研究課題/領域番号 |
23K24963
|
補助金の研究課題番号 |
22H03708 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62030:学習支援システム関連
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
島川 博光 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70351327)
|
研究分担者 |
西原 陽子 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (70512101)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
|
キーワード | 計算論的思考 / 状態空間モデル / プログラミング / インタビュー解析 / データサイエンス / 見通し / 創造性 / コーディング・ベクトル / 発話関連度 / 発話分析 |
研究開始時の研究の概要 |
見通しをつける計算論的思考力は、我々の日常生活のあらゆる活動を円滑に進めるうえで重要である。本研究では計算論的思考力を育成する手法を研究する。 計算論的思考力が、発揮されるとき、作業に対する見通しが立っていることから、従事者の思考対象は分割され、1つの作業を終わらせてから次の作業に進むようになる。本研究では、対象の分割が、従事者の視線や操作対象に現れることを利用し、計算論的思考力への従事度を測定する。あわせて、作業対象が明確に分かれるような状態遷移が作業中に発現することを促進し、計算論的思考力を育成する。
|
研究実績の概要 |
計算論的思考は、獲得した知識を組み立てて、問題解決に向けた見通しを立てることを意味する。本研究では、知識を獲得したうえで、制約充足に向けて知識を組み上げるための見通しを立てる能力を系統的・定量的に判定する手法の開発に取り組んだ。 本研究では、データサイエンスの手法を用いて、学習者から得られたデータを分析する。分析の対象となるデータは、学習時のふるまいと発話内容である。 学習時のふるまいの分析では、第1に、データ分析のための数学授業における学習者の聴講態度から、論理的知識の獲得にどの程度注力しているかを推定する手法を構築した。第2に、問題解決に向けた創造性の推定のために、電子ペンを用いたタブレット端末への描画動作における筆記特性を分析する手法を提案した。第3に、グラフィック・ライブラリを用いた描画プログラミング時の学習者のふるまいをコーディング・ベクトルとして可視化して見通しの有無を判定する手法を開発した。 学習者の発話内容の分析では、見通しを立てる能力を定量的に推定するために、与えられたテーマに関連した発話をどの程度行っているか自動評価する手法を提案した。自然言語処理の技術を用いて、テーマと発話の関連度を自動評価し、関連する発話をしているほどテーマに対し見通しを立てていると考える。 これらの手法により、獲得した知識を、創造性を使って組み上げているときの特徴を抽出することができた。また、プログラミング時のふるまいの可視化により、コード断片からソースコードを記述する際に、ある機能的まとまりから別のまとまりへと推移していく学習者は、正解に向けぶれることなくプログラミングしていることが、可視化されたデータから読み取れた。これは見通しがあることを示唆している。さらに、見通しがない学習者は、正解に向けた流れからのぶれが大きいことも判った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、知識の獲得、創造性の発揮、プログラミングなどの多様な側面において、学習者を対象として実験している。 学習時のふるまい分析では、知識獲得時のふるまいの特徴の抽出、創造性を発揮している筆記特徴の分析、プログラミング時のふるまいデータを収集するためのモデル構築に成功した。実験で収集したデータを可視化してデータが示す意味を読み解いた。その結果は、知識獲得後の試験成績、第三者による創造性判定の結果、プログラミングされたコードによる描画の正しさと呼応するものであった。 発話内容の分析では、収集された発話データに対し、提案した手法で自動評価を行い、人手により分類された結果との一致度を評価した。話者がテーマに関連する話をしているグループとしていないグループを自動評価により分類できることを確認している。
|
今後の研究の推進方策 |
今回の研究により、プログラミングにおける見通しを立てる能力を推定することへのめどがついたと考えている。この手法をより確固としたものにすべく、実験と解析を進める。 学習時のふるまい分析では、プログラミング時のふるまいを示すコーディングベクトルの可視化と分析をさらに進める。コーディングベクトルは20次元を超える多次元ベクトルである。今後は、このベクトルの散布図を2次元程度に圧縮して表示し、その示唆するものを解読する。さらに、計算論的思考は、プログラミング以外の場面での思考にも適用できるので、電子ペンを用いたタブレット端末への描画動作において、見通しがあるかを、筆記特性から判別できないかを調べる。 発話内容分析の今後の研究においては、見通しが見られる際の発話を自動推定する機械学習モデルの作成があげられる。大規模言語モデルを用いたチャットボットを作成し,見通しが立っているかどうかを質問により判定するなども考えられる。
|