研究課題/領域番号 |
23K24790
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補助金の研究課題番号 |
22H03533 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 立命館大学 (2024) 大阪大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
立花 雅史 立命館大学, 生命科学部, 教授 (80513449)
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研究分担者 |
小山 正平 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (80767559)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | がん免疫 / 代謝 / MDSC / パルミチン酸 / 脂肪酸 / 免疫抑制 / 骨髄由来免疫抑制細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄由来免疫抑制細胞(Myeloid-derived suppressor cell; MDSC)は担がん病態下では抗がん免疫応答を抑制し、がんを増悪化させる。これまでに我々は、種々の脂肪酸の中でパルミチン酸のみがMDSC分化や機能を阻害することを見出している。本研究課題では、パルミチン酸がMDSCの分化や免疫抑制機能に与える影響の分子メカニズムを明らかにし、将来的には、がん治療における患者の栄養管理の重要性を明らかにし、食事療法を効果的に組み合わせたがん治療のパラダイムシフトに繋げていく。
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研究実績の概要 |
これまでの検討により、パルミチン酸による骨髄由来免疫抑制細胞(Myeloid-derived suppressor cell; MDSC)の免疫抑制機能の減弱には脂肪酸取り込みトランスポーターとして知られているFAT (Fatty acid translocase; CD36)が重要であることを見出した。また、パルミチン酸をリガンドとする自然免疫受容体であるTLR (Toll-like receptor)2やTLR4のノックアウト(KO)マウスを用いた解析から、これらの分子の関与はないことを明らかにした。すなわち、細胞表面受容体(TLR2およびTLR4)からのシグナルの関与は低く、細胞内へのパルミチン酸の取り込みが、MDSCの免疫抑制機能の減弱には重要であることが示唆される。 細胞内へ取り込まれたパルミチン酸は、β酸化や各種脂質代謝物へと代謝される。また一方で、各種遺伝子発現を制御することや、パルミトイル化による翻訳後修飾に利用されることも報告されている。以前実施したRNA-seq解析の結果からは、パルミチン酸による大きな遺伝子発現は認められず、さらに前年度の検討からβ酸化に依存しないことを見出している。そこで今年度はパルミトイル化に着目することとした。パルミトイル化阻害剤を用いた検討から、パルミチン酸によるMDSCの免疫抑制機能の減弱は、パルミトイル化に依存することを明らかにした。次年度は、パルミトイル化による影響について検討を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
細胞内へ取り込まれたパルミチン酸は、β酸化や各種脂質代謝物へと代謝される。また一方で、各種遺伝子発現を制御することや、パルミトイル化による翻訳後修飾に利用されることも報告されている。以前実施したRNA-seq解析の結果からは、パルミチン酸による大きな遺伝子発現は認められなかったことから、パルミトイル化に着目した。パルミトイル化阻害剤である2-BPを用いた。MDSC分化誘導系において、パルミチン酸と同時に2-BPを添加し、得られたMDSCの免疫抑制機能について検討したところ、2-BP添加によって、パルミチン酸によるMDSCの免疫抑制機能の減弱が認められなくなった。このことから、β酸化以外の経路がパルミチン酸による制御に重要であることを明らかにした。検討から、パルミチン酸によるMDSCの免疫抑制機能の減弱は、パルミトイル化に依存することを明らかにした。次年度は、パルミトイル化による影響について検討を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の検討から、パルミトイル化が重要であることを見い出したことから、パルミトイル化による翻訳後修飾を受けるタンパクについて同定を進めていく予定である。 CD36 KOマウスを用いた検討により、脂肪酸の取り込み過程が必須であることを見出している。そこで、CD36 KOマウスにB16-F10がん細胞を移植し、パルミチン酸飼料を摂食させることで、その抗腫瘍効果におけるCD36の重要性、すなわち脂肪酸取り込み過程の重要性を明らかにする。 抗PD-1抗体治療に抵抗性を示すB16-F10担がんマウスに抗PD-1抗体を腹腔内投与し、パルミチン酸飼料摂食との併用効果について評価する。また、別のがん細胞を用いた検討も行い、パルミチン酸飼料摂食による抗腫瘍効果が普遍的なものであるかを明らかにする。
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