研究課題/領域番号 |
23K24872
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補助金の研究課題番号 |
22H03616 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 東邦大学 (2023-2024) 東京都立大学 (2022) |
研究代表者 |
西辻 崇 東邦大学, 理学部, 講師 (70826833)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | ホログラフィ / 3次元映像 / 高速計算 / コンピュータグラフィクス / ワイヤフレーム |
研究開始時の研究の概要 |
電子ホログラフィ方式の3次元映像は生理的に最も自然な3次元像を再生可能な技術だが,計算量の膨大さを一因として実用化には至っていない.研究代表者は,3次元像が線のみで構成される場合にホログラフィ計算を高速化できるCG-Line法を開発し,大幅な高速化に成功している.しかし,線の太さや濃さ,奥行き方向の連続的な変化を伴う任意の曲線を表現できないなど,表現性に課題があった.本研究では,CG-Line法の高速性を担保しながら,線で構成される3次元像の表現性を向上させる計算アルゴリズムを開発する.
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研究実績の概要 |
究極の3次元映像技術と呼ばれる電子ホログラフィにおける重要課題である計算高速化において,線・ワイヤフレームのみの再生に特化することで高速計算を実現したCG-Line法の表現性拡張に取り組んだ.大きく,(1)線幅の拡張,(2)グラデーションの付与,(3)奥行方向の線の描画,について研究を実施した.(1)について,本研究が対象とする位相変調型ホログラム(以下,位相ホログラム)においては,太線のような平面的な像再生に従来必要であり,処理負荷が問題だった位相最適化処理に代替して,意図的に誤差を重畳する方法や二重位相法と呼ばれる位相の加工処理を組み合わせることで,CG-Line法の高速性を著しく失うこと無く,太線を描画可能なホログラム計算アルゴリズムを確立できた.この成果は,2022年度中には国内会議で発表し,2023年度中に学術論文誌で報告できる見込みである.(2)について,(1)のアプローチと一部では同様に,意図的な誤差を重畳することで,3次元再生像の強度を制御することに成功した.具体的には,表現したい線の濃さと,付与すべき誤差量の関係性を解析的に明らかにし,CG-Line法のホログラム計算アルゴリズムに組み込むことで,高速性を犠牲にすること無く線のグラーデション表現を実現した.この成果は論文誌で発表済みである.(3)について,従来のCG-Line法が平面的な線の描画に限定されていた課題に対し,奥行方向に連続変化する線の描画アルゴリズムを開発した.すなわち,ワイヤフレームで表現される3次元像を再生可能なホログラムの高速計算アルゴリズムを開発した.この成果は論文誌で発表済みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年初の予定では,上記概要における(1)(2)のみの実施を予定した一方で,実績として,いずれも論文誌や学会発表を実施するなど順調な成果を挙げられている点で順調な進捗が得られている.さらに,上記概要の(3)に該当する研究を,ベルギーとの国際共同研究の下で実施し,光学分野のトップジャーナルの一つであるOpticsExpress誌への掲載を実現する等,順調な業績を挙げられており,全体としてしておおむね順調な進展と考えている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も引き続きCG-Line法における表現性の拡張,及び,さらなる高速化を進める.表現性の拡張においては,よりチャレンジングな課題として,例えば,3次元的な線幅の拡張等,現存する3次元コンピュータグラフィクスでに見られるような表現の実現に取り組む.高速化では,例えば,専用計算機実装や波面記録法など,ホログラフィ分野で実績のある高速化手法との組み合わせによる計算高速化に関する相乗効果を狙った方式の検討等を進める.
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