研究課題/領域番号 |
23K24978
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補助金の研究課題番号 |
22H03724 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分63010:環境動態解析関連
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
今岡 啓治 山口大学, 大学研究推進機構, 准教授 (50725869)
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研究分担者 |
小河原 加久治 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (70211125)
長 幸平 東海大学, 情報技術センター, 特任教授 (90256199)
中山 雅茂 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60371150)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,640千円 (直接経費: 12,800千円、間接経費: 3,840千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | マイクロ波放射計 / 海氷厚 / 低周波 / ソフトウェア無線 |
研究開始時の研究の概要 |
海氷の挙動は地球温暖化に対して脆弱であり、分布や厚さの継続的な観測が重要である。現行の人工衛星搭載マイクロ波放射計の周波数帯は海氷厚の測定に限界があり、より低周波を用いた測定範囲の拡張が望まれるが、人工電波影響等の課題があり実現に至っていない。本研究は、500MHz-1.5GHz帯を用いた低周波ラジオメトリを開拓し海氷厚測定の高度化を目指す。高信頼人工電波除去はソフトウェア無線技術によるマイクロ波放射計のデジタル化により実現する。研究結果は海面塩分や土壌水分観測の高度化にも寄与すると共に、軌道上における自律的な人工電波除去や、リモートセンシング機器の小型化・汎用化にも貢献することが期待される。
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研究実績の概要 |
地球温暖化に対して脆弱な海氷の観測に人工衛星搭載マイクロ波放射計が活用されているが,現在の使用周波数帯は海氷厚の測定に限界があり,より低周波を用いた測定範囲の拡張が望まれている.本研究は,500MHz-1.5GHz帯を用いた低周波マイクロ波放射計の研究と性能評価,および海氷厚の感度検証実験を行い,低周波リモートセンシングの可能性と課題を明らかにすることである.
低周波マイクロ波放射計の研究として科学・技術的観点から全体システムの検討を行い,各部の構築を順次実施した.広帯域性能と測定時の物理的制約を考慮し,アンテナとしてダブルリッジドホーンを採用した.受信機部は擬似相関型とし,温度管理された無反射終端器とノイズソースを用いて輝度温度校正を行う構成とした.デジタル処理部には,サンプリング周波数5GHzのADCとFPGA・CPUから構成される統合チップ搭載ボードを用い,1GHz帯域幅を一括処理する方法を採用した.要求性能を考慮して部品選択を行い,特に受信機部について仮構築を進め,機能面での妥当性を確認した.人工電波除去アルゴリズムの研究として,簡易型のフロントエンドとソフトウェア受信機を用いて人工電波データを取得し,周波数間比較法と尖度検出法の比較を実施した.周波数間比較法は,明瞭な周波数特性を示す強力な人工電波に対し良好に機能したが,帯域内の人工電波比率が高い場合に検出が困難であった.尖度検出法は,入力信号の正規性を評価することから電力や周波数特性に依存しない人工電波検出が可能であったが,強力な人工電波でも検出不可能な場合があり,人工電波のデューティ比等の影響と推察された.このように異なる特徴を持つ手法の併用により検出率を向上させることが可能であることが確かめられた.また,海氷・雪の重ね合わせ実験を行い,氷面上の板氷や雪の存在が輝度温度に及ぼす影響を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
受信機部については構築を完了する計画であったが,仮構築した受信機部とデジタル処理部を用いて実験室環境で人工電波の状況確認を行ったところ,対象とする観測帯域内における人工電波の強度・発生比率が非常に高く,受信機の飽和等が懸念された.そのため仮構築と機能確認までに留まり,構築完了に至らなかった.
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今後の研究の推進方策 |
実験室周辺には携帯基地局が多数存在し電波環境としては劣悪であるため,海氷厚測定実施場所での電波環境確認などを踏まえ,必要な場合は後段増幅部分の分割等による飽和対応が必要であると考えられる.このような検討を早期に実施した上で受信機部の構築を完了し,温度分解能や安定性等の評価や,デジタル処理部との結合による全体システムとしての機能・性能評価を進める.また,ダブルリッジドホーンアンテナは様々なトレードオフの結果として最良の選択であるが,ビーム幅の点で理想的ではないため,海氷厚測定実験の方法を工夫することで補う計画である.
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