研究課題/領域番号 |
23K24857
|
補助金の研究課題番号 |
22H03601 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
三目 直登 筑波大学, システム情報系, 助教 (10808083)
|
研究分担者 |
森田 直樹 筑波大学, システム情報系, 助教 (20789010)
金子 栄樹 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40908802)
浅井 光輝 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90411230)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
|
キーワード | 数値解析 / グラフニューラルネットワーク / 大規模並列解析 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、様々な数値解析手法に汎用的に適用可能な機械学習手法である「グラフニューラルネットワーク(GNN)」を用いて、数値解析の代替とする方法論を確立すると同時に、力学現象特有の時空間的性質を学習機に埋め込んだ力学情報埋め込み型GNN の開発を行う。その上で、機械学習によって出力される解の信頼性の保証が困難であるという問題に対し、機械学習を前処理として利用することで、解析手法の残差を用いて信頼性の定量評価を可能とした数値解析に対するマルチグリッド的GNN 前処理手法の開発を実施する。また、提案手法の実用性を評価する目的で、提案手法の実問題への適用性評価を行う。
|
研究実績の概要 |
本研究は、 (A) 力学情報埋め込み型 GNN の開発 (B) マルチグリッド的 GNN 前処理手法の開発 (C) 提案手法の実問題への適用性評価 の3つの小課題に分かれている。2023年度は前年度から引き続き、上記課題の (A) と (B) に関する数理的基盤技術の拡張と深化を実施した。(A) に関しては、前年度に開発を進めた「力学的な空間の特徴」を持つ GNN に対し、有限体積法や不連続 Galerkin 法の持つ局所的保存性を有した手法の開発を実施した。具体的には、要素間数値フラックスに相当する部分を GNN の message 関数として定義し、この関数に対称性を付与することにより、精度と対象形状に対する汎用性に加え、局所的保存性を両立させる方法を開発した。(B) に関しては、代表者・三目が方法論を構築し、分担者・浅井のMPI並列実装に関する知見を参考にしつつ、分担者・森田が並列計算ライブラリの開発を実施した。具体的には、メッシュ等の離散化された系を幾何学的に領域分割する方法を適用し、その分割領域の連結を表す「メタグラフ」を定義した上で、そのメタグラフに本研究にて提案する力学情報埋め込み型 GNN を適用する方法を明らかにした。これにより、対象の計算点やメッシュの解像度によらず、任意の「粗いグラフ」を定義することが可能となり、高速な代替計算が可能となった。また、そのメタグラフを含む階層型グラフ構造を用い、GNN を用いたマルチグリッド的前処理を可能とするための手法の構築と、ライブラリの整備を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施した研究小課題の(A) 力学情報埋め込み型 GNN の開発、および、(B) マルチグリッド的 GNN 前処理手法の開発、の双方で順調に研究が進んでおり、概ね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、 (A) 力学情報埋め込み型 GNN の開発 (B) マルチグリッド的 GNN 前処理手法の開発 (C) 提案手法の実問題への適用性評価 の3つの小課題に分かれている。これまでの研究にて、本研究の核となる (A) の基盤技術が形になってきたため、(A) の技術を深化すると当時に、(B) の検討および (C) の実問題解析のフェーズに移行する。(A) に関しては、要素間数値フラックスに相当する部分を GNN の message 関数とすることにより局所的な保存性を獲得した GNN に対し、代表者・三目と分担者・金子が協力し、Proper Orthogonal Decomposition によって得られた「モード」を当該学習器に導入する方法論を開拓する。(B) に関しては、前年度に引き続き、代表者・三目が方法論を構築し、分担者・森田が並列計算ライブラリの開発を実施する。具体的には、GNN を用いたマルチグリッド的前処理を可能とするための手法の構築と、ライブラリの整備を実施し、当該前処理手法の反復数低減性能および計算コストを定量的に評価する。(C)に関しては、分担者・浅井が実施している波浪・津波の数値解析に (A) および (B) の方法論を適用するための数理的かつプログラム資源的な準備を行う。具体的には、分担者・浅井らが使用している粒子法の Smoothed Particle Hydrodynamics に、GNN を適用するためのグラフ生成方法を検討し、そのプログラム開発を実施する。
|