研究課題/領域番号 |
23K24887
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補助金の研究課題番号 |
22H03631 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) (2024) 名古屋工業大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
船瀬 新王 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 障害工学研究部, 研究部長 (60378239)
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研究分担者 |
藤原 清悦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10440322)
深山 理 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究員 (30508205)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 頭皮脳波 / 頭蓋脳波 / 皮質脳波 / BMI/BCI / 即応的脳情報インタフェース / ECoG / ガウシアンプロセス / 多層脳波 / 機械学習 / 脳波 / 脳波インタフェース |
研究開始時の研究の概要 |
脳波は非侵襲的に高い時間分解能の信号を簡易な装置によって得ることができ、ヒューマンインタフェースとして有用性は高い。しかし、脳から電極までの頭蓋骨、皮膚といった層を通過するため信号成分が拡散・混合され、脳波は脳内の活動を直接に表していない。このため、従来の脳情報インタフェースでは、即応性を犠牲として加算平均や入力への同期といった手法を用いてきた。これに対し本研究では、機械学習法を応用した①脳表・頭蓋骨表面・皮膚表面の多層にわたる脳波の対応関係を統合するモデルを構築し、動物を用いた検証によってこれらを相互変換できることを示す。さらに同モデルによりヒト対象の②即応的脳情報インタフェースを実現する。
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研究実績の概要 |
本申請の目的は,G1:「大脳周辺において観測される多層的な脳波の統合モデルの構築」とG2:「脳波に基づく即応的脳情報インタフェースの実現」である.この目的を踏まえ,以下の3つのサブゴールSG1:機械学習法を用いた多層脳波の相互関係、統合的説明のための数理的モデリングを構築,SG2:動物実験による多層脳波モデルの実証的評価,SG3:ヒトを対象とする即応的脳情報インタフェースの実装 (Proof-of-Concept; PoC)を設定した. その上で本年度は,SG2の動物実験の環境構築と動物実験による多層脳波モデルの実証的評価の一部,SG1の機械学習法を用いた多層脳波の相互関係の一部を行った. まず,SG2においては,多層的に脳波を計測するための手法について検討を行った.その結果,カーボン電極を使用することで頭皮・頭蓋・皮質脳波を同一電極で計測する事が可能であることを確認した.また,そのそれぞれの位置で計測したデータを検討した結果,皮質脳波ではピンポイントに目的部位へ接触しなければ所望の信号が取れないことを明らかにした.また,頭蓋脳波においては,ある程度の空間的なズレを許容することができることも明らかにした.さらに,頭皮脳波は皮膚由来のノイズが含まれることを明らかにした.言い換えると,頭蓋骨はノイズを増加させず適切な空間フィルタの役割を果たしていると言える. SG1については,ラットの各足に電気刺激を与えた際の頭蓋脳波及び皮質脳波を複数点記録し,それらのデータに対してガウス過程を用いた回帰モデルを作成した.その結果,頭蓋脳波のモデル及び皮質脳波のモデルともに,それぞれの足に対応した電位発生点を表現することができた.さらに頭蓋脳波モデル及び皮質脳波モデルともに,類似した電位発生点を表現することができた.このことより,ガウス過程を用いた回帰モデルにて電位発生点を表現できる可能性を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【研究実績の概要】でも示した通り,当初の本年度の計画は「SG2の動物実験の環境構築と動物実験による多層脳波モデルの実証的評価の一部,SG1の機械学習法を用いた多層脳波の相互関係の一部」を行う予定であった.これに対して,実際に行った本年度の進捗は以下のようになる.SG2に関しては,実験環境の構築及び多層脳波モデルを計測するための環境構築を行う事ができている.さらには,SG1の内容とも被るが実際のデータを計測し,さらにはモデルが適切な振る舞いを行うかを検討できている.さらには,頭蓋脳波の本質的な意味に言及することのできる結果の取得も行うことができており,十二分に順調に進んでいるものと考える.SG1については,ガウス過程を使用した回帰モデルの作成を実際に行っている.さらにはSG2ともからむが,ラットの各足に電気刺激を与えた際の頭蓋脳波及び皮質脳波を複数点記録し,それらのデータに対してガウス過程を用いた回帰モデルを作成したいる.その結果,現時点で頭蓋脳波と皮質脳波が類似するものを得ることができている事までは検証できている.この点でもかねがね順調であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
二年目は,SG1とSG2を進めることを主体にする.SG1においては,SG2からのデータをフィードバックして,モデルの改良を進める.すでに,モデル部分の基礎構築は本年度で終えているので,あくまでも改良を行うことで十分であると考える.SG2に関しては,計測データ数を増やしSG1へのフィードバックを行う事を主眼とする.ただし,本年度に得た知見「頭蓋骨はノイズを増加させず適切な空間フィルタの役割を果たしている」が妥当性のある知見であるのかを検討することも行う予定である.さらには,SG2からのデータのフィードバックを受けたSG1で作成されたモデル構築をヒトの脳波に適応し,ヒトの皮質脳波に近いものを得られるのかというSG3の初期研究をスタートする予定である.三年目はこの話をSG3へ軸足をずらしていく予定である.
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