研究課題/領域番号 |
23K24734
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補助金の研究課題番号 |
22H03477 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所 |
研究代表者 |
須藤 みず紀 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (10585186)
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研究分担者 |
高倉 久志 同志社大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20631914)
安藤 創一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50535630)
狩野 豊 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90293133)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 振動刺激 / 豊かな環境 / 遺伝子発現 / 情動 / 認知機能 / 骨格筋 / ストレス / メンタルヘルス / 筋ー脳相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
環境要因がもたらす社会性ストレスは、末梢の炎症性サイトカインの産生を亢進させ、抑うつ行動を誘発することが指摘されているが、近年では、運動による身体への振動刺激が細胞間の間質液を介して炎症性タンパク質産生の低下を誘導するという衝撃的な知見が報告された。しかし、このような外部からの物理的な振動刺激が、末梢の炎症因子、並びに、脳の認知機能や情動にどのように作用するのかは、明らかになっていない。そこで本研究では、「社会性ストレスから細胞間の間質流動を介した脳機能を守るための骨格筋ヘの振動刺激パターンを創出し、その機序を解明すること」を目的とする。
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研究実績の概要 |
環境要因がもたらす社会性ストレスは,末梢の炎症性サイトカインの産生を亢進させ,抑うつ行動を誘発することが指摘されているが,近年では,運動による身体への周期的な振動刺激が炎症性タンパク質産生の低下を誘導することが報告されている.しかし,このような外部からの物理的な振動刺激が,末梢の炎症因子,並びに,脳の認知機能や情動にどのように作用するのかは明らかになっていない.本研究では,社会性ストレスから脳機能を守るための骨格筋ヘの振動刺激による影響とその機序を明らかにすることを目的とする. 2023年度は,慢性的外因性ストレスモデル作成,及びそれらの改善を目指した自発的な身体活動による影響を把握することを目的として,環境刺激が外的ストレスとしてどのような影響を及ぼすかにフォーカスし,発現変動遺伝子の検証を行った.また,振動刺激による血管透過性の検証も実施した.有酸素性運動による脳機能の向上が指摘されているが,自発的な身体活動を促す豊かな環境モデルでは,ランニングホイールの有無による影響を考慮していない先行研究が多く存在する.そこで,豊かな環境におけるランニングホイールの有無と発現変動遺伝子を検証した結果,豊かな環境条件への曝露は,17の発現変動遺伝子が示された.特に,ランニングホール有り群では,ランニングによる全身性の振動が高値を示し,さらに多くの遺伝子発現の変化がみられた.また,後肢筋への局所の振動刺激による血管透過性を検証したところ,振動直後に高まる可能性が示唆された.以上の結果から,全身,及び局所の振動刺激は,生体内の生理応答に影響を及ぼす可能性が考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、振動刺激が生体に及ぼす影響について検証することを優先し、振動刺激の条件や、検証方法の確立を実施した。事前の実験として、社会性ストレスモデルの作成や振動刺激の手法を検証したことから、本研究にて用いるモデル作成の遅延にともなう炎症応答などの検証がやや遅れている。今年度は、前年度の事前検証を基に、随時実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、「慢性社会的ストレスモデル」を作成し、正常モデルとの比較を行う。さらに、振動刺激による脳内神経細胞の構造変化、及びストレス応答性炎症関連物質の定量評価、社会行動、情動、認知機能にもたらす影響を行動神経科学の手法を用いて評価を行う。1)慢性社会的敗北ストレスモデルの作成:C57BL/6J 雄性マウスを対象に,正常モデル,慢性社会的敗北ストレスモデル(解析対象のマウスを攻撃性の高いマウスからの攻撃に定期的に曝露し環境外因的ストレスを負荷)の2種類とする。2) 骨格筋内の間質液の流動動態の観察検証:麻酔下の動物の筋細胞内を顕微鏡下で観察が可能なin vivoバイオイメージング法を用いる.麻酔下において局所の振動刺激の前後で,毛細血管から間質への流出の定量化を行う.3)炎症性関連物質の分泌様相の検証:先行研究より脳機能の低下への関与が示唆されている炎症性関連因子に注目し,骨格筋,脳組織を対象に刺激刺激による発現変動遺伝子動態,およびタンパク質発現量を解析する.3)情動・認知機能・社会的行動の評価:行動神経科学の概念に基づく行動科学テストより脳機能を評価する.情動(高架式十字迷路試験など),空間認知記憶能力(オープンフィールド試験)を行動テストより評価する.また,飼育期間中における立位や歩行などの観察される行動を経時的にコーディングして数値化することで社会性行動を検証する.
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