研究課題/領域番号 |
23K24967
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補助金の研究課題番号 |
22H03712 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分62040:エンタテインメントおよびゲーム情報学関連
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
松島 恭治 関西大学, システム理工学部, 教授 (70229475)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | コンピュータホログラフィ / 計算機合成ホログラム / 3次元立体画像 / 立体サイネージ |
研究開始時の研究の概要 |
超高解像度コンピュータホログラフィを用いると,薄いプレート状のホログラムからメガネやゴーグルなどの装着物無しで1メートルもの奥行きを感じる3次元立体映像を表示することができる.肉眼でその映像を見るとそこに実際の物体があるように見えるため,このホログラム映像を見た人は一様に驚愕する.またVR/AR等とは違って,その映像を複数人で見ることができる.そこで本課題では,この映像をサイネージへ応用することを最終目標とし,超高解像度コンピュータホログラフィにより大型ホログラムを作成する技術基盤の確立を目指している.
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研究実績の概要 |
本研究では,数100億~数1000億画素の超高解像度計算機合成ホログラムを革新的な3次元立体サイネージとして社会実装するための技術基盤の形成を目指している.そのための本年度の具体的な研究課題としては,[A]構造化照明マッピングを用いたアニメーション,[B]映像サイズの大型化,[C]その他の補助的技術があった. [A]については,プロジェクタで発生したブロック構造の照明をCGH干渉縞に0.1ミリ程度の精度で自動位置合わせする手法をすでに開発している.本年度は,フレーム間クロストークを低減するためのブロックサイズの最適化,4Kプロジェクタの導入を試みた.その結果,クロストークを低減することができたが,クロストークが感知されないないレベルまでは至らなかった. [B]タイリングによりモノクロの大型高解像度CGHを製作する技術では,基板をジュラルミン素材に変更した結果,軽量な34cm角の大型CGHが作製できた.また,RGBカラーフィルタ方式のカラーCGHでも,RGBカラーフィルタと干渉縞を紫外線硬化性の光学接着剤で全面固定し,額縁を切断・タイリングする技術を新たに開発した結果,20cm×10cmのカラーCGHを作製することができた.さらに,白色LED光源でRGBカラーフィルタ方式より高品質なカラー再生像が得られる積層CGVH(計算機合成体積ホログラム)においても,タイリング転写方式を完成し,全く継ぎ目が感知できない10cm角のカラー積層CGVHを製作できることを確認した. [C]では,深層学習技術を用いて1枚の顔写真からホログラフィックポートレートを作成するシステムを完成した.また,カメラで撮影した多視点画像から求めた物体光波と物理シミュレーションによって計算した3Dシーン内に埋め込む技術を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
個別研究課題の[B]映像サイズの大型化,および,[C]その他の補助的技術については,順調に研究が進捗している.しかし,[A]構造化照明マッピングを用いたアニメーションについては,完全にフレーム間クロストークを除去することまでは実現できなかった.これについては,プロジェクタを用いた構造化照明よりも,CGHに密着させたマスクを機械的に微動して証明する方式の方がクロストーク削減に適していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
アニメーション技術については,構造化照明方式ではフレーム間クロストークの完全な除去が困難であることがわかった.そのため,2024年度は軸足を変え,CGHからの光の方向を制御することにより,視点位置の変化で映像が変化するタイプのアニメーション技術の高度化,およびそれを用いたサイネージの製作に取り組む予定である. モノクロCGHの大型化については,複数の干渉縞タイルを正確に貼り合わせて大型化する技術をさらに発展させ,6枚程度のCGHをタイリングし,A3サイズ以上の大型CGHの製作を行う予定である.また,RGBカラーフィルタ方式フルカラーCGHにおいても,2023年度に開発した紫外線硬化樹脂を用いる手法で同程度の大型化を目指す.またもう一つのフルカラーCGH作製手法である積層CGVHにおいては,現状10cm角が最大であるため,18cm角程度の作製を目指す.また,カラーバランスの調整を簡単化する技術の開発を行う. フルカラーCGHの計算技術については,カメラで撮影した実物体のカラー多視点画像からCGHを計算する技術を高度化して様々なサイズの実物体の像を拡大・縮小する手法を開発する.これを用い,従来のポリゴン法/シルエット法による物理シミュレーションベースで計算したCGモデル仮想物体像とのハイブリッド映像を作成し,そのフルカラー再生を目指す.また,従来の小さな背景ではなく,視野全体を覆うような大きな背景を有するフルカラーCGHの計算方法の確立を目指す.
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