研究課題/領域番号 |
23K24969
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補助金の研究課題番号 |
22H03714 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
山下 洋平 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (50432224)
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研究分担者 |
宮崎 雄三 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
入野 智久 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (70332476)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | 炭素循環 / 難分解性有機物 / 熱成有機物 / 海洋 |
研究開始時の研究の概要 |
森林火災などのバイオマス燃焼、化石燃料の燃焼により莫大な量の二酸化炭素が大気中に放出されるが、同時に熱成有機物が生成する。陸上で生成され土壌に蓄積した熱成有機物の一部は河川へと流出し海洋に至る。海洋における熱成有機物の動態に関する知見は極めて限られていたが、これまでの研究により、「海洋には溶存熱成有機物の未知の供給源 (ミッシングソース) が存在する」ということが明らかとなった。本研究では、このミッシングソースを突き止めることで、熱性有機物循環の終着点であり、炭素の貯蔵庫でもある海洋での溶存熱性有機物循環を完全解明する。
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研究実績の概要 |
バイオマスや化石燃料の燃焼などで生じる熱成有機物の大部分は、生物学的反応性に乏しい超難分解性成分であり、地球表層炭素循環から二酸化炭素を隔離する役割を有する。しかし、熱成有機物の末路に関する知見は乏しく、熱成有機物は炭素循環の収支に考慮されていない。これまでの研究により、海洋の溶存有機物画分中に熱成有機物が普遍的に存在すること、その溶存熱成有機物は沈降粒子に吸着し海底へと除去されることが示された。また、溶存熱成有機物の海底への除去フラックスから、海洋には溶存熱成有機物の未知の供給源 (ミッシングソース) が存在することが示された。本研究では、海洋に存在する溶存熱成有機物のミッシングソースとして深海熱水噴出孔および大気沈着に着目し、これらが海洋の溶存熱成有機物の分布やそのプールの動態に与える影響を定量的に解明することを目指す。 深海熱水噴出孔に関しては、北太平洋および南太平洋の東太平洋海膨付近をカバーする海域における溶存熱成有機物の東西および南北断面分布を明らかにし、それらと溶存酸素濃度やヘリウム同位体比の断面分布を比較した。その結果、東太平洋海膨の熱水活動に由来する溶存熱成有機物の濃度を定量化することに成功し、深海熱水由来の溶存熱成有機物の全球フラックスを見積もることができた。また、2022年12月に明神海丘の熱水域において溶存および粒子状の熱成有機物の試料を採取することに成功した。 大気沈着に関しては、北海道大学大学院地球環境科学研究院の屋上にて、2023年8月から大気エアロゾル試料の採取を開始した。予備的な実験および解析を行った結果、大気エアロゾル中の溶存熱成有機物は黒色炭素濃度および水溶性有機炭素濃度と関係することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2022年度は、当初計画通りに試料採取および化学分析が進んだ。データ解析に関しては、当初計画以上に進み、初年度から原著論文 (Yamashita et al., 2023, Science Advances) を公表し、成果をプレスリリースできるなど、当初の計画以上に研究は進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、試料採取、化学分析およびデータ解析を継続する。熱水噴出孔に関しては当初計画には無かった熱成有機物の溶存化メカニズムの解明を目指し、大気沈着に関しては当初計画通り溶存熱成有機物濃度の制御要因の解明について、継続して研究を展開する。
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