研究課題/領域番号 |
23K24749
|
補助金の研究課題番号 |
22H03492 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
小野 誠司 筑波大学, 体育系, 教授 (70754753)
|
研究分担者 |
三浦 健一郎 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神疾患病態研究部, 客員研究員 (20362535)
木塚 朝博 筑波大学, 体育系, 教授 (30323281)
宮本 健史 名古屋大学, 情報学研究科, 助教 (80912526)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
|
キーワード | 能動視覚 / 眼球運動 / 視覚情報処理 / アスリート / 脳機能 / 脳波 / 視覚反応 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、能動的な視覚情報処理を担う高次脳機能に着目し、MRIおよび脳波を用いてアスリートの持つ優れた能動視覚の機能解明を目指す。さらにその脳機能を反映する眼球運動の動態および視覚反応動作を指標として、アスリートの持つ優れた能動視覚を評価する新たなバイオマーカーを開発する。そのため、次に示す3段階の研究を進め目的の達成を目指す。まず、アスリートの眼球運動および視覚反応を定量化し、その特徴を機能的MRIおよび脳波計測を用いた背側視覚路と大脳皮質前頭野(前頭眼野)の機能から検証し、さらに、眼球運動、視覚反応動作に反映される能動視覚と脳機能の関連性を検証する。
|
研究実績の概要 |
アスリートに必要な視覚情報処理として、受動的に知覚するだけでなく、対象となる視標(ボールや相手など)の速度やその変化を把握・予測して自分の動作を発現・修正するという動くための視覚(能動視覚)を養うことが重要である。そこで本研究は、能動的な視覚情報処理を担う高次脳機能に着目し、MRIおよび脳波を用いて機能解明を目指すこと、さらにその脳機能を反映する眼球運動の動態を指標として、アスリートの持つ優れた能動視覚を評価する新たなバイオマーカーを開発することを目的とする。そのため、次に示す3段階の研究を進め目的の達成を目指す。まず、アスリートの眼球運動および視覚反応を定量化し、その特徴を機能的MRIおよび脳波計測を用いた背側視覚路と大脳皮質前頭野(前頭眼野)の機能から検証し、さらに、眼球運動、視覚反応動作に反映される能動視覚と脳機能の関連性を検証する。 2023年度は、実践的運動課題と基礎的な眼球運動課題を併用し、能動的な視覚情報処理の能力を比較すること、さらに、異なる競技特性および競技レベルのアスリートを対象として、脳波を用いて眼球運動中の脳機能の違いを検証することに主眼をおいた。本研究課題では、アスリートの能動視覚に関連する眼球運動の違いが 、機能的MRIおよび脳波の事象関連電位に関連するかどうかを検証した。その結果、競技者は、日常的に運動を行なっていない非競技者に比べ、眼球運動の開始局面の加速度成分や潜時が優れていることが示され、さらに、2次運動視覚刺激に対する眼球速度および大脳皮質頭頂葉部の電極から導出された事象関連脳電位の振幅が大きい値を示すことが明らかにされた。これらの結果から、アスリートにおける優れた眼球運動および視覚認知は、上位中枢における視覚情報処理能力の違いに関連していることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定した、基礎的および実践的な視覚運動課題を用いた眼球運動の計測と競技特性の違いについての検証、脳波による事象関連脳電位を用いたアスリートを含む異なる対象者の視覚情報処理能力の特徴を明らかにする研究は比較的順調に進展した。ここまでは個々の違いや異なる運動経験、競技レベルの対象者群における違いを明らかにすることができた。これらの研究結果は、国内外のスポーツ科学分野および神経科学分野の複数の学術論文誌、国際学会および国内学会において発表した。本研究により、動く視標に対する眼球運動と、それを支える脳機能との関連性が明らかとなり、能動的な視覚情報処理能力の定量化およびバイオマーカーの開発につながる知見を得ることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
異なる視覚刺激に対する眼球運動の違いが大脳皮質における背側視覚経路の活動と関連すること、ヒトの視覚認知の違いが前頭眼野の働きに影響されることから、今後は異なる競技経験を持つアスリートを対象として、パフォーマンスに関連する視覚認知能力の違いが機能的MRIから読み取る脳機能に反映されるかどうかについての検証を開始する計画である。異なる視標の速度や方向の視覚刺激に対しての視覚認知や眼球運動が顕著に異なる場合は、視覚刺激に対する大脳皮質の背側視覚路や前頭眼野に関連する機能に違いが生じる可能性がある。したがって、視標の提示時点および特定の眼球運動をトリガーにした脳電位を記録することにより、視覚認知や眼球運動と関連した脳活動の評価を試みる。この手法を用いて、アスリートと非アスリート群の眼球運動と脳機能を比較することによって競技特性を含めたアスリートの持つ視覚認知能力の特性を明らかにする計画である。
|