研究課題/領域番号 |
23K24794
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補助金の研究課題番号 |
22H03537 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
内海 健 九州大学, 医学研究院, 教授 (80253798)
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研究分担者 |
外園 栄作 九州大学, 医学研究院, 講師 (60404042)
八木 美佳子 九州大学, 医学研究院, 助教 (70536135)
塩津 弘倫 九州大学, 医学研究院, 助教 (90625766)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | リソソーム / ミトコンドリア / 慢性心不全 / NMN / フェロトーシス / 心不全モデルマウス / 心不全 |
研究開始時の研究の概要 |
老化によるミトコンドリア機能低下は様々な組織で認められ、神経変性疾患・拡張型心筋症・がんなどが発症する要因であると考えられている。申請者はミトコンドリア翻訳機能障害によるリソソーム機能低下が慢性心不全の病態の増悪化につながることを世界で初めて明らかにした。申請者が作製した慢性心不全モデルマウスで解析した結果ではミトコンドリア機能低下により徐々にNADが低下すること。さらに、NAD低下によりリソソーム、オートファジー機能低下が引き起こされ、病態が増悪化する新機序を見出した。本研究はNAD前駆体NMN投与により慢性心不全モデルマウスの寿命が延長するのか? 病態は改善するのか?
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研究実績の概要 |
老化によるミトコンドリア機能低下は様々な組織で認められ、神経変性疾患・拡張型心筋症・がんなどが発症する要因であると考えられている。申請者が作製した慢性心不全モデルマウスで解析した結果ではミトコンドリア機能低下により徐々にニコチンアミド アデニン ジヌクレオチド(NAD)が低下すること。さらに、NAD低下によりリソソーム、オートファジー機能低下が引き起こされ、病態が増悪化する新機序を見出した。そこで本研究はNAD前駆体NMN投与により慢性心不全モデルマウスの寿命が延長するのか? 病態は改善するのか? 検討した。慢性心不全もモデルマウスのミトコンドリア蛋白p32 心筋特異的ノックアウトマウスでは約12か月の寿命であるがNMN投与により2か月寿命が延長した。心不全マーカー ANP Myh 遺伝子発現の改善、ドパミン等の心不全で増加する代謝物の改善が認められ、NMNによる心不全悪化を阻止する効果が確認された。免疫染色等により検討したところ、損傷リソソームの改善、リソソーム機能の改善が認められた。一方ミトコンドリア機能改善は認められず、寿命延長の原因はリソソーム機能の改善によるものと考えられた。また、ミトコンドリア翻訳障害はNAD量の低下に伴いリソソーム機能障害につながるがその分子機序としてリソソームでフェロトーシスが誘導されることを初めて見いだした。リソソーム内のpHが上昇すると鉄の蓄積が起こり、2価鉄による過酸化脂質化が亢進する。結果リソソーム膜の過酸化脂質化が亢進し、細胞死が誘導されることを見出した。慢性心不全の改善としてリソソームを標的とした治療法が考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2年目に本研究に関する論文を投稿し、受理された Yagi M, Do Y, Hirai H, Miki K, Toshima T, Fukahori Y, Setoyama D, Abe C, Nabeshima YI, Kang D, Uchiumi T. (Corresponding author) Improving lysosomal ferroptosis with NMN administration protects against heart failure. Life Sci Alliance 6 2023 更に成果を上げるため現在 アルツハイマー病に関与する分子機序の解明を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は拡張型心筋症から増悪する慢性心不全のモデルマウスを用いて検討を行い、新たな分子機序を見出すことができた。今後はアルツハイマー病モデルマウスにおいても同様の検討を行う予定である。アルツハイマー病はアミロイドの蓄積による遺伝性のアルツハイマー病と孤発性に分けられる。孤発性は老化により発症することからミトコンドリアの障害に起因するものとの考えがある。そこで、神経細胞においても同様にミトコンドリア機能低下からリソソーム損傷が生じているのか検討し、心筋のみならず神経細胞においても同様のメカニズムで障害が起きているのか検討する予定である
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