研究課題/領域番号 |
23K24750
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補助金の研究課題番号 |
22H03493 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
安藤 創一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (50535630)
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研究分担者 |
田代 学 東北大学, 先端量子ビーム科学研究センター, 教授 (00333477)
藤本 敏彦 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (00229048)
岡本 孝信 日本体育大学, 体育学部, 教授 (40330518)
橋本 佑斗 日本体育大学, 体育研究所, 助教 (00896871)
須藤 みず紀 公益財団法人明治安田厚生事業団体力医学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (10585186)
樽味 孝 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 上級主任研究員 (40825858)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 運動 / 脳 / 認知機能 / 電気刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
適度な運動がヒトの認知機能に有益であることを示すエビデンスは溢れている.これまでの多くの研究にもかかわらず,なぜ運動が認知機能に有益な効果をもたらすのかについては十分には明らかになっていない.本研究は,骨格筋の収縮のみを引き起こすことが可能な電気刺激と随意運動,およびその組み合わせが生体にもたらす生理的応答を評価することで,“ヒトの認知機能に有益な効果をもたらす“運動の本質”の解明を目指すものである.
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研究実績の概要 |
本年度は,研究課題である認知機能に有効な運動の本質を明らかにするための鍵となる研究成果を報告した.この研究では、脳の神経伝達物質であるドーパミンに着目し,ポジトロン断層法(positron emission tomography;PET)を用いて,運動による脳内のドーパミン遊離を検証した.併せて,運動中に認知課題(Go/No-Go課題)を行い,反応の速さを認知パフォーマンスの指標として評価し.脳内のドーパミン遊離と認知課題に対する反応の速さとの関係について検証した.PETを用いた実験から、一過性の有酸素運動により脳内でのドーパミン遊離がみられることを捉え、さらに運動によるドーパミンの遊離と認知課題に対する反応の速さとの間に有意な相関関係があることを明らかにした.次に,運動による認知パフォーマンスの向上を引き起こす要因の解明を試みるために,電気刺激を活用した下肢への骨格筋収縮による不随意運動誘発モデルを用いて,骨格筋の運動(筋収縮)に伴う生理的変化が運動による認知パフォーマンスの向上へ及ぼす影響を検証した.その結果,運動による認知課題に対するパフォーマンスの向上には、骨格筋の収縮に伴う生理的変化だけでは十分とは言い難く、随意運動に伴う脳内の神経活動が必要であることが示唆された。以上のことから、1回の有酸素運動による認知課題に対する反応の速さ、すなわち認知パフォーマンスの向上には脳内でのドーパミンが関係していること、さらに運動による認知パフォーマンスの向上には随意運動に伴う脳内での神経活動が必要であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究から得られた主な成果は以下の通りである.1)一過性の有酸素運動がもたらす認知パフォーマンスの向上(反応の速さの向上)の要因に脳内でのドーパミン遊離が関与することを示唆した,2)電気刺激による骨格筋の運動(不随意運動)にエルゴメーター運動(随意運動)を併用した実験から、運動による認知パフォーマンスの向上には随意運動に伴う脳内の神経活動が必要であることを示した.この他にも,低酸素環境下での人の認知機能に関する研究や骨格筋への電気刺激トレーニングの研究も行った.これらの研究成果は,ヨーロッパスポーツ科学会議や日本トレーニング科学会などの学会で発表を行うとともに,その一部は論文として公表した.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は一過性の運動による認知パフォーマンスの向上にドーパミンが関与するということを報告した.この世界初のデータは本研究課題において鍵となるものである.次年度も引き続き研究課題である認知機能に有効な運動の本質を探っていく計画である.次年度以降は,脳波や機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging)などを用いた研究を行う計画である.併せて,骨格筋への電気刺激が生体にもたらす影響についても継続して検討する計画である.
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