研究課題/領域番号 |
23K24741
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補助金の研究課題番号 |
22H03484 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
原 雄二 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60362456)
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研究分担者 |
内田 邦敏 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (20581135)
鈴木 美希 順天堂大学, 薬学部, 講師 (00740200)
村上 光 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (50963518)
平野 航太郎 静岡県立大学, 薬学部, 特任助教 (30980172)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
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キーワード | 機械受容イオンチャネル / 筋衛星細胞 / 筋線維再生 / 骨格筋再生 / 筋幹細胞(筋衛星細胞) / 筋幹細胞 / 骨格筋幹細胞 / メカノバイオロジー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では幹細胞における、物理的な力感知に関わるイオンチャネル群の役割解明を通じ、力感知機構がいかに幹細胞の機能調節を行い、最終的に筋再生過程を統御し筋機能を維持するか解明を目指す。具体的には次の研究内容に取り組む。 1)筋再生時における、局所、時期特異的な力変化の理解 2)イオンチャネルを介した幹細胞の活性化、細胞内小器官の構造・機能維持機構 3)筋再生過程における機械受容イオンチャネルの多様性およびその意義 本研究により筋線維の再生過程ひいては筋機能維持機構の全容解明が期待される。
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研究実績の概要 |
骨格筋線維は成体でも極めて高い再生能を有しており、過剰な力負荷に伴う筋線維へのダメージに応じて筋線維を新生することで、骨格筋機能のみならず全身の恒常性を維持している。本研究では、筋再生を担う筋幹細胞がいかに活性化され、筋芽細胞の産生を経て筋線維の新生がもたらされるのかということに着目し研究を進めてきた。特に筋再生過程における「物理的な力感知に関わるイオンチャネル群(機械受容イオンチャネル)」を中心として、細胞力覚機構の役割解明を通じ、細胞力覚機構がいかに幹細胞の機能調節を行い、筋再生過程を統御し筋恒常性を維持するか解明を目指してきた。 まず我々はこれまでの研究の継続として、膜張力感知イオンチャネルPIEZO1に着目した。PIEZO1は筋幹細胞の増殖過程、とくに筋幹細胞の分裂過程に重要な役割を果たすことを見出してきた。さらに同チャネルについて、筋幹細胞でも高発現する細胞群、低発現を示す細胞群がみられ、幹細胞の不均一性を生み出すことで、継続的な筋再生をもたらす可能性が示唆された(論文投稿準備中)。 また筋幹細胞における機械受容チャネルの発現分布を検討したところ、種々の環境変動により活性化されるTRPチャネルファミリーのうちいくつかのチャネル群の高発現がみられた。それらについて遺伝子欠損マウスの作出を試みたところ、あるイオンチャネルの欠損により、筋再生能の著しい低下を呈した。RNA-seq解析ならびに単離筋幹細胞の性状解析の結果、同欠損マウスでは筋分化関連因子や細胞周期調節因子の発現減少とともに、細胞増殖能の顕著な低下が認められた(論文投稿準備中)。以上、すくなくとも3種類の機械受容イオンチャネル群が協働的に筋幹細胞にて作用し、周辺の微小環境変動を感知することで、秩序だった筋再生をもたらすことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの結果、機械受容イオンチャネルPIEZO1とともに、筋幹細胞におけるイオンチャネルの機能的な多様性について検討を行ってきた。候補チャネル群の遺伝子欠損マウスの解析も計画通りに進行しており、最終年度にてさらなる実験とともに、論文化を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にて、機械受容イオンチャネル群の遺伝子欠損マウスの解析を終了させる。筋損傷後の再生能について、組織学的解析とともに、単離筋幹細胞の性状解析(筋幹細胞の増殖能、分裂能、分化能等)を検討する。また遺伝子レベルの解析としてRNA-seq解析を行い、それぞれのイオンチャネル群がいかなる機能を有するのか解明する。また、筋疾患モデルマウスmdxとの掛け合わせにより、筋疾患に対する機械受容チャネル群の役割解明を行う。これらの研究を遂行し、論文化を図る。 遺伝子欠損マウスの解析とともに、イオンチャネルに対する既知のアゴニスト、アンタゴニストを用いて筋再生への影響を検討することで、筋再生、筋萎縮、筋疾患に対する創薬研究についても推進したい。
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