研究課題/領域番号 |
23K24713
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補助金の研究課題番号 |
22H03455 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
坂本 淳哉 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (20584080)
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研究分担者 |
沖田 実 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (50244091)
佐々木 遼 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (90908568)
本田 祐一郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (40736344)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 11,440千円 (直接経費: 8,800千円、間接経費: 2,640千円)
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キーワード | 変形性膝関節症 / 運動療法 / マクロファージ / IL-4 / PPARγ / 疼痛軽減効果 / 軟骨下骨 / 破骨細胞 / 神経成長因子 / 関節痛 / 運動誘発性疼痛軽減 / STAT6 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は高齢化の進展に伴い罹患率の増加が見込まれている変形性膝関節症をターゲットとして,運動療法の疼痛軽減効果のメカニズムを動物モデルを用いて探索するものである.つまり,なぜ運動を行うと変形性膝関節症の痛みが軽減するのかといった臨床的疑問に関して骨格筋や関節組織を検索材料として生物学的な視点からの解明を試みるものである.そして,前述の疑問を解明できれば,変形性膝関節症の痛みを軽減するための効果的な運動条件を見出すことにつながり,効果的なリハビリテーション医療の確立につながるものである.
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研究実績の概要 |
本研究では,変形性膝関節症(膝OA)に対する運動療法の疼痛軽減効果の機序解明を目的としており,特に,滑膜炎の主役をなすマクロファージの制御機構ならびに軟骨下骨の病態に焦点を当てている.2023年度は,膝OAの痛みの一病態とされる軟骨下骨における破骨細胞およびNGFの動態に着目して,筋収縮運動の効果検証を進めた.具体的には,モノヨード酢酸をラットの右膝関節腔内に投与することでラット膝OAモデルを作成し,その2週後(進行期OAに該当)および4週後(末期OAに該当)から3週間継続して電気刺激誘発性筋収縮運動を負荷した.そして,痛みの行動学的評価として患部の圧痛閾値(痛覚感受性),患肢荷重率(荷重時痛),歩行時の立脚期率・遊脚期率(歩行時痛)を評価した.また,実験期間終了後には脛骨近位端の軟骨下骨を関心領域として,単位面積あたりの破骨細胞数ならびに神経成長因子(NGF)陽性細胞数を組織化学的・免疫組織化学的手法を用いて評価した.その結果,膝OA惹起後に筋収縮運動を負荷した群では前述したすべての痛みの行動学的評価の指標において有意な改善が認められた.また,軟骨下骨における破骨細胞数およびNGF陽性細胞数について,いずれも筋収縮運動を負荷した群では有意な減少が認められた.先行研究では,膝OAの進行に伴って軟骨下骨では破骨細胞が活性化・増加することでNGFの発現が増加し,このような変化が荷重時痛や歩行時痛の病態として考えられている.つまり,本研究の結果は,筋収縮運動を負荷すると軟骨下骨における破骨細胞数やNGFの発現が減少することで荷重時痛や歩行時痛などが軽減できることを示唆しているといえ,このようなメカニズムが運動療法による疼痛軽減効果に関与しているものと推察される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
軟骨下骨における痛みの病態に対する運動療法の効果検証については概ね予定通りに進行している.しかし,運動療法による滑膜におけるマクロファージの制御機構については当初予定していた分子機構の解明が進展しておらず,この点において研究全体の進捗状況としてはやや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度においては,特に,マクロファージの制御機構について分子生物学的検索を中心として進める予定としている.また,これまでの研究成果から筋収縮運動によって特異的に発現する生理活性物質が滑膜におけるマクロファージを制御している可能性を見出しており,2024年においてはこの点についても検討を進めることで,運動療法の疼痛軽減効果に関する生物学的根拠の確立を進める予定としている.
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