研究課題/領域番号 |
23K24801
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補助金の研究課題番号 |
22H03544 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 京都薬科大学 |
研究代表者 |
関根 勇一 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (20396295)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 神経再生 / 中枢神経再生 / 軸索損傷 |
研究開始時の研究の概要 |
事故などによって損傷した中枢神経が生体内で元通りに再生し機能的な回復を行うことは非常に難しい。脳や脊髄の損傷により四肢麻痺などが引き起こされると、生涯にわたって後遺症が残ってしまう。iPS細胞医療を含めた様々な臨床試験が行われているが、中枢神経の再生を標的とした承認薬はいまだに存在していない。中枢神経再生は、非常に多数の制御分子により制御されていることが分かっているが、その全容解明には至っていないし。本研究では機能性食品として注目されている分子による軸索再生における機能とメカニズムを探求している。これら基礎研究の積み重ねにより、これまで不可能であった神経再生治療方法の開発の足がかりとしたい。
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研究実績の概要 |
損傷した中枢神経が生体内で再生し機能的な回復を行うことは非常に難しく、再生は非常に多数の制御分子とそれら複数の組み合わせにより制御されている。申請者は、これまでに軸索の再生を指標にしたゲノムワイドスクリーニングを行い、多数の神経再生調節を担う候補遺伝子を同定している。 2023年度は特にXk分子に着目し、中枢神経再生におけるその機能の解析を試みた。前年度にXk遺伝子ノックダウンにより再生の促進が、また、過剰発現により再生の抑制がin vitroにて確認されており、Xkはin vitroにおいて中枢神経の再生を負に制御する分子であることが示唆されている。本年度はXkのin vivoにおける神経再生における機能解析に焦点をあてて研究を行なってきた。生体内での機能解析のため、Xkノックダウンがin vitroで確認されているshRNAコンストラクトを用いて、アデノ随伴ウイルス(AAV)を用いた遺伝子発現調節により検討を試みた。視神経障害モデルマウスにおいて、神経再生に対するXkの機能を解析するためにマウス眼球内に精製したAAVを投与後、視神経障害による神経再生を評価した。その結果、in vitroのデータと相関した、Xkノックダウンにより神経再生が亢進することが認められた。しかし、検体数が少ないこと、生体内でのXkノックダウン確認を行えていないことなど課題も残っているため現在さらなる検討中である。 また前年度から引き続き、ヒトiPS細胞由来神経細胞によるin vitro神経再生アッセイ系の確立を試みた。プレートコーティング基質成分、細胞数、培養日数など様々な検討により最適な評価系の確率を行った。その結果、in vitroでの神経再生評価系の確立に成功し査読付き論文として報告を行なった。これより、マウス神経細胞で行ってきた評価をヒト神経細胞でも確認することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載した研究予定の多くを遂行することができた。しかし、神経再生メカニズムの解明には至っておらず、2024年度の課題とする。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度にin vitroで機能確認できた分子について、マウス生体内での機能の解析を引き続き行っていく。また、それぞれの分子がどのように中枢神経の再生を調節しているかメカニズムの解明を行う。さらに、ヒトiPS由来神経細胞においても神経再生に関与しているか解析を行う。 ①Xkの機能解析:生体内でのXkによる中枢神経再生に対する機能解明のため、AAV(アデノ随伴ウイルス)によりマウス生体内でノックダウンもしくは過剰発現し、視神経障害モデルによって機能を観察する。AAVベクターを用いたshRNAまたは過剰発現プラスミドの構築及びAAVの精製は前年度に終了しており、すでにin vivo実験を開始している。また、Xkによる中枢神経再生の分子メカニズムの解明を行う。 ②Cys1の機能解析:生体内でのCys1による中枢神経再生に対する機能解明のため、AAVによりマウス生体内でノックダウンもしくは過剰発現し、視神経障害モデルによって機能を観察する。AAVベクターを用いたshRNAまたは過剰発現プラスミドの構築は前年度に終了しており、現在はAAVの精製を開始している。また、Cys1による中枢神経再生の分子メカニズムの解明を行う。 ③ニコチンの処理により、in vitroにおける中枢神経の再生が強く促進されている。そこでin vivoでのニコチンによる中枢神経再生への影響を視神経障害モデルによって確認する。 ④前年度にiPS由来神経細胞を用いた、in vitro神経再生アッセイ系の確率に成功査読月論文として発表した。そこで、マウス由来神経細胞で作用の確認できている薬剤等(GABA、ニコチン等)を評価し、ヒトiPS由来神経細胞でも機能があるか確認する。 ⑤前年度に引き続き、ゲノムワイドスクリーニングから得られた分子群の中から、中枢神経の再生に関与する分子をさらに確認して行く。
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