研究課題/領域番号 |
23K24709
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補助金の研究課題番号 |
22H03451 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
栗本 秀 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (70597856)
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研究分担者 |
西川 惠一郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (00963612)
杉浦 洋貴 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10963605)
下田 真吾 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20415186)
竹内 大 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (20713374)
佐伯 総太 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (30878327)
建部 将広 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (60420379)
長谷川 泰久 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70303675)
平田 仁 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (80173243)
山本 美知郎 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (90528829)
岩月 克之 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90635567)
徳武 克浩 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (90822289)
浅見 雄太 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (90908740)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 再生医療 / 末梢神経 / 機能再建 / 神経再生 / 細胞移植 / 感覚 / 麻痺 |
研究開始時の研究の概要 |
末梢神経内神経幹細胞移植により麻痺筋近傍で脊髄様構造を有する神経節を誘導し、再生した複数の横紋筋を多チャンネル埋め込み型電気刺激装置により制御することで、自立した生活が可能なレベルの機能回復を実現するサイバネティクス技術を開発している。より正確な運動制御を行うため、末梢神経内感覚ニューロン移植により、失われた感覚情報も同時に再建し、体性感覚フィードバックを有した高度な運動制御を可能とする新規麻痺治療技術の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
より正確な運動制御を行うためには、表在感覚や深部感覚、視覚など多様なモーダリティからの感覚情報を利用して運動を修正する感覚フィードバック制御が不可欠である。本研究では末梢神経内感覚ニューロン移植により、失われた感覚情報も同時に再建し、選択的感覚活動シグナルを検出可能な末梢神経インターフェイスと暗黙知による運動制御を可能とする人工知能により、体性感覚フィードバックを有した高度な運動制御を可能とする新規麻痺治療技術の開発を目指している。本年度は上記の目的に必要な基盤技術の開発を行ってきた。齧歯類の四肢にある細い感覚神経に装着可能な表面電極を作成し、感覚神経活動シグナルを記録できることを確認した。微細加工技術を用いて医療用シリコンと直径50umのステンレスワイヤーを用いて表面電極を作成し、ラット坐骨神経切断直後、断端遠位に装着した表面電極とポリグラフシステム(RMT-1000)を用いて、足部皮膚刺激の感覚活動シグナルを検出することができた。また、ラット下肢の運動制御に必要な制御プログラムの開発を引き続き行い、より滑らかなmuscle synergyによる複数筋のコントロールが可能な制御プログラムを開発した。また、感覚再建に必要な末梢神経への感覚神経細胞移植による感覚分散支配の検証も行っている。坐骨神経切断モデルに胎児の後根神経節細胞を切断遠位の末梢神経に移植し、3ヶ月後に組織評価を行った。神経細胞は生着し、感覚神経再生による感覚受容器の再支配を確認した。今後、細胞移植モデルでの感覚活動電位記録を行い、本研究の目的である感覚ニューロン移植により生体内で感覚情報を獲得し、末梢レベルで感覚運動変換を通じて運動指令を生み出す、全く新しい感覚運動統合制御システムの開発を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
よりノイズの少ない感覚活動電位を測定するため、齧歯類で使用できる神経インターフェイスの開発を行い、ポリグラフシステム(RMT-1000)を購入し使用した。本年度予定していた齧歯類での触覚刺激や関節運動による感覚活動電位の測定を順調に行うことができた。また、これまでに行ってきた坐骨神経切断モデルラットのWaller変性した末梢神経内に胎児後根神経節細胞を移植する方法により、その神経終末が皮膚のメルケル細胞やマイスナー小体を支配し、脱神経後に変性していく筋紡錘を再構築できることを確認した。引き続き細胞移植による感覚神経再生技術の改善を行い、できるだけ機能の分かれた末梢神経の分枝や遊離神経片に後根神経節ニューロン移植を行うことで、表在感覚、深部感覚、運動と機能別に再建した神経節の誘導を目指していく。
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今後の研究の推進方策 |
令和5度は感覚情報を末梢神経から選択的に同定抽出するための、動物モデルによる実験を中心に行う。できるだけ機能の分かれた末梢神経分枝や遊離神経片にニューロン移植を行い、選択的機能を有した異所性神経節を末梢に誘導する。この末梢に構築した神経節を新たに開発した神経インターフェイスを用いて、電気刺激を行い筋収縮をコントロール可能なプログラム作成を行う。同時に、設置した神経インタ ーフェイスから感覚神経の複合活動電位を測定する。皮膚の圧刺激や関節可動による自然誘発電位を抽出しアーチファクトを除去し、神経放電波形から振幅の増加を測定する生体信号解析技術を開発する。周期的な足関節の他動運動やvon Frey filamentを用いた足底の刺激を繰り返し、活動電位を測定する。また、足関節可動と足底刺激の複合刺激による活動電位も確認する。ビデオ記録と活動電位記録を同期し感覚シグナルの解析を行う。さらに、視覚の感覚フ ィードバックシステムに加え、移植細胞からの感覚入力情報を用いたより円滑に複数筋のmuscle synergyを制御できる運動プログラムの開発を進める。これらにより感覚運動統合制御システムを用いた四肢骨格筋や呼吸筋などの機能を再建するための基盤技術を確立する。主に齧歯類を用いて行っていくが、より臨床に近いモデルも確立するため、基盤技術の開発とともに平行して、大型動物を用いたモデル作成も引き続き試みていく。末梢レベルで感覚運動変換を通じて運動指令を生み出す、新しい感覚運動統合制御システムの基盤技術とより臨床に近い麻痺モデル作成を行い、基盤技術の適応について検討する。
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