研究課題/領域番号 |
23K24712
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補助金の研究課題番号 |
22H03454 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
桐本 光 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (40406260)
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研究分担者 |
美馬 達哉 立命館大学, 先端総合学術研究科, 教授 (20324618)
渡邊 龍憲 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (20868400)
芝田 純也 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (70844166)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2026年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2025年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | 非侵襲的脳刺激 / 経頭蓋静磁場刺激 / 慢性疼痛 / 静磁場刺激 / ニューロリハビリテーション / 在宅リハビリテーション / 一次運動野 / 背外側前頭皮質 / 脳律動 |
研究開始時の研究の概要 |
頭皮上にネオジム永久磁石を置くことにより,その静磁場が皮質の興奮性を抑制性に変化させる脳刺激法は,経頭蓋静磁場刺激(Transcranial static magnetic field stimulation: tSMS)と呼ばれている.本研究では,従来型の脳刺激法と比較して経済性,安全性,操作性において優れたtSMSの介入効果の有効性と安定性を明らかにすることを目的とする.その結果,『静磁場刺激は在宅ニューロリハに有用な非侵襲的脳刺激ツールとなり得るのか?』という学術的問いに対して明解な答えを導くことを目標に掲げる.
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研究実績の概要 |
【脳深部領域を効果的に刺激するトリプル静磁場刺激システムの開発】 経頭蓋静磁場刺激(Transcranial static magnetic field stimulation: tSMS)は,使用する永久磁石の表面からの距離に依存して磁束密度が減衰するため,脳深部領域を効果的に刺激することができない.この問題を解決するために,3 つの円筒形 NdFeB 磁石を互いに近接して配置したトリプル tSMS システムを設計および製造した.このトリプル tSMS システムは,既存の単体 tSMS システムよりも 30 mm 深く,磁石表面から最大 80 mm の深さまで,ニューロモジュレーションに十分な磁場を生成した.17人の健常被験者の一次運動野をトリプルtSMSで20分間刺激し,運動誘発電位が有意に低下することを確認した.(Shibata, Kirimoto et al, J. Neuroeng. Rehabilitation, 2022) 【作業記憶課題実行中における左右背外側前頭皮質の脳律動に対する静磁場刺激の影響】 14名の健常被験者を対象に,2バック課題刺激中に左右の前頭眼窩皮質(Dorsolateral prefrontal cortex: DLPFC)にtSMSを行い,作業記憶のパフォーマンスと脳の同期した律動に及ぼす影響を検証した.左右の DLPFC に対する tSMS による作業記憶のパフォーマンスの抑制効果は同程度であった.左 DLPFCに対する tSMS により,事象関連のβ帯域の同期した脳律動が抑制されたが,右DLPFC刺激時にはこのような効果は認められなかった.左右のDLPFCは作業記憶課題の実行において異なる役割を果たしていることが明らかとなった.(Watanabe, Kirimoto et al, Neuroscience, 2023)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画通りに経頭蓋静磁場刺激を脳深部に効果的に実施する方法の解決,及び背外側前頭皮質に静磁場が及ぼす影響の検証を行い,その研究成果が英文雑誌に受理された.
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今後の研究の推進方策 |
若年及び高齢被験者を対象に一次運動野(M1)に対するtSMSの介入効果をtDCSと比較する.若年(20-25歳)及び高齢(65-70歳)被験者各25名以上を対象に,検査者短盲検クロスオーバーデザインで実施する.右M1に対するtSMS(表面磁束密度500 mT×20分間),陰極tDCS(0.023 mA/cm2×9分間),ならびにtSMSまたは陰極tDCSの疑似刺激をランダムな順序で1週間以上の間隔を空けて実施する.運動誘発電位の振幅,短潜時皮質内抑制,大脳半球間抑制を評価の指標とする. 運動誘発電位(Motor evoked potential: MEP):右 M1に経頭蓋磁気刺激(Transcranial magnetic stimulation: TMS)を行い,皮質脊髄路の興奮性の指標であるMEPを左手標的筋より記録する. 短潜時皮質内抑制:右M1に3 msの感覚で2連発TMSを行う.条件刺激によりGABA作動性の抑制性神経回路が動員され,単発TMSで惹起されるMEPより振幅が低下する. 大脳半球間抑制:tSMSを行った右M1へのTMSから10 ms後(脳梁を経由する時間)に対側左M1にTMSを行い,右手からMEPを記録する.大脳半球間抑制により,単発TMSで惹起されるMEPより振幅が低下する.
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