研究課題/領域番号 |
23K24815
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補助金の研究課題番号 |
22H03559 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60040:計算機システム関連
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
吉河 武文 富山県立大学, 工学部, 教授 (60636702)
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研究分担者 |
大倉 裕貴 富山県立大学, 情報工学部, 講師 (20842777)
上口 光 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (30536925)
佐藤 真平 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (80782763)
岩田 達哉 富山県立大学, 工学部, 講師 (80735639)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | ガスセンサ / 匂い / アナログIC / 機械学習 / センサ温度変調 / 半導体MEMSセンサ / ガス識別 / 温度変調 / ヒータ電圧波形 / ベイズ最適化 / A/Dコンバータ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、超小型ながら高性能な匂いセンサシステムの構築に関するものである。 申請者らの研究により、市販のヒータ加熱式の半導体ガスセンサにおいて、温度を変調させることによって当該ガスセンサの選択性を向上させ、機械学習による主成分分析により単一のガスセンサで複数のガス検出を可能にできることを示した。本研究では、これを発展させ、MEMSなどの半導体回路技術とパッケージング技術を利用し、専用でカスタム設計する半導体ICと市販ガスセンサとを集積することにより、より多様かつ精緻に温度を変調・制御することによって、超小型かつ高性能で利便性の高い匂いセンサシステムを提案していく。
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研究実績の概要 |
半導体ガスセンサにおいて、ヒータによる温度変調を適用することによって、その温度や温度変化の速度に応じたセンサ応答の時系列データから、検出対象とするガス種やにおい種の情報をより多く得ることを可能にする。これまでに我々は、振幅と周波数が周期的に変化するヒータ電圧波形を提案し、その有望性を実証してきた。そして、2022年度は以下の3点に注力して取り組みを行った。 1. ガス識別システムの小型化 : 2021年までのガスの識別の実験においては、上記温度変調のためのヒータ電圧の印加には比較的大型の任意波形発生器を用いていたが、小型化のためにガス識別用ヒータ波形とアルゴリズムをFPGAに実装するとともにボード上でアナログフロントエンドを電子回路で形成して、小型のガス識別システムを構築した。 2.ベイズ最適化 : 上記の温度変調において問題になるのは、ヒータ電圧波形の決定手法である。我々の提案方法は、電圧波形のパラメータが多く経験的に決定するのは実験回数が膨大になり現実的ではない。そこで、データ駆動型最適化手法であるベイズ参的かを用いたヒータ電圧パラメータ最適化手法を検討した。ここでは、識別率を直接目的関数として採用することは避け、Davies-Boudlin-Index(DBI)を目的関数として採用し、主成分スコアPC1-PC5を用いて計算した。これにより最適化すると、識別率は59.2%から76.3%に向上した。 3.A/Dコンバータの設計試作 : 上記のアナログフロントエンドを集積回路(IC)化する検討を行い、そのIC化のために一番難易度が高いと思われるA/Dコンバータについて、想定ICプロセスであるRohm社の0.18μmプロセスを用いて設計を行った。そして、2022年2月にVDEC経由で発注を行った。また、別プロセスで試作した当該A/Dコンバータを耐放射線対策仕様にして学会発表も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
費用的な観点(3割減額)からMEMSセンサは連携企業からの供与で進めており、研究計画をセンサ自作ではなくセンサシステムの小型化に切り替えた。そのためにFPGAと個別素子による回路設計を2022年度に行いシステムを動作させている。このシステムによりビーカー内の液化ガスの識別を行ったところ、いままでの大型システムと類似の結果を得ることができたので、基本的にシステムとして機能していることを確認できている。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、2022年度にFPGAと個別素子で試作した小型ガス識別システムを用いて、ガス識別の実験を進める。各種のガスを測定してデータを蓄積する。そのデータをもとに、ベイズ最適化によりヒータ電圧の最適パラメータを決定するとともに、ガス識別の認識率を向上させていく。ガス識別のアルゴリズムには、まだまだ改良の余地がおおいにあると考えている。また、2022年度はA/DコンバータをRohm社の0.18μmプロセスで設計したが、2023年度は、現状個別素子で試作しているアナログフロントエンド全体をIC化したい。具体的には、MEMSセンサのコンダクタンス変化を読み取るセンサアンプや可変利得アンプである。これにより、センシングの電子回路がIC化されて更なる小型化が期待される。 2024年度以降は、提携企業から供与を受けているMEMSセンサと、2023年度試作のICとを基板上で統合してセンサ読み出しシステムとして集積化していく。そして、この集積化したセンサシステムを用いて各種のガスを測定してヒータ電圧パラメータを最適化していく。センサ読み出しシステムを集積化することによって、パラメータの可変範囲を拡張できるのでは、と考えており、パラメータの可変範囲がひろがると更に適したパラメータのセットを導出することができて、ガス識別の更なる向上が期待される。
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