研究課題/領域番号 |
23K24811
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補助金の研究課題番号 |
22H03554 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
野間 久史 統計数理研究所, 学際統計数理研究系, 教授 (70633486)
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研究分担者 |
長谷川 毅 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90349100)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2026年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | ネットワークメタアナリシス / Evidence-Based Medicine / 統計的推測 / 統計モデリング / 機械学習 / Evidence-based medicine / 高次漸近理論 / 不一致性 / ベイズ統計学 / ブートストラップ / 予測区間 / ロバスト推定 / モンテカルロ推測 / 影響力解析 / 多変量メタアナリシス / 公表バイアス / 外れ値 |
研究開始時の研究の概要 |
世界規模で進む社会の高齢化とそれに伴う医療費の高騰を受け、医薬品・医療技術の有効性・有用性の比較評価は、高水準の医療・福祉を維持するべく、極めて重要な課題となっている。ネットワークメタアナリシスは、その中心的な研究方法として、この数年で急速に普及した方法である。本研究では、その統計理論・方法論についての研究開発を行い、将来的に国際的なスタンダードとなり得る方法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度から継続して、ネットワークメタアナリシスにおける推測手法の根幹的な問題である、現状のスタンダードな方法の検定・信頼区間の妥当性が成り立たないという問題を解決するために、高次漸近理論に基づく方法の開発に取り組んだ。Kenward-Rogerの方式による、新たな高精度の推測手法の開発に成功し、シミュレーション実験・実データの解析を通して、既存手法より優れた性能を有することを確認できた。 また、試験間の治療効果の異質性を測るための指標として、近年、システマティックレビューの実践では、予測区間(prediction interval)が、重要な指標として用いられるようになっている。ネットワークメタアナリシスにおける新規手法として、Bootstrap法に基づくモンテカルロ法と、高次漸近理論に基づく予測区間の構成手法の開発に取り組み、現状の標準的な方法を上回る、高精度な方法の開発に成功した。 加えて、ネットワークメタアナリシスにおけるContrast-basedモデルでのベイズ流の推測手法の開発に取り組んだ。すべての計算をマルコフ連鎖モンテカルロ法を使用せずに完遂することができる、簡便なモンテカルロ法によるアルゴリズムを開発し、それに基づく、汎用的なベイズ推測・予測法を開発した。 また、ネットワークメタアナリシスにおける重要な基本的仮定として、「統合を行うネットワーク上の直接比較・間接比較のエビデンスが不整合でない」という仮定がある。その不一致性の評価における代表的な方法のひとつであるSidesplitting法における直接比較・間接比較のエビデンスの分解と、不一致性の検定を、多変量メタ回帰の枠組みで簡便に行うモデリングの方法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該領域の国際一流誌であるResearch Synthesis Methods誌をはじめ、多くの国際学術誌への研究成果の公表に成功しており、当初の想定以上の成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
継続して、ネットワークメタアナリシスにおける実践上の問題を解決するための新規方法論の開発研究に取り組む。 まず、ネットワーク上の不一致性の評価の枠組みとして、現在は、検定に基づく分析方法が、スタンダードなものとして用いられているが、そもそも検出力が低かったり、その妥当性に問題があることが知られており、実用上の根本的な問題があることが問題視されている。今年度は、検定とはまったく異なるアプローチによって、不一致性を検出し、潜在的なバイアスの分析を行うことができる方法を新たに開発することとする。 また、昨年度から継続して、ネットワーク上でのエビデンスの包括的一致性(global consistency)が成立しなかった場合の対処方法として、潜在的な不一致性を調整した上での治療効果の推測方法についての研究に取り組む。一つの手段としては、ランダム効果によって、不一致性をモデル化したランダム不一致性モデルがあるが、ランダム不一致性効果に基づく検定において、既存の検定手法は、我々のこれまでの研究により、多くの実践的な条件のもとでその妥当性を失うことが明らかになった。昨年度に引き続き、その問題を解決するための新しいモンテカルロ検定を開発する。 加えて、稀にしか起こらないイベントを対象としたネットワークメタアナリシスにおける統合解析の方法について、現状の制限付き最尤法などでは、妥当な分析結果が得られないことが問題となっている。これまでの研究を通して、その潜在的なバイアスや精度評価の問題が、医療技術評価やガイドライン作成などに深刻な影響を及ぼす可能性があることが明らかとなった。これに対処するための新規手法の開発にも取り組むこととする。
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