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補因子結合予測と実験検証の組み合わせにより未同定の酵素を明らかにできるか?

研究課題

研究課題/領域番号 23K24945
補助金の研究課題番号 22H03690 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分62010:生命、健康および医療情報学関連
研究機関長浜バイオ大学

研究代表者

塩生 真史  長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (30345847)

研究分担者 向 由起夫  長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (60252615)
中村 卓  長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (80344050)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 9,100千円 (直接経費: 7,000千円、間接経費: 2,100千円)
キーワード機能アノテーション / 機械学習 / 結合アッセイ / メタボローム解析 / 出芽酵母 / X線結晶構造解析
研究開始時の研究の概要

研究代表者がこれまでに開発してきた独自の低分子化合物結合予測法をもとに様々な補因子の結合が予測できるようにし、さらに実験による検証を組み合わせた機能解明スキームを開発することで、未だに多数残存している機能未知タンパク質の中から、特に未同定の酵素を明らかにできるようにすることを目的とする。そのためのモデルケースとして、多くの網羅的研究にも関わらず約700個のタンパク質機能が未知である出芽酵母を用いて、機能未知タンパク質に結合する補酵素や金属イオンの予測、および、その結果の実験的検証を行う。

研究実績の概要

本研究課題は、様々な生物種に多数存在する機能未知タンパク質の中から、特に未同定の酵素を明らかにすることを目的とし、酵素活性に必要な補因子の結合予測モデルであるProLMS-GNNの構築、および、それにより結合が予測されたタンパク質について、結合の確認および出芽酵母を実験モデルとした細胞内代謝への関与の確認を実施することを計画している。2023年度は、以下のことを行った。
1. ProLMS-GNNは機械学習により結合予測モデルを構築しているが、タンパク質との複合体構造データの少ない補因子は、学習できるデータの不足から、これまでに用いていた学習方法では精度の良い結合予測モデルの構築が難しかった。そのため、ピリドキサール5’-リン酸(PLP)との結合予測をテストケースとし、Few-shot learningで用いられている転移学習や自己蒸留を応用した学習を行うことで、過去に構築した結合予測モデルよりも予測精度を改善できた。また、酵素活性に関わる15種類の金属イオンの結合予測モデルも構築した。
2. ProLMS-GNNによりPLPとの結合が予測された出芽酵母の機能未知タンパク質であるFmp41とYnl011cのうち、Fmp41についてPLPとの複合体構造を決定するためにX線結晶構造解析を行った。酢酸バッファーにおける共結晶のX線結晶構造解析を行ったところ、PLPそのものの電子密度は確認できなかったものの、リン酸が脱離したピリジン環に相当する大きさの電子密度が確認できた。
3.FMP41とYNL011C遺伝子破壊株と過剰発現株のトランスクリプトーム解析を行ったが、代謝に関係する遺伝子の顕著な転写変動は観察されなかった。一方で、メタボローム解析の結果、FMP41遺伝子破壊株で減少し、過剰発現株で増加する代謝物およびその逆を示す代謝物をいくつか見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1. 2023年度までに、酵素活性に関わる補因子のうち、PLP、NAD、FAD、CoAとこれらの類似化合物、さらに、一般的なリガンド結合部位を予測できるモデルを構築し、それらのモデルにより結合予測ができる機能をWebデータベースである「Het-PDB Navi」上に実装している。また、Mg2+やFe3+をはじめとする酵素活性に関わる15種類の金属イオンの結合予測を行うモデルも構築できている。一方で、複合体構造情報が少ない補因子の結合予測モデルについては構築手法の探索に留まっている。
2. ProLMS-GNNによりPLPとの結合が予測された出芽酵母の機能未知タンパク質のうち、Fmp41については2023年度までにPLP結合アッセイ系やX線結晶構造解析によるPLP結合活性の確認を進められているが、Ynl011cについては大腸菌での発現・精製が困難であり、PLP結合活性の検証に至っていない。一方で、2023年度には、金属イオンとの結合が予測される機能未知タンパク質に対して結合活性の確認ができるよう、原子吸光分光光度計を用いた金属イオンの定量化を確立することができている。
3. PLPとの結合が予測されたFmp41とYnl011cについて遺伝子破壊株および過剰発現株が構築できており、2023年度にはFmp41の遺伝子破壊株および過剰発現株におけるメタボローム解析を行うことで、Fmp41が関与する細胞機能の探索を進めることができている。

今後の研究の推進方策

1. 2023年度に構築した金属イオンの結合予測モデルは、現時点では予測精度が非常に低いことが問題となっている。そこで2024年度は、まずは結合予測モデルのアーキテクチャを見直し、さらに2023年度にPLPとの結合予測モデルの予測精度を向上させた学習方法を適用することで、金属イオンとの結合予測の精度の向上を試みる。また、得られた結合予測モデルを出芽酵母の機能未知タンパク質に適用し、金属イオンと結合するタンパク質の候補を選出する。
2. Fmp41に関してはPLP類似化合物(ピリドキシン、ピリドキサミン、ピリドキサール)との共結晶化実験を行い、X線結晶構造解析によりこれら化合物との複合体の立体構造が得られるかを確認する。また、Fmp41とは別にPLPとの結合が予測された機能未知タンパク質であるYnl011cについては、不溶性画分に多く含まれているので、封入体リフォールディングキットを用いて可溶化を試みる。可溶性画分に多くYnl011cが存在する実験条件を確立した後、Fmp41と同様の方法でYnl011cとPLPあるいはその類似化合物との複合体の立体構造を決定する。また、Fmp41およびYnl011cにおけるPLPとの結合定数を、等温滴定カロリメーターによる結合熱の測定で決定できるかを確認する。さらに、原子吸光分光光度計を用いてタンパク質と結合した金属イオンを定量することにより、金属イオン結合タンパク質予測モデルを検証する。
3. FMP41遺伝子の破壊株と過剰発現株において変動が見られる代謝物の情報に基づいてFMP41遺伝子の細胞内代謝への関与について検証する。また、YNL011C遺伝子の遺伝子破壊株および過剰発現株についてメタボローム解析を実施し、Ynl011cタンパク質が機能する代謝反応あるいは代謝経路を探索する。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (10件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Bacterial Glycolipid Acting on Protein Transport Across Membranes2024

    • 著者名/発表者名
      Mori Shoko、Shionyu Masafumi、Shimamoto Keiko、Nomura Kaoru
    • 雑誌名

      ChemBioChem

      巻: - 号: 10

    • DOI

      10.1002/cbic.202300808

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Acceleration of Protein Degradation by 20S Proteasome-Binding Peptides Generated by In Vitro Artificial Evolution2023

    • 著者名/発表者名
      Zhu Yunhao、Shigeyoshi Kaishin、Hayakawa Yumiko、Fujiwara Sae、Kishida Masamichi、Ohki Hitoshi、Horibe Tomohisa、Shionyu Masafumi、Mizukami Tamio、Hasegawa Makoto
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 号: 24 ページ: 17486-17486

    • DOI

      10.3390/ijms242417486

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] タンパク質-リガンド結合予測と創薬への活用2023

    • 著者名/発表者名
      塩生真史, 土方敦司, 白井 剛
    • 雑誌名

      PHARM STAGE

      巻: 23 ページ: 38-46

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] グラフニューラルネットワークと転移学習による低分子リガンド結合部位の予測2023

    • 著者名/発表者名
      塩生真史、前原大和、土方敦司
    • 学会等名
      第23回日本蛋白質科学会年会(名古屋)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 出芽酵母の機能未知タンパク質Fmp41とYnl011cにおけるPLP結合能の検証2023

    • 著者名/発表者名
      中本桃香、塩生真史、向由起夫
    • 学会等名
      第40回Yeast Workshop(山口)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Prediction of novel PLP-binding proteins from budding yeast proteome2022

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Shionyu, Momoka Nakamoto, Atsushi Hijikata, Yukio Mukai
    • 学会等名
      第60回日本生物物理学会年会(函館)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] Prediction of novel PLP-binding proteins using graph neural network2022

    • 著者名/発表者名
      Masafumi Shionyu, Momoka Nakamoto, Atsushi Hijikata, Takashi Nakamura, Yukio Mukai
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会(千葉)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 出芽酵母における新規PLP 結合タンパク質の同定と機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      中本桃香、塩生真史、向由起夫
    • 学会等名
      第39回Yeast Workshop(高知)
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] Het-PDB Navi

    • URL

      https://hetpdbnavi.nagahama-i-bio.ac.jp

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] Het-PDB Navi.

    • URL

      https://hetpdbnavi.nagahama-i-bio.ac.jp/

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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