研究課題/領域番号 |
23K24861
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補助金の研究課題番号 |
22H03605 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60100:計算科学関連
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研究機関 | 大同大学 |
研究代表者 |
荻野 正雄 大同大学, 情報学部, 教授 (00380593)
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研究分担者 |
曽我部 知広 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (30420368)
杉本 振一郎 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (40451794)
武居 周 宮崎大学, 工学部, 准教授 (40598348)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2026年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2025年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 計算工学 / 計算電磁気学 / ハイパフォーマンスコンピューティング / 連成解析 / 有限要素法 / 高性能計算 / 超並列計算 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
電磁波加熱の詳細な現象把握や高度な制御に向けて,高い実行能力(ハイケーパビリティ)を有する大規模な電磁場-固体連成解析技術を確立する研究である.特に,(a)分割統治法に基づく領域分割型FEMの開発,(b)複素対称線形方程式向けの高性能な反復法の開発,(c)時間並列化と並列時差解法による連成解析法の開発,(d)大規模な電磁波加熱問題解析による性能評価を行う.これにより,電磁場-固体連成解析においてメモリ削減と実行時間削減,並列効率向上と実行時間削減,それぞれの両立を達成する.
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研究実績の概要 |
項目(a) 分割統治法に基づく領域分割型FEMとして,非一様な再帰的領域分割で部分領域間連続性を満たすアルゴリズムを継続検討した.特に,共役勾配(CG)法に基づく領域分割法アルゴリズムを偏微分方程式で記述し,部分領域問題のソルバとして物理法則に基づくニューラルネットワーク(PINN)を適用可能とした.さらに,2次元静磁場の2領域問題に対し,部分領域問題をPINNで解く領域分割法のプログラムを開発し,数値実験から提案手法の有効性を確認した.また,PINNの偏微分方程式ソルバとしての性能評価を実施し,疑似乱数列,直交格子点集合,Halton列やSobol列など非一様度が低い点集合,Delaunay分割の節点集合,並びに,重心ボロノイ分割の母点集合それぞれについて誤差収束率を明らかにした.項目(b) 複素対称系向けの高性能反復法の開発を継続して行った.特に,テンソル積構造を係数に持つ線形方程式の数値解法を開発した.また,COCG系と COCR系の複素対称行列向け積型反復法を整備し,それらを電磁界解析コードADV_Magneticsに実装し,1億自由度規模の静磁場,時間調和渦電流,並びに高周波電磁波問題を用いた数値実験により大規模電磁場解析に有効な反復法の知見が得られた.項目(c) 効率的な連成解析法の開発として,電磁場-固体の双方向連成解析手法の実装と資源利用効率の性能評価を行った.特に,高周波電磁波-熱伝導連成解析(片方向)において,カプラの並列化を行った.2.7億自由度の数値人体モデルを用いた性能評価を行い,カプラ処理に関する計算時間を9割削減することに成功した.また,「第7回大規模電磁界数値解析手法に関する研究シンポジウム」(2024年3月8日~9日,石垣)を主催し,研究成果発表や討論を通じて,本研究課題の成果普及および今後の継続的発展体制の構築に繋げることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べた項目(a)~(c)はほぼ当初計画通りであり,さらに研究進捗報告を兼ねた研究シンポジウムを開催するなど,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展しているため,当初計画通りに研究遂行していく予定である.項目(a)分割統治法に基づく領域分割型FEMとして,非一様な再帰的領域分割で部分領域間連続性を満たすアルゴリズム開発,GPU含め新しい計算機アーキテクチャ向けの効率的実装,さらに機械学習技術であるPINNの活用を行う.特に,PINNによる偏微分方程式の領域分割型ソルバ開発に成功したため,高性能計算技術を用いたPINNシステム開発を行い,従来からの偏微分方程式ソルバである有限要素法(FEM)との性能比較を進めることでPINN-FEM連携による領域分割法アルゴリズムを新たに検討する予定である.項目(b)電磁場解析向け反復法の開発として,各種前処理法による評価を継続して行う.項目(c)電磁場・固体連成解析法の開発として,電磁場-固体の双方向連成解析手法,異機種混在環境における効率的実装を行う.項目(d)大規模連成解析として電磁波加熱のターゲット問題を設定し,数億~数十億自由度規模の連成解析を実施する.また,C言語で開発された高速なFEMシステムをライブラリ化して,GPUなどの演算加速装置へのオフロードを制御するPyTorchコードの基礎調査を終えたため,著者らがこれまで開発してきた大規模領域分割型FEMシステムに対して同様のコード開発を検討する予定である.項目(a)は主に荻野・曽我部,項目(b)は主に荻野・曽我部・武居,項目(c)は主に荻野・杉本,項目(d)は主に荻野・武居・杉本がそれぞれ担当する.得られた研究成果は計算力学や電磁気学に関する国内外の学会にて発表していく.また,関連分野の大学・企業等研究者を招いた大規模電磁界数値解析手法に関する研究シンポジウムを主催し,研究の成果発表と方向性確認などを行う.
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