研究課題/領域番号 |
23K24717
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補助金の研究課題番号 |
22H03459 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59010:リハビリテーション科学関連
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
大鶴 直史 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (50586542)
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研究分担者 |
菅田 陽怜 大分大学, 福祉健康科学部, 准教授 (30721500)
木村 慎二 新潟大学, 医歯学総合病院, 准教授 (40361901)
大西 秀明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90339953)
吉野 敦雄 広島大学, 保健管理センター, 准教授 (90633727)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 認知行動療法 / 脳磁場計測 / 経頭蓋交流電気刺激 / MEG |
研究開始時の研究の概要 |
慢性疼痛は難治性であり、有効な治療手段が確立されていない。そのため、多大な社会的損失が生じており、解決すべき喫緊の課題である。そのような中で、認知行動療法が各国のガイドラインで有用だと推奨されているものの、約半数の患者が治療非反応性である。そこで、本研究では治療非反応性の背景にある神経基盤を脳磁場計測装置を用いて検証する、さらに、神経基盤が同定されれば、人工的にその神経基盤に介入する手法を開発する。
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研究実績の概要 |
慢性疼痛は、脳の可塑的変化によって生じ、手術や薬物療法が有効でない対象者が多く存在し、難治性である。そのような中で、認知行動療法が有効であることが示され、我々も実施してきたが、約半数が治療非反応性である。そこで、本年度は脳磁場計測装置(MEG)を用いて、治療前の脳活動から治療非反応性に関与する脳内ネットワークを同定するための、データ取得を継続して実施した。新型コロナウィルスの影響下ではあったものの、32名の慢性疼痛患者および39名の年齢をマッチさせた健常コントロール群のデータ取得を達成することができた。また、脳活動の詳細な解析に必要な、個人ごとのMRI構造画像も取得した。その後、解析の前処理(ノイズの除去など)を実施し、現在詳細な解析を実施中である。具体的には、brainstormというMEG解析ソフトウェアを用い、治療効果(痛み・破局的思考・うつ・不安などの改善)に関与する神経基盤を、特定領域の周波数パワー、領域間の機能的結合・特定領域の興奮抑制バランスの観点から解析している。 その他、認知行動療法の対象者の一部であるburning mouth syndromeにおいて、個人の内受容情報(心拍など身体内部から脳に入力する情報)の知覚の違いによって、痛みとうつや不安の関連が異なることを見出して、国際誌に報告を行った。 来年度は計画通り、より高精度に認知行動療法の効果を予測できるパラメータを検索し、さらに対象者の症状と関連する神経基盤も検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、認知行動療法の効果を予測する脳内ネットワークを同定するために、認知行動療法の前後において、脳磁場計測装置(MEG)を用いての皮質活動計測を進めることにあった。新型コロナウィルスの影響下ではあったものの、32名の慢性疼痛患者および39名の年齢をマッチさせた健常コントロール群のデータ取得を実施した。さらに、様々な症状に関連する質問紙による評価(うつ、不安、痛みの破局的思考、痛みへの注意、失感情、内受容感覚)も併せて進めた。この質問紙による評価は、今後の脳機能の解析において、サブグループ解析を実施するために必要なものである。 現在、取得済みのデータは解析の前処理を実施している。さらに、当初予定していた機能的結合の解析に加え、近年報告された局所的な興奮抑制バランスの解析も加えて、取得できたデータから順に実施している。また、今後の介入で必要な高精度な経頭蓋交流電流刺激(transcranial alternating current stimulation:tACS)の開発も実施した。具体的には、個人のMRI構造画像をもとに、脳内に生じる電界シミュレーションを実施し、グループレベルおよび個人レベルにおいて、どのような電極配置で刺激するのが至適かを検証している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、本年取得したMEGデータおよひ新規に取得するデータを用いて、慢性疼痛の治療非反応性に関与する脳活動を同定する。具体的には治療反応性が、脳内の特定領域における特定周波数の活動に関連しているか、領域間の機能的結合に関連しているか、特定の領域の興奮抑制バランスに関連しているかを検証する。その後、有望な脳活動に対して、経頭蓋電流刺激による介入を検討する。 さらにこの時、特定される領域が深部である場合や、比較的限局した領域であった場合に、tACSのさらなる高精度化が求められることが想定される。そのため現在、時間的干渉波などの新たな技術を取り入れたシミュレーションも開始している。よって、今後はシミュレーションによって至適とされる刺激手法が、真に脳活動を変え得るかを検証するために、刺激の前後においてMEGによる脳活動計測を行い、実データに裏打ちされたtACSの開発も同時に進める。
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