筋電)による体性感覚フィードバック型の刺激装置を搭載したデバイスの開発を行い、多感覚刺激治療装置としての臨床介入研究を実施した。改良型のシステムデバイスは、脳血管障害後の感覚運動障害患者や慢性的な感覚異常により身体実在感を創出した患者に対して、自ら能動的な脳内運動感覚指令を起点に視覚的・深部感覚刺激による受動的な代償的運動応答を誘起できるものである。現段階の多感覚刺激治療装置(iNems ver.4)は、センシングシグナルに脳波成分の出現パターンを利用し、感覚運動機能障害を呈した肢へのティーチング手段に視覚、体性感覚や運動錯覚を用いることを目標としている。現在は、手指からの摩擦振動情報を代償的にフィードバック可能な装置の開発と、視覚および体性感覚を融合した治療装置システム開発の段階まで進んでいる。 2023年度は、研究協力施設である愛知県(2施設)の病院施設を中心に、福岡県(1施設)および京都府(2施設)にて、脳卒中発症後に運動麻痺、しびれと身体性低下を認める患者に対して評価・介入を行った。本システムを用いた治療介入の結果、身体認知(運動主体感)としびれに対する破局的思考が改善し、麻痺側上肢の使用頻度および動作の質が向上した。さらに安静時および運動イメージ時の脳波活動にも改善を示す変化を認めた。以上より、脳卒中後の感覚運動機能障害患者に対する多感覚刺激装置を用いたiNems ver.4によるトレーニングが、行動学的および神経生理学的な変化を引き起こすことを明らかにした。これらの結果はすでに学会講演、発表および論文として公表を行っており、さらなる対象者数および対象症状の拡大拡充を目指し、現在も研究を継続中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多感覚刺激装置の開発へ向けたシステム構築および実証研究において、脳卒中後の感覚運動機能障害患者にシステムを用いた神経リハビリテーションが奏効することを介入研究成果として報告した。本研究でご協力いただいた被験者の方々は、脳神経活動の改善のみならず、障害に対する認識や自己効力感、QOLにおいても改善を認めているが、システムの代償フィードバック刺激付与に関してモダリティ種を可変とするシステム箇所への改良に時間がかかっており、実施できるアプローチ時間への影響が大きくなってしまった。そのため、多くの対象者に対して実施できていない状況から、「やや遅れている」と判断した。本年度の前期までには、システムの精度を改善する予定であり、それを用いた介入実験を計画している。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き、当初の計画への軌道修正とシステムの発展的改善を行い研究を遂行する。また、システム量産に向け、その確証性・信頼性を高めるべく脳血管障害患者や身体性障害を有する患者に対して介入を実施する。前年度、効果判定に関連する下肢運動評価装置が製作(特願済み)できたため、これらを並行して進めることで、本システムを基盤としたBCIリハビリテーションの有用性について検証していく。さらに、リハビリテーションにおいて重要となる運動学習の内省評価に関する神経生理学的指標を捉えるべく脳波研究を進める。以上を展開することで、脳機能障害患者に対する神経機能再編成を具現化できるようメソッドの確立を目指す。
|