研究課題/領域番号 |
23K24714
|
補助金の研究課題番号 |
22H03456 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
|
研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
飛田 秀樹 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (00305525)
|
研究分担者 |
松川 則之 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (20305543)
小林 憲太 生理学研究所, 行動・代謝分子解析センター, 准教授 (70315662)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
|
キーワード | 小脳赤核路 / リハビリテーション / 脳内出血 / 上肢巧緻機能 / Deep Lab Cut / 内包出血モデル / 上肢リーチ運動 / ラット / マーカーレス / DeepLabCut / 小脳 / 赤核 / ウイルス二重感染法 |
研究開始時の研究の概要 |
脳内出血後のリハビリテーションによる上肢機能改善における運動調節系の関与とそのメカニズムを明らかにするため、赤核-下オリーブ核-小脳の再帰性回路に焦点を絞り、上肢運動の詳細な解析とウイルスベクター二重感染法による神経核間の神経遮断により、上肢巧緻運動の回復に運動調節系がどの程度関係しているのか、さらには小脳核の電気応答性とその関連性から、リハビリテーションによる機能改善と赤核が関与する運動調節系との因果関係を証明し、さらに臨床症例でのfMRIによる検証へと繋げていく。
|
研究実績の概要 |
脳内出血後の麻痺側上肢集中使用(リハビリ)による皮質脊髄路から皮質赤核路への運動実行系の神経回路変移に起因する上肢運動機能の改善に伴って、運動調節系も同調し神経回路の変移が生じているか否かについて検討するため、赤核-下オリーブ核-小脳核-赤核の再帰性回路に焦点を絞り、ウイルスベクター二重感染法を用いて小脳赤核路を神経遮断しその役割を明らかにすることを目的とした。 昨年度までに、スリットの間から餌をとる上肢の巧緻運動に関し、マーカーレスのまま高速度ビデオ画像データを人工知能技術により位置情報へ処理変換し、各点の点情報をDitect社製の運動解析ソフトウェアにより詳細な3次元の動作解析が可能となった。令和5年度は、脳出血による上肢巧緻機能の障害の詳細な3D解析に加え、リハビリによる運動機能改善について詳細な3D解析を実施した。また小脳赤核路の神経遮断による動作の変化についても詳細な解析を実施した。 その結果、脳出血後に認められた皮質脊髄路から皮質赤核路への運動実行系の神経回路の変化に伴い、赤核-下オリーブ核-小脳核-赤核の再帰性回路への神経回路の変化が同調して生じていることが明らかになってきた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳内出血後の麻痺側上肢集中使用(リハビリ)による上肢運動機能の改善における運動調節系の関与とそのメカニズムを明らかにするため、小細胞性赤核-下オリーブ核-小脳-赤核の再帰性回路に焦点を絞り、以下の実験を計画した。 1,脳出血後のリハビリによる機能改善における定量化(リーチ軌道、運動加速度、手指間距離、内転・外転運動、内旋・外旋運動、回内・回外運動)、2,運動調節系の赤核-下オリーブ核-小脳の再帰回路の神経遮断における定量化、3,皮質-赤核路の神経遮断時の上肢巧緻運動に比較検討を実施する。また多点電極法を用いた小脳核の電気応答性変化の解析では、4,c-fos染色等による小脳核の記録部位の決定、5,脳出血およびリハビリテーションによる小脳核での電気応答性変化を検出、6,赤核-下 オリーブ核-小脳の再帰回路神経遮断時の小脳核電気応答性の変化、を解析する。 令和5年度までに上記の目的1~3においてほぼ順調な結果を得ている。すなわち、高速度カメラ(HAS-U1)5台によるビデオ画像の同期記録画像データをDeepLabCutにより位置情報へ処理変換し、その点情報をDitect社製の運動解析ソフトウェアDIPP-Motion V/3Dにより3次元キネマティクス解析が可能となり、詳細な3D解析の定量化が可能な状態となった。 しかし、前述1~3の実験に予想以上の時間を要し、多点電極法を用いた小脳核の電気応答性変化の解析に関しては十分な時間が確保できていない。この部分の計画に関しては当初の予定より遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
詳細な上肢キネマティクス解析が可能となり、脳出血後の3Dレベルの運動障害の変化、またリハビリ後の前肢巧緻運動機能の回復に小脳赤核路が関係する調節系の神経回路の変移が生じていること、さらに運動実行系の変移と同調した調節系変移の可能性も明らかになってきた。 多点電極法を用いて小脳核または赤核での電気応答性の解析を空間時間的視点から実施することにより、小脳で統合された神経活動と再帰性回路との関連性が明らかになってくると考えられる。そのため、R6年度以降は電気応答性の解析に力点を置いていく。具体的には、1,小脳核の記録部位の決定、2,脳出血後の小脳核での電気応答性の変化、3,リハビリによる小脳核での電気応答性変化を検出、4,赤核-下オリーブ核-小脳の再帰回路神経遮断時の小脳核電気応答性の変化、の解析について検討を進める。 このような小脳核および赤核での電気応答性の解析からも、リハビリによる運動機能改善と赤核が関与する運動調節系との因果関係の傍証を得て、さらに臨床症例でのfMRIによる検証へと繋げていく。
|