研究課題/領域番号 |
23K24704
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補助金の研究課題番号 |
22H03446 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 客員教授 (10212127)
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研究分担者 |
山中 博樹 兵庫医科大学, 薬学部, 准教授 (20340995)
古賀 浩平 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (50768455)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 脚傍核 / 上行性経路 / 疼痛 / 神経活性物質 / 脊髄後角 / 神経活性ペプチド / サブスタンスP / ダイノルフィン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、精神/情動ネットワークのゲートキーパーである腕傍核での調節メカニズムの詳細を解明し、疼痛に伴う精神症状を引き起こす過程を解明することである。方法論としてはマウス・ラットの各種運動器疼痛モデルを用い、末梢組織炎症や神経傷害によって発現が変化する脊髄後角の腕傍核投射ニューロンでの神経伝達関連因子と、腕傍核の興奮性増加の関係性/因果関係等を解明する。興奮性ペプチドであるSubstance Pや、内因性オピオイドである。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、精神/情動ネットワークのゲートキーパーである腕傍核での調節メカニズムの詳細を解明し、疼痛に伴う精神症状を引き起こす過程を解明することである。2022年度は腕傍核におけるc-fosの発現変化を検討するにあたり、実績のある抗体が製造中止となり使用できなくなったため新たな抗体の検討を行っていたが、2023年度にようやく信頼性の高い抗体を入手することができ、適切な染色条件の検討を行い良い結果が得られた。またmRNAレベルでcfos の発現確認もバックアップとして行い、これまでの報告通りに腕傍核での興奮性マーカーcfos発現を確認した。前年度までに確認した脊髄後角の腕傍核投射ニューロンで発現上昇するBDNFとSubstance P(SP)の受容体であるTrkB, NK1受容体の発現と、それらの陽性neuronでc-fos発現が上昇しているのかを検討することを目標に二重in situ hybridization-免疫組織化学法の適切な条件の検討を行ない適切な条件を得た。また、疼痛モデル動物を用いて、腕傍核へのAAV-shRNA投与によりTrkB NK1のノックダウンモデル動物作成の過程で、高力価のAAV-shRNAの精製方法を確立した。 電気生理学的検討では、これまでに、1.記録法の確立と2.光遺伝学を用いた投射の2つのアプローチを行っている。1.の腕傍核を含む成熟動物の脳スライス標本からの記録法はこれまで報告が少ない。脊髄や大脳皮質のスライス作成時に用いる標準人工脳脊髄液では腕傍核細胞の活きが悪かった。そこで、標準液からNMDG溶液に代え、また脳スライスを尾側から吻側方向で作成すると幼若期マウスの腕傍核細胞から記録が可能になった。2.の光遺伝学アプローチは、チャネルロドプシン2を組み込んだAAVを脊髄後角に投与しているが、腕傍核での投射は今のところ観察できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脚傍核でのニューロンの興奮性を調べる目的で、痛みモデルでは腕傍核のneuronでc-fosの発現増加すること知られているため、検討を行った。しかしながら我々も使用しており実績のあるc-Fosの抗体が製造中止となったため、新たに信頼できるc-fosの抗体入手と染色条件の検討に時間を要した。良い抗体の探索や、non RI in situ hybridization法を用いた二重染色法の確立に時間を要したためやや遅れているが、実験条件は整ってきたため遅れを取り戻すことができると考えている。電気生理学的実験も方法論で試行錯誤で良い実験条件を探索している状態が続いたが、今後計画は進むと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1.腕傍核におけるニューロモジュレーター受動態の動態解析(担当:山中、野口) 末梢神経損傷モデルあるいは末梢炎症モデルラットにおいて腕傍核におけるダイノルフィンやsubstancePの陽性線維に変化が見られるかを免疫組織化学法にて検討する。また、Substance PとNK1,kappa opioid受容体と興奮性マーカーcfosとの二重免疫組織化学法を行いモデル動物において、脊髄後角の新規発現したニューロモジュレーターと腕傍核興奮性の関係を示す。また、扁桃体にトレーサーを入れ、扁桃体へ投射するニューロンにおいてニューロモジュレーター受容体との共発現があるかどうかを確認すると共に、活動性のマーカーのc-fos発現があるかを検討する。 2. 腕傍核ニューロンの活性化の形態学的解析(担当:山中) 疼痛モデル動物を用いて、腕傍核へのニューロモジュレーター受容体へのAAV-shRNA投与によりモデル動物において、シナプスの形態的な可塑性を検討する。シナプス-スパインの定量的な解析として、疼痛モデルにおいて腕傍核のc-fos発現が有意に増加し、かつ脊髄からのニューロモジュレーター発現増加が同期したタイミングでナプスマーカーと樹状突起染色を行い、樹状突起上のスパインとシナプス数を検討する。 3. 腕傍核ニューロンの活性化の機能的解析(担当:古賀) 使用する動物の週齢を少しずつ上げていき腕傍核細胞の記録を成熟動物で行えるようにする。 引き続き、脊髄後角にAAVを投与していく。AAVの投与と脊髄後角―腕傍核の投射が観察できない場合は、代替え案として、腕傍核細胞の近傍に電気刺激用の双極電極を留置して誘発性シナプス応答を解析していく。
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