研究課題/領域番号 |
23K24743
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補助金の研究課題番号 |
22H03486 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59020:スポーツ科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
福 典之 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 先任准教授 (40392526)
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研究分担者 |
宮本 恵里 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 助教 (00793390)
膳法 浩史 東京聖栄大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (90749285)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 運動能力 / 遺伝子多型 / 変異 / 骨格筋 / 筋線維組成 / 遺伝子変異 / 遺伝子発現 / 全ゲノムシークエンス |
研究開始時の研究の概要 |
オリンピアン等が有する類いまれな運動能力は、トレーニングといった本人の努力のみならず、生まれもった才能、つまり遺伝要因が影響している。運動能力を規定する機能的な遺伝子多型・変異が解明できれば、その遺伝子多型・変異が制御している遺伝子発現の増加や抑制を誘導させるトレーニング方法等の開発により運動能力の飛躍的向上が期待できる。 本研究では、①トップアスリートの全ゲノム塩基配列の解析から瞬発系・持久系運動能力に関連する遺伝子多型・変異を同定し、②その遺伝子多型・変異によって調節される骨格筋や血液の遺伝子発現・生化学的な変化の検討から、運動能力に関連する遺伝子多型や変異の機能的役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
オリンピアンなどが有する類いまれな運動能力は、トレーニングといった本人の努力のみならず、生まれ持った才能、つまり遺伝要因(遺伝子多型や変異:DNA配列の個人差)が影響している。運動能力を規定する機能的な遺伝子多型(ありふれた塩基置換)や変異(まれな塩基置換)が解明されれば、それらが制御する遺伝子発現の増加や抑制を誘導するトレーニング方法の開発により、運動能力の飛躍的向上が期待できる。 本年度は、瞬発系・持久系運動能力に関連する遺伝子多型・変異を同定するために、トップアスリートのホールゲノムシークエンスを実施した。また、筋生検法を用いて一般人の大腿四頭筋サンプルの筋生検を行い、オミクス解析、筋線維組成等の生化学的解析、血中バイオマーカー解析、体力測定を実施した。アスリートならびに一般人の全ゲノム塩基配列情報と骨格筋のRNAシークエンスデータ等を用いた統合解析(オミクス解析)の準備を整えた。 画期的なトレーニング方法が開発されれば、運動能力の限界突破が図られ、我が国の国際競技力向上に寄与することができる。しかしながら、この画期的な方法を既存の知見から立案することは難しい。本研究課題では、トップアスリートを対象に全ゲノム塩基配列の解析から瞬発系・持久系運動能力に関連する遺伝子多型・変異を同定し、その遺伝子多型・変異が調節する骨格筋の遺伝子発現プロファイル等から、どの遺伝子領域が運動能力に影響しているかという革新的知見を得ることを目指している。この遺伝子発現を増減させるような新しいトレーニング方法が立案できれば、運動能力の飛躍的向上に貢献することが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アスリートのホールゲノムシークエンス:日本代表として国際大会出場経験のある瞬発系および持久系の陸上競技選手172名の唾液から総DNAを抽出し、次世代シークエンサーを用いて全ゲノム塩基配列を決定した。唾液サンプルを収集したため、30億塩基対×50カバレージで1人当たり1500億塩基対を決定した。172名全データからバリアントコールファイル(VCF)を作成し、クオリティー・コントロールを実施した後、瞬発系アスリートと持久系アスリートの全ゲノム関連解析を実施した。その結果、瞬発系・持久系運動能力の違いを決定しうる遺伝子多型は150種ほど抽出された。今後、これらの多型の確からしさについて検討を加える予定である。 一般人の筋生検:アスリートでない日本人71名を対象に、筋生検法を用いて大腿四頭筋サンプルを採取し、筋線維組成等の生化学的解析、ホルモン等の血中生化学プロフィール、身体組成、筋力、持久力の解析を実施した。RNAシークエンスデータを用いて遅筋線維に関連する共発現クラスター解析を実施した結果、3つのハブ遺伝子が同定された。
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今後の研究の推進方策 |
1人当たり30億塩基対×50本=1500億塩基対という膨大なデータ172名分から遺伝子多型や変異を抽出するための条件設定などに時間を要したが、2023年度これらの解析を終了することができた。まずは遺伝子多型(ありふれた塩基置換)から瞬発系ならびに持久系運動能力に関連する遺伝子多型の解析を実施した。今後は、多型だけでなく変異などにも注目して、瞬発系と持久系の運動能力の違いを決定している遺伝要因の解析を実施する予定である。また、外部の膨大なデータベースなども活用しながら、効率的な解析を実施するつもりである。 また、71名のヒト骨格筋サンプルを用いてRNAシークエンスを実施した。今後は性差を考慮した検討を実施するため、200名のサンプルサイズを目標に筋生検を進めていく予定である。さらに、骨格筋は速筋や遅筋に分類され、マイナーな毛細血管、サテライト細胞、筋紡錘なども存在する。骨格筋から精度の良い核を抽出するための条件検討が確立できそうな見込みが立ったため、現在、シングル核RNAシークエンスを実施して、骨格筋を細分化したRNAシークエンスデータ解析を行う予定である。このことで、本研究課題の研究計画を作成した段階の想定を超える成果が得られる可能性がある。今後はさらに条件などを精査して、研究計画を着実に遂行するつもりである。
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