研究課題/領域番号 |
23K24798
|
補助金の研究課題番号 |
22H03541 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
福田 真嗣 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 腸内環境デザイングループ, グループリーダー (80435677)
|
研究分担者 |
尾花 望 筑波大学, 医学医療系, 助教 (00722688)
加藤 守匡 山形県立米沢栄養大学, 健康栄養学部, 教授 (20399330)
中藤 学 地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所, 腸内環境デザイングループ, サブリーダー (20584535)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 腸内細菌 / 代謝物質 / 腸内環境 / 持久運動 / 短鎖脂肪酸 / メタボロゲノミクス / 運動 / 持久力 |
研究開始時の研究の概要 |
腸内細菌叢由来代謝物質がもたらす持久運動への影響について、遺伝子改変マウスや無菌マウス、ヒト便中細菌叢in vitro培養実験系を用いて、メタボロゲノミクス解析手法によりその詳細を明らかにする。持久運動を向上させる腸内細菌叢由来代謝物質を同定し、その分子機構を解明することができれば、将来的には腸内環境を標的とした新たな持久運動向上アプローチとなることが期待される。
|
研究実績の概要 |
ヒトの腸内にはおよそ1,000種類で40兆個にもおよぶとされる腸内細菌が生息しており、これら腸内細菌叢は宿主細胞と相互作用することで、複雑な腸内生態系を形成している。われわれはこれまでに、腸内細菌叢のメタゲノム解析と腸内代謝物質のメタボローム解析を組み合わせたメタボロゲノミクス解析手法を考案し、腸内細菌叢から産生される代謝物質が宿主の健康維持や疾患発症に関与することを明らかにした。一方、腸内細菌叢が疾患だけでなく脳機能や精神状態、ホルモンバランスなどの様々な生理機能にも影響を与えることが続々と報告されており、人間はヒトの細胞と腸内細菌の細胞とで構成されるSuperorganismと考えられることから、疾患のみならずヒトの様々な生理機能にも腸内細菌叢が影響を与え得ると考えられる。そこで本研究では、腸内細菌叢を体内における「もう一つの臓器」と捉え、そこから産生される代謝物質が、栄養源やシグナル因子として機能するという仮説のもと、生理機能の一つとして運動機能のうちの持久力と腸内細菌叢に着目した研究を行った。その結果、駅伝選手の腸内には、主要な腸内細菌の一種であるBacteroides uniformisが同年代の健康成人に比べて有意に多いことを見出した。またB. uniformisをマウスに10週間経口投与し強制水泳試験を実施したところ、その遊泳時間が2倍も増加することを明らかにした。更にB. uniformisをヒト腸内で増加させる食品成分としてα-シクロデキストリンを同定し、8週間の摂食試験を実施したところ、対照群と比較して運動後の疲労感が有意に軽減することや、走行試験での有意な持久力向上効果が認められた。これらの結果から、腸内細菌叢由来代謝物質が、宿主体内において栄養源やシグナル因子として機能することを明らかとした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は研究計画書のスケジュール通り、腸内細菌叢がもたらす持久力向上の分子基盤について動物モデルを用いて解析し、持久力向上に寄与する腸内細菌を同定した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は腸内細菌叢由来代謝物質についてメタボローム解析を実施し、得られた情報から持久力向上に寄与する代謝物質の同定と、その機能解析について研究分担者と連携して実施する。
|